八ヶ岳とは違う無粋な「夕陽」

自宅書斎で仕事をしていたら、JCOMの緊急地震速報や防災情報を通知する大きなサイコロのような端末から、いつものように午後5時を知らせる音楽が流れてきた。

そうか、今日は社主さまは、テニスでまだ帰っていないな。

自宅3Fのベランダに洗濯物を取り込みに行くことにした。

ベランダに出るとちょうど夕陽が沈むところだった。

随分と日が短くなったな… 秋が深まりつつある事を実感した。

午後5時過ぎ、3Fベランダの窓を開けると沈み行く夕陽が見えた。自宅の3Fから夕陽を見るのは久し振りだった。

自宅で夕陽を眺めるのは久し振りだな。

かつて自宅西側は駐車場だった。

我が家の敷地からは2.5mほど低い場所にあったので、私の書斎から夕陽を見ることも出来たのだ。

八ヶ岳(山)の家にとって「夕陽(西日)は宝物」であるが、一般の住宅ではどちらかと言うと「嫌われ者」である。

でも私は、夕陽が結構好きだったのだ。

駐車場は土地所有者の相続の関係で数年前に売却されて、3軒の住宅と1棟のアパートが建った。

我が家の3Fのベランダからは、これら建物の屋根が見える。

かつて駐車場で開放感があったスペースには家が建ち、我が家の3Fベランダからは家々の屋根が見える。ああっ、無粋な景色になってしまった…

本当に「無粋」な光景に変わってしまった。

ひとつだけ真っ黒で横に伸びた雲があった。何でこれだけこんなに黒いのかな?

かつては庭のパーゴラに給餌台を置いて、冬になると様々な野鳥のオアシスとなっていたのだが、住宅が隣に建った段階で撤去せざるを得なくなった。

あの野鳥さん達(特にメジロの夫婦)は、冬の間はどこでどう過ごしているのだろうか?

自宅周辺は、新築ラッシュの様相を呈している。

でも、元々の建物を取り壊して分筆した上での新築が多いように思う。

街の景観は何となく悪化しているような気がする。

八ヶ岳の敷地は、私の「未来予想図」通りになっているのだが、自宅の方はここ数年で残念ながら「想定外」の方向に進みつつある。

都市郊外での「相続」というイベントが住環境に及ぼす影響を過小評価していたのかもしれない。

まあ、人生、こんな事もあるよな…

そんな事を考えながら、3Fのベランダから夕陽を眺めた。

八ヶ岳で見る夕陽のような神々しさは感じられない。なんとなく禍々しい印象だ。

洗濯物を取り込んでいる間に夕陽はさらに沈んでいった。

本当に同じ「夕陽」なのだろうか?

ちっ、大嫌いな鉄塔と電線が雰囲気を台無しにしているな!

私の大嫌いな鉄塔と電線が、沈む行く夕陽を遮っている。本当に不快だな…

やっぱり「夕陽は八ヶ岳」だな….

 

by『八ヶ岳稿房主』