「ズルトラ」と呼ばれたある名機との永遠の別れ—ズルトラの命運を握ったClie

ビジネス、プライベート共に引き続き「断捨離」、そして最近は、新たに「再生」に取り組んでいる。

「物(ハードウェア)」の断捨離は、新百合ヶ丘の自宅でも八ヶ岳滞在中でも、主に週末を使う。中心となるのは、本、衣類、そして、デジガジェ(デジタルガジェット)だ。

元々、PDAやスマホの類の多くは、下取りに出して新機種に乗り換えてきた。だが、何らかの理由で手元に残してきた物も少なからずある。手元に残したPDA等はバッテリーの取り外しが出来ず、その劣化のためか電源すら入らずに、ただの「ゴミ」化している物が多い。

そこまで古くなくとも、既にスペック的に時代遅れとなっており、わざわざコストをかけて「再生」の意義を見出すことが出来ないのだ。この点がオーディオ機器やデジカメとの大きな違いだ。

そんなわけで「廃棄」を中心にデジガジェの断捨離をどんどん進めた。9月初めに、中古売却可能な機種が3台まで減ったところで、ちょっと動きが止まっていた。だが、その後、この3台を手放そうと決断させる大きな出来事があった。9月25日の「iPad OS」のリリースである。

今年の8月1日、それまで実質8台をTPOに応じて使い分けていたデジガジェ軍団を「iPad Pro 12.9 inch &11 inch」のタブレットチームと「Galaxy Note 9」の3台編成にまで一気に断捨離した事は、既に『八ヶ岳稿房』で紹介した(https://triglav-research.com/?p=25017)。

この時点で、機能的にも個人的満足度でも「過去最強」と言い得るデジガジェ軍団となっていた(100点満点で95点位かな…)。そして、iPad OSのリリースである。95点がほぼ満点に変わったもうこの3台(トリオ)以外のデジガジェ(スマホ&タブレット)は、完全に不要となったな! そう感じたのが、前回オフィス滞在時の10月5日であった。

「戦力外で中古売却可能」だった3台とは「iPhone X」「Xperia Z3 Tablet Compact」、そして「Xperia Z Ultra (ズルトラ)」である。最後の「ズルトラ」は、私にとって最も長い期間愛用した「名機中の名機」だ。

約1年半前の引退儀式を「ズルトラと呼ばれたある名機の引退(https://triglav-research.com/?p=21563)」で伝えたが、この投稿、何故か閲覧数が『八ヶ岳稿房』において、トップ3に入る人気記事となっていた。

iPhone XとZ3 Tabletの売却は躊躇なく決断できたが、ズルトラは迷った。他の2機種とは愛着のレベルが違う。引退まで3年11ヵ月も実働したので、時代遅れのスペックだけでなく、傷等もあり条件は圧倒的に悪い。馴染みの業者さんの買い取り価格上限は 5,000円か。どうしよう…

1年半前の引退式の際に初期化して、その後は1回も箱から出していないし、持っていてもただのゴミ化路線だよな。そうだ、とりあえず査定に出して、実際の買い取り価格を見てから決めよう。そう判断して、この3台を買い取り業者に送り出したのが10月8日だった。

査定価格がメールで送られてきたのに気が付いたのは昨日の夕方である。ズルトラの買い取り価格は3,800円。うーん、微妙だな。3台合わせた買い取り価格は、ほぼ7万円で予想通り。ズルトラは800円とかの査定であれば「買い取り中止の返品」とするのだが、見事に中途半端な買い取り価格である。私にしては珍しく迷った。

そんなタイミングで、昨日の夜、断捨離作業をしていたら、SONYの Clie PEG-TH55 なんて、とんでもない物が、書斎書棚上に置いた箱の中から出てきた。箱から付属品まですべて揃っていて「殿堂入り保管状態」だ。

この機種、2004年の発売で、無線LAN内臓。ハイレゾカラー液晶で写真撮影可能(動画再生も)だったし、勿論、音楽再生やボイス録音も可能。現在のスマホのPDA機能をほとんど備えた「名機」であり、約5年続いたSONY Clie の歴史の中で、確か最後から2番目の機種であったように思う(ちょっと自信はないが…)。

こいつもお気に入りで2年半位は使ったな。おそらく、SONYのPDA、スマホ系の中ではズルトラに次ぐ使用期間であったはずだ。んっ、それにしても外見的には綺麗だな。さらにクレードルまであるじゃないか。もしかして充電したら使えるんじゃないだろうか?

Amazonで取り扱いがあるか検索してみたら、さすがにかつての「名機」である。新品が27,800円~99,999円、中古品が15,750円~19,800円で、計6台出品されていた。起動出来たら中古売却可能かな ??

同時に閃いた。クレードルで一晩充電して無事に起動したら、SONYに敬意を表してズルトラの売却をやめよう。もし、ただのゴミ化していたらズルトラの売却決定だ!

SONY製ファブレット名機の命運を握るのは、同じくSONY製PDAの名機か…  かつてのSONYフリークとしては、ワクワクするような一晩となった。

今朝の10時過ぎ、一晩充電した Clieをクレードルから外して電源を入れてみた。が、まったく反応無し。ちょっと時間をおいてから電源ボタンをずっと押し(下げ)続けてみたが反応無し。念のためクレードルに接続したままやっても駄目..

ズルトラ下取りの命運を握った Clie PEG-TH55。Palm OSのPDAとしては最もお気に入りであった名機であり、おそらく2年半程使ったはずだ。でも15年前の機種じゃ、やっぱりバッテリーが死んじゃってるんだろうな。残念!

ズルトラを手放す事が決定した瞬間であった。今度は「引退」ではなく「永遠の別れ」である。これは同時に、かつて私的には「我が世の春」を謳歌していた SONY Xperia系デジガジェ軍団が、役割の終了だけでなく、物理的にも完全に一掃されたことを意味していた。

振り返ってみると、この写真を撮影したのがズルトラの最後のお仕事だった。引退の次は「永遠のお別れ」。ちょっと寂しいけれど、これは人間も同じだよな…

でも、iPad Pro や Galaxy Note 使っちゃったら、もう Xperia系 には戻る気がしないんだよな。そもそも、SONYから新しいタブレットなんて出てこないんだから…

かつての SONYフリーク、或いは、日本人として、すごく寂しい…