今でも時々、「田舎暮らしのスローライフ」なんて類のタイトルを付した本や雑誌をAmazonで見かける。
その度に「嘘臭い、薄っぺらな内容」だろうなと予測する。
私の八ヶ岳ライフなんて、20年以上前にスタートした時点から「スロー」なんて言葉とはまったくの無縁である。
やりたい事ややらねばならぬ事が次から次へと現れて、とっても忙しい。
そしてその作業のどれもが「超楽しい!」のだ。
八ヶ岳での作業が楽しい理由は、八ヶ岳ライフを2~3年続けた頃に何となく整理できた。
ひとつめは「身体を動かす事」である。
DIY作業を筆頭に、ログハウスやウッドデッキの塗装、草刈り、薪割りや薪運び、庭のブロア作業等々、真冬の厳冬期を除けば常に動き回っている。
八ヶ岳滞在中の1日の歩数が平均13,000~14,000歩程度になるのは、いかに動き回っているかの証である。
ふたつめは「学んで知恵を使う事の連続」である点だ。
様々な自然現象に加え、動植物や昆虫等々、森林インストラクターである私でも学んだ事のないような現象や事態に次から次へと遭遇する。
その度に対応策を調べて、我が八ヶ岳ライフに適合するように工夫せねばならない。
この一連のプロセスが本当に楽しいのだ。
そして、これらの「楽しい作業」の果実を実り多きものとするためには、さらに2つのポイントがある事もわかってきた。
その第1は、異変・異常に対して可能な限り早く手を打つ事だ。
私はこれを「有事即応の原則」と名付けている。
最たる例が「蜂の巣駆除」である。巣の直径が10cmに満たない段階で早期殲滅戦に臨めば、蜂の脅威は大幅に軽減できるのだ。
実は、今朝、有事対応が求められる「緊急事態(ちょっと大袈裟かな?)」が発生した。
社主さまが、冬支度の恒例作業である「鹿除け銀シート巻き」の下見をしている際に、アルプス乙女の樹皮に真新しい鹿の食害を発見したのだ。
銀シート巻き作業は、例年「勤労感謝の日」前後である。
それ以前の時期の食害はこれまでほとんど経験が無かったので「異例の事態」である。
異常気象で想像以上に鹿の食料が乏しいのかな?
私は大慌てで、銀シート巻きの対象樹木の状況を確認した。
すると、とんでもない被害を「ナナカマド」そして「庭の優等生 ヤマボウシ」に発見した。
ヤマボウシは、アルプス乙女と同じく「食害」であったが、ナナカマドには「鹿の角研ぎ」の跡が生々しく刻まれていたのだ。
共に、前回の八ヶ岳滞在中には気付かなかった痕跡である。
「食害」の場合は、幹回りを1周グルッと囓られた段階で、その樹木はほぼ100%枯死することになる。
「角研ぎ傷」だけで簡単に枯死する事はないが、傷口から木材腐朽菌等が侵入すると樹勢は弱まり、最悪の場合はやはり枯れてしまうのである。
幸い、ソメイヨシノや花梨の木等に大きな被害はなかったのだが、いずれにせよ、今年は例年以上に早く、銀シート巻きによって「鹿の樹木への接近」を阻まねばならなくなった。
慎重な私は、銀シート巻きの部材は1年分位は常にストックしてある。
社主さまには「朝のウォーキング終わったら、一緒に作業しよう。」と伝えた。
実はこの時点で「有事即応の原則違反」であった。
だが、凄いのは我が家の社主さま(家内)である。
まるで航空自衛隊の小松基地や三沢基地の戦闘機パイロットであるかのようにホットスクランブル発進。
私が、30分間のマシンウォーキングを終えた頃には、ほとんどの木への銀シート巻きを終えて、最後の木となる「異形のソメイヨシノ」に「巻き巻き作業」をしている所だった。
しかしまあ、いつもながら感動するほどの作業の早さだな…
でも、これじゃあ私の立場がない。「対鹿軍団防衛戦線」の司令官は私なのだ。
ここで器の小さい司令官は、異変に対応する第2の原則である「有事対応徹底の原則(別名 情け容赦無用の原則)」を持ち出した。
有事対応に「手抜き」は禁物であり、相手が「脅威」であると判断した場合には、冷徹に情け容赦なく殲滅する。
これは「私の性格」にピッタリな原則なのである。
社主さまの銀シート巻きの状況をチェックしたら、銀シートの最上部に隙間を発見。
この部分は、雪が入り込まないように最後にしっかりとテープで巻き込む事が必要なのだ。
早速、社主さまに「上の部分をしっかりとテーピングしないと、銀シート巻きは完全とは言えないんだよね…」とクレームを付けた。
すると「忘れたんじゃなくて、大切な作業だから最後にまとめてやるつもりだったのよ!」とちょっとイラッとした感じの言葉が返ってきた。
まっ、マズイ… 社主さまのご機嫌を損ねてしまったぞ。どうフォローしようか?
小鉢男で気の弱い私は、ただただ狼狽えるしかなかった。
そりゃそうだ。八ヶ岳ライフが快適なのは、彼女の様々な貢献に依るのである。
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最後に「八ヶ岳ライフ」を楽しめる上で、最も大切な原則をお伝えしようと思う。
「企業会計原則」でいう所の「真実性の原則」(頂点原則)に相当するものだ。
それは『動ける(何でもやる)嫁 最強の原則』である!!