この週末、4年近くプライベートで使ってきた「ファブレット端末」の引退式を行った。SONY製の「Xperia Z Ultra(ズルトラと呼ぶマニアが多い)」という名機である。
仕事では、iPad Proを中心としたデジタルガジェット軍団(https://triglav-research.com/?p=20480)を使い回しているが、軍団には所属しないプライベート用の「孤高のAndroid愛機」であった。
我が国での発売は2014年1月。その年の6月に au機を購入したので今月で3年11ヵ月使った事になる。スマホ、ファブレット、タブレットの利用歴の中ではダントツの「最長不倒距離」を飛んでくれた。
購入から2年経過したところで、機種変更したのだが、この名機は例外的に下取りに出さずに、その後は格安SIMを挿入して使い続けて来たのである。トラブルは一度も発生していない。
兎に角、6.4inch液晶という縦長画面サイズの使い勝手がよい。片手で余裕で持てる(握れる)点が iPad miniとの比較では最大の強みであった。テキスト中心の小説・エッセイ等の電子書籍を読む際には、ちょうど良いサイズなのだ。
ちなみに、高さは179mm、幅はパスポートと同じ(92mm)、厚さはわずか6.5mmである。勿論、通話も可能だし、おサイフケータイ機能も使える。IPX5/8相当の防水性能とIP5X相当の防塵性能を備え、水の中に落とした位ではビクともしない。
専用スタイラスペンでの文字入力性能は、iPad Pro と Apple pencil が登場するまでは、私が使ったデジタルガジェットの中では最高水準だった。かつてのSONYファンとしては「堪らない完成度」の機種だったのである。
だが、酷使の影響か、ここ数ヵ月でバッテリーの持ちが急速に悪くなってきた。Androidは、アップデートしても4.4まで(au版)だし、CPUもQualcomm Snapdragon 800で、今となっては非力である。また、iPhone Xですっかり Face認証に慣れ親しんでしまった我が身には、指紋認証すら出来ない ズルトラのパスコード入力は面倒で仕方ない。
前面 200万画素、背面 800万画素のカメラ機能は、この解像度とは思えない位の写真撮影が可能なのだが、さすがに、iPhone Xのカメラ機能に慣れてくると、やっぱり「世代の違い」のようなものを感じてしまう。
「そろそろ引退の時期だな…」と考えて、今年の初め頃から、ズルトラの後継者(後継機)を探し続けてきた。だが、この特殊な6.4iinchというサイズの機種がどうしても見つからなかったのだ。「事業承継に悩む中小企業経営者」のような気分で、ここ数ヶ月は、ズルトラを騙し騙し、使い続けて来た。
幸い、4月に入ってすぐに、ほぼ「後継者」の条件を満たすある機種が見つかった。残念ながらSONY製ではなかったが、サイズ的にはほぼ一緒。性能的には防水・防塵機能とおサイフケータイ機能を除けば、ほとんどの項目でこの候補機種の方が勝っている。
そんなわけで、早速、某ネットショップに注文。先週の半ばに商品が届いたのだが、仕事が忙しく、結局、引継作業を昨日行った。ズルトラの「引退式」と言っても大袈裟なモノではなく、SIMカードを抜いただけである。
通常は、この後、初期化して、綺麗に掃除、そして購入時の箱に入れて下取りに出す段取りなのだが、ズルトラにはどうしても愛着がある。それに4年以上も前に発売になった機種なので、下取り価格も二束三文だろう。そんなわけで、Z Ultraは引退後も手許に残す事になった。
と、ここで気が付いた。3月末のお片付け作業の際に出てきた「デジマビ」や「iPhone 3Gs」も私が覚えていなかっただけで、同じような理由から下取りに出さなかったに違いない。そう、下取りに出さずに手許に残っているデジタルガジェットは、トリグラフ的には『殿堂入りの名機』なのである。
そう言えば、川崎自宅の屋根裏収納にそんな類のデジガジを収納したコンテナがあったような気もしてきた。暇な時に中身を確認して「名機復活シリーズ」として【Lifehackと遊び心の部屋】で紹介するのも悪くないな。いずれにせよ、ズルトラの引退を契機に、私はかつて「名機は手許に残す」という主義であった事を思い出した。
でも、いつから「躊躇無く下取り派」に転向したんだっけ? そうか、SONYがワクワクするような面白い製品を世に出さなくなってからだな。それに、どうしてSONYは、ズルトラの後継機を発売しなかったのだろうか?
ズルトラの引退で、本当の意味で Xperia系は一掃された事になる。かつての SONYフリーク、或いは、日本人として、ちょっと寂しい…
by『八ヶ岳稿房主』