「八ヶ岳ライフ20年の総括」って悪くないなと思えてきた。そんなわけで、続けて「八ヶ岳ライフ功労者列伝」を書こうと思う。
今日は「ウッドデッキ」だ。一昨日書いたように、我が八ヶ岳ライフ拠点内のウッドデッキ総面積は137㎡(約75畳)ある。
敷地の総面積が600坪(約2,000㎡)なので、ウッドデッキ部分の構成比は約7%。やはり、枕木のテラスやスロープ同様、その「存在感」は大きい。
何故、ここまで大きなウッドデッキを造ったか? 切っ掛けは、八ヶ岳の家の「物件探し」で最初に出会った不動産業者さんのアドバイスだった。
「八ヶ岳の家の購入の際にも、何回も現地に通ったんでしょうね?」と尋ねられる事が多い。実は、現地での物件探しはたったの2回。実際に見た物件は3件しかない。現在の本宅は2回目の現地訪問で訪れた最初(3件目)の物件で、ほぼ「即断」状態で購入したのである。
だが、現地物件を見る前に徹底的な事前調査を行った。調査・分析を生業とする身なので、これは当然である。「田舎暮らし系」の本は20冊位は読んだと思うし、八ヶ岳西麓周辺の市町村の気候や過去の歴史のみならず、人口動態や財政状態、活断層等々のチェックも行った。
一番時間を掛けたのは、当時、不動産屋さんが一斉に活用を始めたHPの丹念なチェックである。実務に携わった事はないが、当時既に「宅地建物取引士」の資格を有していたので、信頼できる不動産屋業者とそうでない所は、まあ簡単に見分けが付いた。
「物件を購入するならこの2社だな!」と決めてから具体的な物件探しを始め、幸い2社目の業者さんが最初に紹介してくれた物件が、私の求めていた条件の「ほぼ100%」を満たしていたのである。
だが「ウッドデッキ造りのススメ(効能の教え)」をしてくれたのは、最初に現地物件を案内してくれた不動産業者さんの方である。事前に現地見学希望の物件を2件絞り込んで、メールでアポを入れ、先方さんのオフィスを訪れた日の事は、今でもはっきりと覚えている。
ウダウダ面倒な説明を聞くのは苦手なので、物件探しの上で「絶対に譲れない3つの条件+α」を私から最初に提示した(あくまでも私の考え方である)。
①定期借地権は不可(法改正のリスク、貸し手の財政状態変動に伴う契約条件の見直し、建物撤去時のコスト等々、不確実要因が多い)
②敷地面積は最低で300坪(折角の八ヶ岳ライフなのだから、この程度の「広さ≑開放感」は絶対に欲しい)
③小淵沢ICから車で10分以内。それが無理なら15分以内が限度(自宅からの車での移動時間は約2時間が上限)。
さらに、ベタベタした人間関係は不要(コミュニティ意識は希薄な方が疲れない)と付け加えた。
先方さんから、これらの条件について、いくつか質問を受けたので、事前リサーチの結果をベースにサラッと答えた。すると、どうやら私が「完全な素人ではない」事が伝わったようだ。すぐに「その条件なら富士見高原の別荘地エリアしかないですね!」と私が期待した通りの答えが返ってきた。
それからは、先方さんも「本音」で本当に役に立つ情報をくれた。面白い内容ばかりだったので、その時のやり取りは走り書きではあるがメモに残した。そのため現在でも思い起こす事が出来る。
例えば「眺望にはこだわりますか?八ヶ岳や南アルプスが見えるのをお望みですか?」と聞かれたので「山はたまに眺める程度で十分。それよりも森に守られるような生活がしたい。眺望が良いという事は、風が強く吹き付けると言うことでしょう。冬は風が冷たく、夏は暑いって事ですよね。」と答えた。
すると「まあ、基本的には正しい考え方ですが、周辺が森林の場合は西側が開けていて、西日が長時間確保出来る事が大切です。」と教えてくれた。すぐに「荒川じんぺいさんの本」にも同じような事が書かれていたのを思い出した。どうやら「山の家購入の際の鉄則」であったらしい。
「平地と傾斜地に、特にご希望はありますか?」との先方の質問には「平地の方が使い勝手が良いのかもしれないが、水はけの状態次第ですね。別に危険性がなければ傾斜地でも構いませんよ。特に、中古物件を購入するのだったら基礎工事代金を気にする事はないから傾斜地で全然問題なし。」と答えた。
これについても「それも悪くないと考え方と思います。傾斜地の一段高い家の地点から、敷地内や森を見渡せると本当に落ち着きますよ。但し、傾斜地の場合は、絶対にある程度の平らなスペースを確保する事が必要です。それだけで、住んでいて安定感や安心感が違います。土地で無理なら家に接したウッドデッキを造る事をお勧めします。そこで沈む夕陽を眺めたら最高ですよ。」なんて感じのアドバイスをしてくれたのだ。
ふ~ん、そうなんだ… 説得力のある話に、妙に感心したのを記憶している。それ以外にも色々と有益な本音のアドバイスを貰った。
もうお気付きだと思うが、私は、この不動産業者さんのアドバイスに(珍しく素直に)忠実に従って、75畳にも及ぶウッドデッキをDIYしたのである。
その業者さんに当日案内してもらった2件の物件は残念ながら私の採点では60~70点程度の物件で成約には至らなかった。その後、2回目の現地見学で出会った現在の「八ヶ岳本宅」をすぐに購入してしまったので、結局、お目に掛かったのは1回だけだった。
まあでも、ウッドデッキとあの不動産業者さんは「パッケージ」で「八ヶ岳ライフの功労者」と言えるかもしれない。
ウッドデッキは、私の八ヶ岳ライフにける「安らぎの場」である。メインウッドデッキには、ロッキングチェアやガーデンベッドを並べ、夕陽や枕木テラスでの焚き火を眺める「癒し」のスポットとなっている。
増設したオフィスのウッドデッキは、庭や財産区林を見下ろすポジションにあり、春から秋にかけては朝食を楽しむ場になる。仕事に疲れた際には、ガーデンベッドでうたた寝する。
あの不動産業者さんが教えてくれた通り「傾斜地に設けた平らなスペース」には、素晴らしい効能があったのだ! 可能であれば、あの業者さんにウッドデッキを見てもらい、お礼を伝えたい位なのだが、現地案内から数年後に廃業したようだ。
八ヶ岳ライフ成功の秘訣は、家を購入する前の段階においては ①自分で徹底的に調査する事 ②八ヶ岳ライフの指南書・導き書とも言える良著に巡り会う事 そして、③物件探しの段階で良い不動産業者さんと出会う事(私が本宅を購入した茅野市の業者さんも仕事が正確かつ迅速で本当に信頼できる)に尽きると思う。
①で手抜きをするのは論外だし、②と③については、申し訳ないが「あまりにもお粗末な物(ひどい先)が少なくない」と感じている。