いつものように仕事の隙間時間に『八ヶ岳稿房』をサラサラッと書いて配信したのが昨日の午後3時過ぎ。
その時になって、2月初旬からずっと続いていた「心のザワザワ感」のようなものが綺麗さっぱり消えていることにふと気が付いた。
あれっ? 心配していた「大地震」まだ起きていないぞ (^^;)
今度の心のザワザワ感は、ほぼ3年ぶり。
長期継続したという意味では、2008年夏場以来の事である。
2008年の時も大地震が心配で、9月半ばにわざわざ1週間の有給休暇を取って八ヶ岳に疎開したんだよな…
で、結局起こったのは大地震ではなく「リーマンショック」だったのだ(https://triglav-research.com/?p=43524)。
今回もこの週末から「八ヶ岳第2次疎開」をする予定だったのに、肝心のザワザワ感が収束してしまった。
まっ、イイか…
そのおかげで、新百合ヶ丘の自宅も八ヶ岳オフィスも防災対策準備の確認と強化がバッチリ出来たので結果オーライである!
待てよ…
よく考えたら、リーマンショック以来という アメリカの SVB(シリコンバレー銀行)破綻が今回は起こったんだよな。
どうやら「私の心のザワザワ感」は、大地震に対してではなく「金融危機」に対しての Warning であるらしい。
まあ、1989年から一貫して「銀行業界の調査・分析」を生業としてきたので、その程度の予感らしきモノがあっても不思議ではないよな。
そう考えたら、急に破綻したSVBの分析がしてみたくなった。
すぐに2022年12月末の同行の財務データ(FORM 10-K)をダウンロードして、予定外の分析作業を始めた。
ヒエ~ アメリカって、こんな財務内容の銀行が普通に営業しているんだ。
難しい分析なんて不要だった。
そもそもSVBの2022年12月末の中核資本(CET1)は170億ドル。
これに対して、有価証券の含み損が、HTM(日本で言うところの満期保有債券)で151.6億ドル。
資本の約9割に相当する債券の含み損が、いくら「時価会計の対象外」とは言えども、実質的には資本を浸食していたのである。
こりゃ、ちょっと物を知った投資家や預金者ならビビって当然だ。
私なら絶対にこんな銀行にお金は預けないな!
このような事実が隠されていたわけではなく、詳細なデータが2月24日にしっかりと公表されているのである(誰でも容易にアクセス可能)。
ひとたび「預金流出」が起これば、流動性確保のため、まずはAFS(日本での「その他有価証券」)の売却に動かざるを得なくなる。
そして、AFSの含み損は25.3億ドル。
そうなればもう「地獄」。
債券売却による現金化 ⇒ 債券含み損の実現ロス化 の「ネガティブスパイラル」が起こるのだ。
そして、やがてはHTMにも…
この程度の事は、データさえ与えられれば「高校生」でも想像がつくだろう。
あまりにも「興味深い破綻事例」なので、深みに嵌まってしまい、その後も分析を続けた。
これだけで面白いレポートが1本書けちゃうぞ。
浮かび上がってきたのは、この銀行の「貸出」「有価証券運用」そして「預金調達構造」における「偏り(偏重)」だった。
要は、リスク管理の要諦である「卵をひとつの籠に盛るな(Don’t put all your eggs in one basket.)」の軽視がもたらした経営破綻であると私は理解した。
金融の世界に限らず「リスク分散」は、人生における「最重要原則」のひとつである。
「自然災害の坩堝」とも言える日本列島に住む限り、生活拠点のデュアル化(デュアル・ライフ)は、極めて有効なリスク分散手法なのである。
だから、大地震が怖くなると「八ヶ岳疎開」という発想が生まれるんだものね。
ん?? また大地震の話に戻っちゃったぞ…
まあでも、SVB破綻のおかげで、八ヶ岳デュアル・ライフの意義を再確認出来たな!
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昨日の午後、予定外であった SVB経営破綻分析に嵌まってしまった私は、今日は仕事の遅れを取り戻すために午前6時過ぎから自宅書斎で仕事を始めた。
午前中になんとか辻褄合わせが完了 \^^/
「ちょっと疲れたな。」なんて思っているところに、買い物に出掛けていた社主さまがちょうど戻ってきた。
お土産は私の大好きな「Krispy Kreme ドーナツ」であった。
そうか、今日は、新百合ヶ丘駅周辺での買い物だったんだ。
あのちょっと嘘臭くてしつこい甘味が、仕事に疲れたときにはちょうどイイんだよな…
Krispy Kreme のドーナツは、八ヶ岳界隈では味わう事が出来ない。
これも二拠点生活(デュアル・ライフ)の意義(楽しみ)のひとつだよね!