【縄文土偶探訪記 Revival Season Vol.5】国立歴史民俗博物館(千葉県)

探訪博物館: 国立歴史民俗博物館(https://www.rekihaku.ac.jp/index.html
探訪日: 2019年4月2日
探訪目的: 「子抱き土偶」さんと有名土偶さん達のレプリカ多数

全国各地の考古博物館を収蔵・展示されている土偶さんとの出会いを求めて渡り歩いていると、その内容を情報発信すべきか否か悩む事がある。一番の理由は、写真撮影やWeb掲載不可(或いは面倒な承認手続が必要)な先であり、実際は「悩む」と言うよりも「(私のように)器の小さい先だな。仕方ないや…」って感じですぐに「お蔵入り」を決定する(行かなかったものとして封印してしまう)。実は県立博物館系を中心にそんな先が結構ある。それらと比較すると、これまで Revival seasonで紹介した秋田・青森の4館は、本当に太っ腹で気持ちが良い先だった。

もうひとつの悩みは、展示物が「レプリカ中心」で、実物が展示されていたとしても「少数」かつ「無名(あまり有名ではないと言うべきか)」であるケースだ。こういった先は本当に悩む。【縄文土偶探訪記】は一部の例外を除くと「実物土偶さんとのご対面」の感動を伝えるものなので、その辺りの配信決定の「線引き」が微妙なのだ。Revival seasonになって情報発信をためらったのは2つの博物館、共に後者のケースである。結局、数は少ないが実物の土偶さんにご対面できた事に変わりはないので、時代は平成から令和に変わってしまったが、遅ればせながら紹介する事に決めた。

まずは、我が故郷である「千葉県」にある「国立歴史民俗博物館(れきはく)」である。千葉県の施設によくある事だが、名称だけではどこにある施設なのかサッパリわからない。だが、その名称は、ここが我が国の「歴史民俗」研究の総本山的存在である事を誇示している。

最近の縄文ブームにあやかって、様々な「縄文関連本」が出版されているが、自称「その道の通(つう)」である私が、面白いな(或いは、勉強になるな)と感じる本は少ない。そんな中で『生と死の考古学−縄文時代の死生観−』『つくられた縄文時代 日本文化の原像をさぐる』といった良書を書かれているのが「山田康弘」先生であり、国立歴史民俗博物館の教授職にある。

正に「頂点」的存在の博物館が未探訪になっていた理由は2つ。まずは、縄文時代の展示コーナーが所属する「第1展示室(先史・古代)」が長期リーニューアル工事となっていて、訪問しても「見学は出来ない」状態が続いていたのだ。そして、改良工事がやっと終わって、今年の3月19日にリニューアルオープンとなった。2つめの理由は、この博物館には全国のメジャーな土偶さん達が勢揃い状態になるのだが、その多くが「レプリカ」である事だ。国宝や国指定重要文化財級のメージャー土偶さん達のほとんどは、出土地の博物館、或いは、東京を代表とする国立博物館に収蔵・展示されているので、これは仕方ない。
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前書きが長くなってしまったが、ここからはサラッと書こう。この「国立歴史民俗博物館」探訪の絶好のチャンスが到来したのである。それは4月のロサンゼルス役員慰安旅行である。2017年のバリ島の時もそうだったが、私と社主さま(家内)で成田空港から海外に出る時は「D4で成田に向かって、ANAホテルに前泊し、旅行期間中は、そのままホテルの駐車場にD4を預ける(駐める)」というが恒例化しつつある。そして、新百合ヶ丘自宅から成田までの正に「途中の場所」に国立歴史博物館はあるのだ。

D4で歴史博物館の駐車場に到着したのは4月2日の午後1時少し前。広大な博物館敷地内の公園スペースは桜が満開で、駐車場は花見客でほぼ満杯という状況だった。八ヶ岳よりも桜の開花がほぼ1ヵ月早い事になる。

Galaxy Note9の横長写真にも全景を写す事が出来ない程に巨大な国立歴史民俗博物館の建物。
博物館内の広場はお花見の名所のようで、ちょうど桜が満開。お花見客は博物館の見学者数を大幅に上回っていた。

入館料は600円。博物館の案内パンフレットを見て、ちょっとビックリ。展示室は6つなのだが、そのひとつひとつが平均的な考古博物館のスペースよりもはるかに大きいのである。早足でサラッと見学しても最低1時間はかかるだろうと予測。社主さまには「折角来たのだから取り敢えず全展示室を見て回ろうね」と伝えて、お目当ての第1展示室の「縄文展示コーナー(多様な縄文列島)」に直行した。

長い期間リニューアル工事中だった「第1展示室(先史・古代)」は3月19日にリニューアルオープンしたばかり。

そこは「有名土偶さん達の集会所」状態。「日本最古の土偶さんペア」から始まり、当然ではあるが「国宝土偶さん」や「国指定重要文化財クラス」の土偶さんが勢揃い。そして、私はそのほとんどの実物と、既にご対面済みである。社主さまは、私と一緒に考古博物館を何館も見て回っているので「あっ、この子知っている。この子も見た事ある。」なんて感じで、結構、楽しんでいるようだった。

日本最古の土偶さんペアの写真。レプリカですが…
有名土偶さん達は、凝りに凝った展示スペースを与えられて本当にお洒落に展示されていました。
ほとんどのレプリカ土偶さんの実物にはご対面済みですが、この土偶さん(青森県砂沢遺跡出土)は例外かな? それとも写真掲載不可だったかな??

だが、悲しいかな、ほとんどの土偶さんの解説プレートには《複製》という表示が…  目を皿のようにして「実物(当館蔵)」はないかと探した結果、「オオ、これは!」と思えた展示物が2つ。ひとつは、東京都宮田遺跡出土の「子を抱く土偶」さん、そしてもうひとつが、青森県是川中居遺跡出土の「香炉型土器」だった。

やっとの事で実物土偶さんにご対面。「子を抱く土偶」さんで、博物館のWebでも紹介されている。
こちらの香炉形土器も実物。井戸尻型とはやっぱり雰囲気が違うな…

「ああっ、数は少ないけれど実物にも出会えて本当によかった…」 第1展示室を20分ほど見学した後は、残りの5つの展示室を順番に早足で見て回った(Walking状態)。最後の展示室を出た時に時計は既に午後2時となっていた。

こんな具合に豪華でお洒落な展示スペースが延々と続くのです。丁寧に見学したら丸1日楽しめそうな気がする。

こうして、土偶さん的には「小ネタ」となってしまったが、国立歴史民俗博物館の探訪も無事終了!(ミュージアムショップには土偶さん関連グッズも沢山置いてありましたが、そのほとんどは既に購入済みでした…)