今年で22年目を迎えた我が八ヶ岳ライフは、基本的には「楽しい事」が圧倒的に多い。
だが、八ヶ岳と新百合ヶ丘の自宅でデュアルライフを送るようになってから、「大嫌いになったもの」や「許せないもの」も少なからずある。
まだ30歳代の後半だった頃、八ヶ岳での拠点用の土地を探していた際に、最初にお世話になった不動産屋さんに、土地の条件について受けた質問が幾つかあった。
そのひとつが「南アルプスや八ヶ岳を毎日見る事の出来る場所がご希望ですか?登山の趣味とかもお有りですかね?」だった。
私が即座に「山は登るものではなく遠くから眺めるもの。それも色々な角度から時々眺める位がちょうど良い。そんな条件よりも開発される心配のない森や林に囲まれて暮らしたい。」と答えた。
すると、その業者さんは「そこまで明確な基準をお持ちだと本当に助かりますよ…」と言って、ちょっと声を出して笑った。
あくまでも、私の個人的な好みをサラッと伝えたつもりだったのだが、不動産屋さんにとって何が面白かったのか意味不明であった(偏屈な人間と思われたのかもしれない…)。
そんなわけで、現在でもその時の事をはっきりと覚えている。
八ヶ岳ライフを始めてから、我が主義に従い、時々、八ヶ岳や南アルプスを眺めるに相応しい「お気に入りスポット」を探した。
だがすぐに、意外とそんな場所が少ない事に気が付いた。
特に、私基準で「写真撮影」しても良いと思われる程の場所は、かなり限られた。理由は、私が元嫌悪する「電柱と電線」である。
例えば、私の一番のお気に入りの八ヶ岳撮影スポットは、長野県道・山梨県道17号茅野北杜韮崎線の本郷小学校手前(山梨方面から見て)だ。
ここは、八ヶ岳方面を眺める際に、見事な位に電柱や電線が存在しない。
おそらく青地指定の農地で住宅建設が許可されないのだと思う。
実はこのスポット、南アルプス方面の山々を撮影するのにもかなり良い場所なのだが、こちらはウンザリする程に電線が邪魔をする。
つい先日も「チェっ、いつ来ても邪魔な電線だな。」と思わず舌打ちしてしまった。
電線・電柱嫌いは、八ヶ岳に第2の拠点探しを始めた頃からだ。
ゆえに「電線・通信ケーブル等が地下埋設方式」である事が、物件探しの際の譲れない条件のひとつであった。
7~8年程前からは、これに加えて「太陽光パネル」が許せなくなってきた。
D4でドライブ中に、思わず「どうしてこんな素敵な場所に太陽光パネルなんだよ!設置者は何を考えているんだ。」と何度、声を荒げた事だろう。
最近は、さらに「フェンス」の類も嫌いである事に気が付いた。
まあ、これは「電柱・電線・太陽光パネル」の3点セット程の嫌悪感ではないが…
鹿や猪などの害獣除けには、電気柵等で一定のスペースを囲んでしまうのが「王道」なのだろうが、やっぱりこれも「お洒落」じゃない。
私的に許せるのは、個々の木の幹を守るネット柵程度なのである。
だから、わざわざ手間暇掛けて「鹿除け銀スカート」「結界石」「トリグラフ護衛隊群」といった鹿除けの防御策を導入しているのだ。
決して、単なる「酔狂」ではない!
電柱も電線も、そして太陽光パネルも、日常生活を支える大切なインフラである事は十分に理解している。
だが、景観を台無しにしてしまう「無粋さ」が、嫌いだし、許せないのだから仕方ない。
幸い、八ヶ岳本宅とオフィスが所在する別荘地区は、すべてが「地下埋設」方式だ。カントリーキッチンもそうだったかな?
無粋な電柱や電線が視界の中に入らない事は、私にとって極めて大きな価値がある。
勿論、そのためには「負担(代償)」も必要だ。
我が家の光ケーブルはNTTと交渉して、敷地内は「地下埋設」としている。要した費用は、当然ながら「自己負担」である。
還暦を数ヵ月後に控え、最近、特に思うのだ。嫌な事に対して無理に我慢したり、妥協する必要など無いじゃないかと…
勿論、他人に迷惑を掛けない事が大前提なのだが、人間「気儘」に生きた方が楽しいに決まっている。
八ヶ岳ライフでは、今後もそう在りたいなと思う。
そう、やっぱり私は、電柱と電線と太陽光パネルが大嫌いだ!