朝方、愛犬「カリン」の「ワンっ」という大きな鳴き声で目が覚めた。
何事かと思って寝ぼけ眼で周囲を見回したが異変はなく、カリンの姿もなかった。
あれっ、変だな?
やや間を置いて、カリンは10年近く前に亡くなっていた事に気が付いた。
ああっ、夢だったのか…
夢と言っても、ストーリーのようなモノは何も覚えていない。
ただ鳴き声だけだったので、余計にリアルに感じた。
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今日で自宅の滞在は17日目。
当初は、今日、東京で講演を終えて、明日から八ヶ岳に長期滞在する予定であった。
だが諸々の事情があって、今週になって予定の変更がいくつか生じた。
そのため、もしかすると八ヶ岳出社が1~2日遅れるかもしれない状況になっている。
そんな折のカリンの「夢の中」での登場だった。
私は、子供の頃から、ほとんど夢を見ない(見た事を覚えていない)体質である。
だが、なぜか時々、「土偶さん」と「亡き愛犬 カリン」だけは夢に出てくる。
頻度は多くはないが、繰り返し登場するので、どうしてもその理由や背景を探りたくなる。
今朝の「カリン」は何故、夢に出てきたのかな?
すぐに思い当たる事があった。
昨日、『八ヶ岳稿房』で、これまでの「別れ」で最も寂しかったのは「ランクル100」だなんて書いてしまったからだな…
「私じゃないのね!」って、怒ってしまったかな?
カリン、安心しておくれ。
あれは、所詮は「モノとの別れ」の事だよ。
「生き物」との別れで、これまで一番悲しくて、つらかったのは「カリン」を看取った時だよ。
3人の息子達も皆、声を上げて泣いていたよね。
長男のSと次男のCは、カリンの具合が悪いと聞いて、それぞれの赴任先からすぐに戻ってきたんだよ。
私も、親兄弟なんて比べものにならない程ほど、悲しかったんだから(ん? まだ何人か生きてたかな??)
明日から八ヶ岳だけど、今日のタスクリストの一番上は「カリンのお墓掃除」だよ。
そう心の中で呟いて、自宅にある「カリンのお墓」を掃除して、お線香と冷たいお水、それに彼女が大好きだったお菓子を供えた。
「カリン」の名前は、私の愛読書「銀河英雄伝説」の登場人物から拝借した。
「銀河英雄伝説」を名前の由来とするのは、我が社の社名「トリグラフ(Triglav)」と「カリン(Karin)」、そして我が友リスの「ミッターマイヤー(Mittermeier)」だけである。
銀河英雄伝説の「カリン」は、猛将「シェーンコップ(Schonkopf)中将」の娘で「気の強い美人系」キャラだ。
我が家の「カリン」も「美犬」だったが、決して他の犬を寄せ付けない(なぜか除くウェルシュ・コーギー・ペンブローク)性格だった。
人間でも動物でも、やたら愛想を振りまくやつは信用できない。
私は、カリンのそんな「孤高の気高さ」が好きだった。
おっとイケない「カリンを偲ぶ会」になってしまうぞ。
そんな辛気くさいのは、お洒落じゃないよな…
まあ何にせよ、カリンが時々「夢」に出てきてくれるのは嬉しい事だ。
ふと、大滝詠一さんの名曲のフレーズが頭に浮かんだ。
夢でもし逢えたら 素敵なことね
あなたに逢えるまで 眠り続けたい…
by『八ヶ岳稿房主』