八ヶ岳における「私的開拓」のお手本は、間違いなく故「柳生博 師」である。
1999年に八ヶ岳本宅を購入するとほぼ同時に「大量の枕木調達」に動いたのは、柳生さんの庭作りを真似ての行動だった。
結局、3つの業者(含むJR)から計350本の中古枕木を調達。
ロジスティックスの重要性と楽しさを学んだ。
これらの枕木は、駐車場、スロープ、テラス、薪置き場のベースとして、調達から24年目を迎えた現在でもバリバリの現役である。
庭作りにおいても、広葉樹(雑木)や八ヶ岳自生種を大切にする事を心掛けた。
但し、唯一「背いた事」がある。それは「洋芝」の種を蒔いた事だ。
柳生さんは庭のグラウンドカバーを「芝生」にすることを「醜悪」としていた。
だが、我が家の庭は、当初購入した300坪の土地が、その後2回の隣地の購入で200坪、100坪と追加的に増えていった。
200坪のフラットスペースは雑草・雑木が繁茂する「荒れ地」、100坪の三角地は財産区林と一体化したような未整備の林であった。
しかも、敷地からかなり下った財産区林内には「フウキ沢」なる涸れ沢があり、水気を好む笹が繁茂していたのである。
社主さまと2人、雑草を刈り、雑木を切り、さらには業者さんに頼んで赤松を中心とする針葉樹を伐採し、庭作りを進めた。
正に「開拓作業」であった。
当初は、200坪のフラットスペースは草花を植える事も計画したのだが、鹿の食害が避けられそうもなかった。
それに、ゴチャゴチャしないシンプルでスッキリした庭が欲しいよねという事で、社主さまと意見が一致。
だが、何も植えないで放っておくと笹が侵入してくるのは明らかだった。
一度侵入されたら、笹程、面倒なものはない。
鹿にも強くて、笹にも負けないグラウンドカバーって何?
答えは簡単。「洋芝」だった。
ここで、柳生さんの教えとは路線が決別。
私の洋芝の「種蒔く人」としての八ヶ岳私的開拓史がスタートしたのである。
オフィスのセルフビルドに着手した2013年頃には、庭のフラットスペースの主役は完全に洋芝となった。
3~4年前からは、ツリーハウスの建設予定地である最後に購入した100坪の三角地にも洋芝の種をダメもとで蒔いてみた。
洋芝の生命力は凄まじく、元々は林であったような場所にも着々と領土を拡大しつつある。
そして、鹿軍団は芝に対しては「芝刈り機」の役割を果たしてくれる事がわかった。
だが、そんな「無敵の洋芝」も八ヶ岳の厳冬期の霜柱には、それなりのダメージを受ける。
そして、モグラやカラス、場合によってはアナグマ等の野生動物に荒らされる事もある。
そんなわけで、毎年、異形のソメイヨシノが咲く頃には、傷んだり荒らされたスペースに洋芝の種を追加で撒く事が私の仕事となっていた。
今年は、昨日の八ヶ岳撤収日にこの作業を行った。
幸い、今年は霜柱による傷みが少なかったので、1kg(約2リットル)の洋芝の種を1袋だけ購入。
いつもと同じメーカーで値段は2,980円。
あれっ? 随分と高いような気がするぞ (°0°)
昨年までは、1kgを2袋買って3,000円強だった気がするんだが…
今年は、従来主に撒いてきた「ペレニアルライグラス」の他に、「ハイブリッドブルーグラス」と「トールフェスク」を含んだ「3種混合」にしたせいかな?
購入履歴を調べてみると、昨年までペレニアルライグラスの値段は1,500~1,600円で安定的だった。
じゃあ今年は? おっと、2,230円に値上がりしているじゃないか。
昨年(1,590円)対比で40%の値上がりであった。
「八ヶ岳ライフ」という括りで値上がりを実感したのは、野鳥のレストラン給餌用の「ヒマワリの種」に次いでだな…(https://triglav-research.com/?p=41641)
園芸分野にもインフレの波が押し寄せている事を実感した。
「チッ、暮らしづらい世の中になったな。」なんてボヤキながら、補修種蒔き作業を進めた。
フラットスペースの至るところに「鹿の糞(フン)」があった。
奴らもこの200坪の芝生のスペースが大好きで、夜ごとに集会を開いているのだ。
芝刈り機の役割には感謝しているんだが、もうちょっと上品に頼むよな~
「種撒く人」のボヤキは続く…