「自慢の嫁」「最強の嫁」— スズメバチ女王達の憐れ

私には、常日頃考えている「八ヶ岳(デュアル)ライフを実り多きものにするために大切な個人的三要素」なるものがある。

① 好奇心 ② 行動力 ③ バランス感覚(どちらか一方の生活にのめり込まない)だ。

そして、それ以上に大切なのが「配偶者の理解と適応能力」だと信じている。
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我が家の社主さま(家内)は、これらの要素を満遍なく、かつ、極めて高いレベルで満たす「自慢の嫁」である。

加えて、底無しとも思える程の「持久力・耐久力」は「超人」の域に近いように思える。

彼女の八ヶ岳での作業領域は、草刈りから始まって、ログハウスやデッキの塗装、薪ストーブ管理、オフィス・セルフビルド(特に屋根貼り)、木の伐採、薪割り、落ち葉のブロア等々、拡大を続けている。

対照的に、私の「専管(担)事項」は、年々領域が狭まる一方だ。

残された数少ない私の専管事項のひとつに「スズメバチ対策(殲滅戦)」があった。

スズメバチに限定せずに「蜂の巣の早期発見と駆除」は、快適かつ安全な八ヶ岳ライフを楽しむ上で、極めて重要なのだ。

だが、その領域にも、遂に社主さまが進出してきたのである。

前回の八ヶ岳撤収日の3日前の事だっただろうか?

社主さまが「ねえ、今年の蜂の巣駆除はいつ頃から始めるの?」と聞いてきた。

「毎年5月の中旬頃から蜂の巣作りが始まるので、次に来た時からかな。」と私は答えた。

すると「YouTubeで調べたんだけれど、スズメバチ対策は、越冬した女王蜂が活動を始める春先に、罠を仕掛けるのが一番効くらしいわよ。」との言葉が返ってきた。

「確かに女王蜂が巣作りを始める前に、早期殲滅するのが賢いみたいなんだけれど、ハチ激取れを置いても、この時期は簡単に入って来ないんだよね。」と、私は反論。

「じゃあ、私がYouTubeを真似して、やってみてもイイかしら?」と社主さま。

こうなると、私に抗う術がないのは言うまでもない。

その後、社主さまは、スーパーで「カルピス巨峰味(希釈用原液)」を購入。

彼女曰く「スズメバチの女王蜂の大好物」との事。

スズメバチの女王蜂が、カルピス巨峰味が大好物だなんて、最初は信じられなかった…

私は「嘘臭いな…」と心の中で呟いたのである。

4月25日の前回撤収日。私は朝からZOOMで講演。

その間に、社主さまはペットボトルを小細工して、お手製の「スズメバチ捕獲器」を作成。

野鳥さんのレストラン「プルミエール」とオフィスウッドデッキの下に罠を仕掛けた。

空になったペットボトルにカルピス巨峰味を若干、水で薄めて投入。あとは、ペットボトルに切り込みを入れただけのシンプルな構造。こんなので、あの獰猛なスズメバチのQueenが罠に掛かるとは、正直、思えなかった。

中には、カルピス巨峰味が入っていた。

「これでスズメバチ対策はバッチリだと思うのよね。」と社主さまは、成功を信じて疑わない口調であった。

私は「スズメバチとの戦いは、そんなに甘くないよ!」と、また心の中で呟いた。

そう、決して口に出さない事が重要なのだ。
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そして、5月14日の朝を迎えた。

前夜の午後10時過ぎに八ヶ岳オフィスに出社したので、社主さまお手製の「女王蜂殲滅器(私が命名)」の戦果の初確認である。

その結果は…

女王蜂か否かは定かでないが、大きなスズメバチが殲滅器の中にドッサリ。

どれもデカいな…  やっぱり、女王蜂だな!

5月7日の朝 社主さまお手製の「スズメバチ殲滅器」の戦果を確認して(°0°) スズメバチが15匹位、罠に掛かっていたのだ。

まだ何とか逃げだそうと蠢いている蜂もいた。これは凄いぞ (°0°)

早速、社主さまに戦果を報告。

様子を見に来た彼女は、特に戦果を誇示する事なく「当然よ!」といった風情。

「まだまだ効き目はあると思うから、もう少し掛けておきましょう。」とサラッと言った。

対スズメバチ殲滅戦の司令官権限が、私から社主さまに移った瞬間であった。

今朝確認すると、カルピス巨峰味の量は減って、囚われたスズメバチの数はさらに増えていた。

う~ん、やっぱり我が家の嫁は「最強」だな!

スズメバチの女王さん達、憐れだな。

でも、相手が悪かったと思って諦めてね…
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今日の夕方、私は今年初めての「アシナガバチの巣」の早期駆除を行った。

私は、オフィスの軒下にアシナガバチが巣を作っているのを発見。今年初めての巣の駆除を実行。ショボいな…

情けない程に小さい巣に「ハチアブ マグナムジェット」をシュッとワンプッシュ。

30秒程でアシナガバチの女王蜂が絶命するのをじっと見届けた。どんなもんだい!

駆除したアシナガバチの巣を観察。卵が見える。しかしまあ、ショボい戦果だな…

あまりにも「ショボい戦果」で「新司令官」に報告する事は出来なかった…