私が八ヶ岳オフィスに単独で出社・滞在する際の行動は、見事な位に「定型化」されている。特に、起床から午前10時まで、午後7時~就寝までは、「定型化の美学に浸る時間帯」であり、清々しいくらいに味気ない所作を繰り返す。
今朝も6時前に目覚めた後、新聞やWebニュース等の情報チェック→マシン・ウォーキングと終え、NHK朝ドラBS放送版を流しながらのメールチェックへと定型化された作業が流れるように進んだ。
朝の珈琲を淹れるのは7時半頃だ。朝ドラの放送が「おしん」から今なら「スカーレット」に変わるタイミングが目安となっている。今日は「八ヶ岳ブレンド」の豆をセットして、珈琲メーカーPanasonicのNC-A56のスイッチをオン。その後は、珈琲豆を挽く軽快な音など、NC-A56が発する様々な「美味しい音色」を楽しむ事になる。
が、今日は何故か音が違った。ガラスポットに落ちる珈琲の音が何となく不規則で辿々しいように思えた。だが、急ぎの案件がいくつかあったため、そのまま気にせずにメール処理を続けた。
するとやがて明らかに液体が流れ落ちる異音が… 慌てて、オフィス・エントランス脇のNC-A56の置き場所を振り返ると、珈琲が溢れ出していた。もうパニックである。
当初は、昨年6月19日の購入以来、1日も欠かす事なく八ヶ岳での珈琲ライフを愉しませてくれたNC-A56の故障かなと思った。大慌てで置き台となっているシューズボックスや床にこぼれた珈琲を拭き取った後で、じっくりとトラブルの原因を探った。
「あっ、ペーパーフィルターセットするのを忘れていた…」そう、NC-A56の故障ではなく、私の単純ミスだったのである。目詰まりしたドリッパーから珈琲が溢れ出していたのだ。「粗相」と書いて「そそう」と読む。10月2日の朝は、私のこんな粗相からスタートした。
思わず笑ってしまった事がある。熱い珈琲がかなりの量こぼれたので、シューズボックスにもフロアにも「シミ」が残るかなと危惧した。
だが、珈琲台となっているシューズボックスの上にも下にも厚手のビニールマット(デスクマットに使う物)がサイズをぴったりと合わせてカッティングして敷いてあったのだ。あまりにも寸法ピッタリなので、このお手製の「汚れ防止マット」がある事をすっかり忘れていたのである。
勿論、我が家でこんな面倒な事をするのは「小細工の魔術師」である私以外にいない。おかげで、台にもフロアにも被害は皆無。「どんなもんだい。世の中、やっぱり細かくて面倒な人間が必要なんだぞ。」と思わず呟いてしまった。が、よくよく考えれば「粗相をしない人間」の方が、もっと大切な(強い)ような気がする..
今朝は、NC-A56にはちょっと休息してもらおうか? そう言えば、昨日、鹿の湯で「葡萄」と「マグネース」とか言うスパークリング・ウォ-ター買ったよな。
単独出社の際の朝食は、ローソンのふすまパン、低糖ヨーグルトに珈琲というシンプルな組み合わせが「ど定番」なのだが、今日は趣向を変えて、フルーツ(葡萄)、ヨーグルト、チーズにミネラルウォ-ターに決めた。
メインウッドデッキのガーデンベッド脇に置いたテーブルにシンプルな朝食一式を並べた。最初に葡萄を1個口に放り込んだ。「エッ、なんだこれ?」ビックリする程に甘い。鹿の湯で「大きな2房1パック500円」で買った物なのだが信じられない位の美味だ!
食べ物にまったく興味のない私は、葡萄の品種なんてほとんどわからない。「紫で小さかったらデラウェア、大きかったら巨峰、緑だったらマスカット」程度の大雑把な括りで済ませてしまう。「これは大きくて紫だから巨峰かな?」なんて適当な事を考えながら、庭や空を眺めつつ朝食を楽しんだ。
東京でサラリーマンしてたら通勤電車にウンザリしている時間帯だな.. 「粗相」から始まった1日だが、こんなに美味しい葡萄を味わいながら樹木に囲まれて朝食を楽しめるんだから、やっぱり幸せだな。
八ヶ岳本宅購入からもうすぐ丸20年、セルフビルドオフィス完工からもうすぐ丸7年を迎える。わざわざ八ヶ岳にオフィスを構えて本当によかった!