「器が小さく慎重で臆病、そして性悪説な私」の切なる願い

自分は「器が小さく慎重で臆病な人間」であるという事を十分に認識している。

また、人間に対する基本観は、荀子の「性悪説」に近い。

「人間の本性は悪。だがまあ、弛まない努力や修業によって善の状態に転化出来る(出来ない事はない)」と基本的には信じている。

だが、長く人に接する仕事を続けてきたので「業種別の性悪度合い」みたいなものが知らず知らずの内に自分の中で形成されたように思う。

銀行アナリスト(金融人)の私が言うのも何だが、やっぱり「金融」「不動産」「建設」等の業界の人達と接する場合には「性悪説」をより強く意識する必要があると思う。

この3業界すべてとの取引(契約)が必要となるのが「住宅購入」だ。

新百合ヶ丘の自宅を購入したのは1995年だが、不動産取引は初めてだったので、徹底的に勉強した。

気が付いたらかなりの知識が身に付いており、試しに「宅地建物取引士(当時は宅建主任)」資格試験を受験してみたら、通勤電車で試験問題集を一通り解いただけで合格できた。

それだけ、不動産取引の「怖さ」みたいなものを感じて、真面目に学んでいたのだと思う。

優良な建築・土木業者の見分け方なんてのも色々と調べたが、結局は「見積もりの詳細性・正確性・迅速性」と「提案の合法性」でかなり判定できる事を知った。

金融に関しては「プロ」なので、これは「経済合理性」と「利便性」を優先した。

この3業種との付き合い方で、油断や不勉強があると「お金」と「時間」を失う事になる。

場合によっては「法に抵触」するリスクもあるので「慎重で臆病」という性格は、どちらかと言うと、こういう場合には「美点」として作用してくれる。

2000年の八ヶ岳本宅購入の際は「金融」との取引は不要だったので、その分を「土地と家」の調査に時間を掛けた。

過去の自然災害や地質・活断層の位置、地方自治体の財政状態等まで調べたので、後顧の憂い無く物件を購入できた。

その後、隣接地を2回に分けて追加購入したが、これもほぼ事前の計画通りに進める事が出来たので、かなり安心&満足できていたのである。

富士見町は、平成30年版の「防災ガイドブック」をHP上で公表しているが、勿論、目を皿のようにしてチェックしている

富士見町の「防災ガイドブック」の最新版は「平成30年版」である。PDFファイルをデスクトップに保存して、いつでもすぐに開けるようにしている。

防災ガイドブックの中の「土砂災害ハザードマップ」を見れば、1戸1戸の住宅が「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」なのか、それとも「警戒区域外(ホワイトゾーン)」であるかは簡単に確認できる。

幸い、本宅もオフィスも「ホワイトゾーン」なのだが、隣接する涸れ沢が細い線のような「レッドゾーン」指定となっている。だから、臆病な私は、雨が続くと頻繁に涸れ沢の状況をチェックしているのだ。

因みに、富士見高原別荘地区のかなり広いエリアは「イエローゾーン」に区分されている。

地震についても「糸静構造線」南側で大地震発が発生(富士見町に最も大きな被害が想定される)した場合の「建物全壊率(所謂、建物被害マップ)」が確認できる。

「震度マップ」には、様々な震源域の想定がある。最も揺れと被害が大きいと予想される「糸静構造線(フォッサマグナの西端)」南部を震源とした場合は、「震度7(マップの赤い部分)」という強烈な震度が想定されている。建物被害マップの「建物全壊率」は、この最悪の震源域を前提に作成されている。

こちらは、本宅もオフィスも最もリスクの低い「0%以上20%未満」。

初めて「建物被害マップ」を見た時は「南アルプス側(リスク高い)」と「八ヶ岳側(リスク低い)」の想定建物損壊率の違いにビックリした。

要は「自然災害リスクは個別性が極めて高い」のだ。

こんな情報をしっかりと認識し、十分に自然災害への備えをする事は「世界有数の災害大国ニッポン」に住む国民の責務だと思う。

だが、ここ数日で「新たなリスク」に対する警戒感が急速に高まりつつある。理由は勿論「熱海伊豆山地区の土石流災害」である。

まずは、今回の被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。 皆様の安全と一日も早い復興を心より お祈り申し上げると共に、現在、安否不明である方が一人でも多く無事を確認されることを願っています。(第1の願い)

