昨日は東京で3件、今日は自宅でオンライン形式で3件、講演の予定が入っていた。
〆切りの波状攻撃を捌きながら、喋り続ける。
なんかこう「綱渡り」のような日々が、スリリングで楽しい。
もう、ある種の「中毒」なのかもしれない。
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昨日の3件目は、地方銀行の東京支店長、事務所長さん達を対象にした講演であり、今回は「過去最高」の出席者数であったとの事。
確かに講師演台側から見ても、会場が満杯で、ちょっと驚いた。
八ヶ岳の人口密度は低ければ低い程快適だが、自分の講演の会場内の密度は高ければ高い程、好ましい。
お客様は「神さま」というのが私の信条なので、昨日は目の前に神さまがいっぱい並んでいたことになる。
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講演の前、30分程、講師控え室でノンビリすることが出来た。

六本木ヒルズの31Fから東京の街を眺めた。
かつての職場とは言え、それは既に13年前の話だ。
八ヶ岳オフィスは標高1,300mなので、高度的には六本木ヒルズよりもはるかに高い。
だが、八ヶ岳オフィスの窓から外に広がるのは「森林」だ。
主たる住人は、野鳥さん達に鹿、狸に穴熊と言った野生動物である。
これに対して眼下に広がる東京の街は、正に「別世界」。

一体、この視界の中に何人の人が働き、暮らしているのだろうか?
一定の前提条件を置いて、推定(試算)しようかと思ったのだが、講演前なので思い留まった。
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驚いたのは、既に、開発し尽くされたと思っていた六本木ヒルズのすぐ脇で、新たな開発工事が始まっていた事だった。

しかも隣接地は、規模の大きな「墓地」ではないか。

開発工事の広さや形状を上から眺めていると、墓地や寺院を移転させる計画ではないかと思えてきた(あくまでも個人的な印象だが…)
人間の飽くことなき「開発欲」を思い知らされる光景であった。
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講演後、貸し切ったバスで屋形船の船着き場へと移動。

約2時間半の船上宴会がスタートした。
全国から集まった銘酒は約50本。

それぞれに番号が付され、酒蔵やお酒の名前、どこの地方銀行が持ち込んだ自慢のお酒かといった情報が1枚のリストにまとめてあり、「大利き酒大会」となった。

この中には、私がエントリーした諏訪の舞姫酒蔵の「桜楓」も勿論含まれていた。
主催者側も含めると参加者は70名程であったろう。
この中で、唯一、アルコールを一滴も口にしないのが私である。

対照的に、主催者側の投資銀行の社長さんは、全銘柄を利き酒したとして、参加者から拍手喝采を受けていた。
「The 外資系投資銀行」といった洗練された身嗜みで、スマートな容貌の方なのだが、大量の日本酒を飲んでも、顔色ひとつ変わっていなかった。
いや~、凄いなと素直に感心した。
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お酒など口にせずとも、私も何となく楽しくて、居心地が良かった。
人間があまり好きでない私にしては「不思議な時間」であった。
完全にしらふの頭で周囲の人物を観察した。
ああっ、この人達、人相の良い「善人」が多いんだなと気が付いた。
アナリスト稼業というのは「とんでもない数の人に会う」職業であり、さすがに37年も続けていると、第一印象でかなりの確度で相手のひととなりがわかるようになる。
昨日の屋形船の宴会の参加者は、私的に言うと「気持ちの良い人」の割合が、とても高かったのである。
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屋形船の屋根の上の展望デッキから見る東京の夜景は美しかった。


だが、話題のテレビ局の建物を屋形船から見た時に違和感を覚えた。


あんなに空虚でアンバランスな構造の建物で、私は絶対に働きたくないなと思った。
六本木ヒルズの「バベルの塔」を彷彿とさせる姿の方がはるかにマシである。
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屋形船に戻って、船内から夜景を撮影していると、いきなり視界に「赤い物体」が飛び込んできた。

ヤバい、隕石か? それとも人工衛星か??
最悪のタイミングで屋形船に乗っちまったぞ と、瞬間、悔やんだ。
だが、赤い物体は風に揺れた「提灯」であった。
まだ私の「命運」は尽きていないらしい
それにしても、東京の夜は、八ヶ岳と違って明るいけれど、不思議で怪しいね。
これが、「魔都 東京の夜」か…
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こうして、東京での「多忙な1日」を私は、無事に終えることが出来た。
仕事は「好きな時に、好きなやり方」で進めるものだと私は考えている。
今日は、これに「気持ちの良い人達と」という条件を加えるべきだと感じた。
人間、まだまだ学ぶ事は多い…
—- One Life, Live It !