私が1番好きな映画は、デヴィッド・リーン監督、ピーター・オトゥール主演の『アラビアのロレンス』である。1962年製作のイギリス映画で、モーリス・ジャールの音楽も素晴らしい。映画の中で、主人公のT.E.ロレンスが、新聞記者から「砂漠のどこに惹かれるのか?」と尋ねられるシーンがある。ロレンスは「砂漠は清潔だから(It’s clean.)」と答える。私が八ヶ岳に魅了される理由も同じである。付け加えるとしたら「静かで(Serene)」だろうか。
昨日の八ヶ岳オフィス周辺は「静謐(せいひつ)」という言葉がピッタリの「特別な日」だった。兎に角、静かで、清々しく、穏やかな1日。野鳥の囀りや虫の鳴き声を驚く程にクリアに聞き取る事が出来た。陽射しはどことなく優しく、風は微風、室内気温は日中でも26℃を超えなかった。そんな特別な日を体験できるのは、八ヶ岳ライフにおいても年に数回である。
講演資料作成のため午前8時前から仕事に没頭。珍しくBGMを流さずに、図書館並の静けさのオフィスで集中して仕事を進めた結果、午後4時前には、この日に予定していた作業を終える事が出来た。ちょっと休憩をと思い、オフィスウッドデッキのガーデン・ラウンジ・ベッドに横たわった。周囲を緑のドームに覆われて、まるで、自分だけ別世界に迷い込んだかのような気分になった。
そのまま寝入ってしまったようで、目覚めたら、目の前にガーデンチェアとテーブルがあった。ベッドから落ちかけていたのだ。時計を見ると午後5時少し前。1時間近くも屋外で熟睡した事になる。気分は爽快!
その後、再び仕事を続け、いつもよりちょっと早めに「鹿の湯」へ。軽い夕食を済ませて落ち着いたのは午後8時半過ぎだった。もう仕事はしないと決めていたので、「焚き火」を楽しむ事とした。
八ヶ岳オフィスにおける「火」に関連した楽しみと言えば、「BBQ」「本宅の薪ストーブ(冬)」そして「焚き火(春~秋)」だ。この時期、枕木テラスの上は、山栗の木から落ちた花穂が散乱している。夕方、掃き集めておいたこの花穂を、燃料としてファイヤー・プレイスに押し込んで着火。山栗からの贈り物は、すぐに勢いよく炎を立て始めた。
「焚き火」は理屈抜きにイイ。1日の締め括りには「最高の儀式」だ。2003年に「焚き火大全」という名著が出版され、その歴史や作法等々をしっかりと学んだ事を思い出す。本当は、八ヶ岳ライフの師と仰ぐ「柳生博」先生や「荒川じんぺい」さんのように焚き火用の石組みの炉を作りたかったのだが、別荘管理組合の規定や我が家の敷地環境から断念したのである。
その代わり、色々なタイプのファイヤー・プレイスで焚き火するという楽しみが出来た。現在のは「5代目(https://triglav-research.com/?p=15352)」。「火入れ式」は2015年12月27日だったので、今年の冬で丸3年だ。酷使が祟ったのか、色々な部分が傷んできている。そろそろ「6代目」選定作業に着手せねばならない。
結局、50分程ボンヤリと焚き火を見て過ごした。目の疲れを癒やす「温かい涙」が滲み始めたし、数回に分けて補充した山栗の贈り物も燃え尽きようとしている。「特別に静謐な1日」の焚き火はこれにて終了。本当に素晴らしい1日だった。
今朝は6時少し前に目覚めた。昨日からは一変、風が強く小雨が降っている。枕木テラスに出てビックリ。昨日掃き集めて焚き火の燃料となった山栗の花穂が、一夜にして枕木テラスを再び覆っている。
山栗の贈り物は1回で十分だったのだが…まあ、イイか。
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