それにしても、流出した土砂のほぼ半分が「盛り土」である(らしい)事には本当に驚いた。

開発工事実施前の航空写真と災害発生前の航空写真を比較すると森林の大規模伐採が実施された事がわかる。盛り土のさらに上部には「ソーラーパネル」の設置が確認できる…

土砂災害警戒区域の上流でも、こんな開発行為って許されてしまうのだ(°0°) 正直、衝撃的な事実だった。

勿論、現時点では盛り土の違法性や、盛り土やソーラーパネル設置と土石流発生の因果関係は明らかになっていないが「慎重で臆病な私」を震え上がらせるには十分である。

そもそも、八ヶ岳本宅を購入した時点では「メガソーラー」なんて言葉は存在しなかったのだから、これまで「ノーマークのリスク」である。

私が、すぐに八ヶ岳本宅&オフィス周辺の「航空写真」をチェックしたのは言うまでもない。

富士見高原別荘地区を俯瞰。車で2~3分の場所にある「富士見高原リゾート」がいかに広大であるかを再認識。

ああっ、良かった。八ヶ岳方向の谷筋に沿って、樹木を大規模伐採した跡も盛り土らしい形跡も、そして、メガソーラーらしき施設もなかった。

八ヶ岳本宅とオフィスが所在する別荘地区は「立沢の字 広原」。幸い、八ヶ岳側(涸れ沢の上流)に大規模伐採や盛り土等の痕跡はなく、ちょっと一安心。ソーラーパネルも皆無だった。だが、「富士見第3配水池」隣接地の樹木伐採跡がちょっと気に掛かった。

あれっ? でも「富士見第3配水池」の隣接地にかなり広く樹木を伐採したスペースがあるな。これって何だろうか?

ところで、この航空写真って撮影日はいつだ? 5年も6年も前だったら意味ないじゃないか。

だが、Googleマップでは航空写真の撮影日を確認する事は出来ない。

どうしたら撮影日がわかるんだっけ? ああ、そうだ「Google Earth Pro」を見ればイイんだ!

当初はGoogle マップの航空写真をチェックしていたのだが、写真撮影日がわからない事に気が付いた。そこで、Google Earth Proに切り替えた。写真撮影日は2018年4月29日と判明。3年以上も前か… 現況がわからないのはちょっと心配だな…

すぐに確認すると「2018年4月29日」だった。オイオイ、3年以上も前かよ… どうも色々な意味で不安が拭えない。

結局、昨晩2時間以上も掛けて Google Earth Proであらゆる角度から、富士見高原周辺の森林伐採の状況やソーラーパネルの設置状況をチェックした。

当然ながら、PC画面の隣では富士見町の「防災ガイドブック」を開いていた。

その後、やや範囲を拡大し、茅野市から北杜市に掛けての「八ヶ岳西南麓」の状況も俯瞰。

八ヶ岳の西南麓全体をチェックすると、私が予想していた以上に「ソーラーパネル」が至るところに設置されていた。まるで「ソーラーパネル銀座」だな…

予想していた以上に、私が大嫌いな(https://triglav-research.com/?p=33069)あの「ソーラーパネル」が至るところに設置されている事実に驚愕した。

これじゃあ「ソーラーパネル銀座」じゃないか…

メガソーラー施設って、航空写真で見ると正に「メガ」だ。このエリアなんて、沢筋を中央に挟んで2つの施設が並んでいる。

そして、「器が小さく慎重で臆病で、そして性悪説な私」は心底願った。

Google Earthに「防災マップ」のレイヤー機能を付けて欲しい! と…(第2の願い)