特別展「縄文-1万年の美の鼓動」は大盛況だった

夏休みと仕事、合わせて8日間の八ヶ岳滞在を終えて川崎自宅に戻ったのは先週土曜日(18日)の午後8時過ぎだった。今週の月曜日から来週水曜日までは、地方講演を中心に仕事がギッシリだ。東京での仕事と北関東、甲信越、東海、近畿への出張が交互に続くので、かなりのハードスケジュールとなる。10日間程は八ヶ岳への思いを断って、仕事に専念する事に決めた。

だが、何とか隙間時間を活用して訪問したい(せねばならない)場所が2カ所あった。そのひとつが、92日が最終日となる上野東京国立博物館(トーハク)で開催中の特別展「縄文-1万年の美の鼓動(http://jomon-kodo.jp/)」である。

縄文の美特別展については、Webの書き込み等から、人気が高く、かなり混雑している様子が伝わってきた。混雑する週末を避けて、何とか平日探訪できないかとスケジューラーと睨めっこした結果、唯一、対応可能であったのが昨日の午前中だった。

午後は、面談と講演が1件ずつあったので、午前1115分をエンドと決めて、社主さまと2人でトーハク探訪を決行。トーハク正門着は午前10時ちょっと前。チケット販売所の行列を尻目に、前売り券購入済みの私達は、スッとエントランスを通過。特別展の開催場所である「平成館」に向かった。

特別展は「館内写真撮影全面禁止」である旨を事前確認済み。残念ながらお洒落な写真は皆無。正門エントランス前の案内板に並ぶ国宝土偶さん達を仕方なくパチリ。[/captio
スーツにネクタイ姿の私には、兎に角、暑かった。そして平日の午前中であるにもかかわらず、予想以上に人が多い。それもほとんどの人(8割以上だったと思う)が「本館」ではなく「平成館」を目指して歩いていた。この人達、皆、特別展が目当てなのだろうか? 

嫌な予感は的中。平成館のエントランス前には、私が忌み嫌う「行列」が出来ており「入館まで10分待ち」の表示板がこの炎天下。博物館の外で並んで待てというのか? あまりにも過酷な要請にもじっと耐えるしかなかった。

ほとんどの人が特別展開催中の「平成館」に向かって歩いて行く。そして、平成館のエントランス前には、私の大嫌いな行列ができていた。

漸く、平成館の中に入ってからは、その入場者数の多さ(人混み)に圧倒された。私の事前予想の34倍の混み具合だ。縄文ブームはここまで大きなうねりになっていたのかと衝撃を受けた。混雑があまりに凄いので、順路に沿って見学していたら時間切れになると判断。社主さまも私同様「土偶さん」達とのご対面がメインの目的なので、国宝土偶さん5体と国宝土器1点が展示されている「第二展示室」に直行した。

特別展については「館内写真撮影は一切不可」なので、土偶さん鑑賞に集中しようと考えていたのだが、あまりにも人が多過ぎた。私の場合は、国宝土偶さん、国指定重文土偶さんを中心に、展示されている土偶さん(展示総数は55体前後だったと思う)のほとんどは探訪済みだったので、これまで対面が叶わなかった土偶さん(67体かな?)以外は、鑑賞よりも、見学客の顔ぶれや土偶さんを見た際の感想(つぶやき)、表情などを観察して楽しむ事にした。

見学客層は、私のようなスーツ姿のビジネスマンが稀であった事を除けば、老若男女、実に幅広かった。小学生の夏休みの自由研究対策と思われる親子連れもかなりいた。そして、土偶さん(特に国宝土偶さん達)に魅入られたかのような表情の人達が目立った。ああっ、この人達は何らかの「土偶さんパワー」を感じ取ったに違いない! こうして「土偶さんファン」は増えていくのである。

社主さまも私の影響で、おそらく半数位の土偶さんと対面済みだったと思われるが、国宝土偶では「縄文の女神」さまと「合掌(祈りの)土偶」さまとは初対面。意外だったのは、社主さまが「縄文の女神」さまの造形の美しさを称えていた事だ。あの八頭身(私はかつて「米倉涼子土偶さん」と呼んでいた)の美しいスタイルは、女性の観客を(羨望の対象として)魅了していたように思える。その後、社主さまは、念願の「しゃこちゃん」とのご対面が実現し。大喜びだった。

国宝土偶さんは、第二展示室のエントランス側から見ると、前列右手に「縄文の女神」さま、左手に「かっくうちゃん」2列目中央に「合掌土偶」さんが並んでいた。そして最後列右手奥に「縄文のビーナス」さま、左手奥に「仮面の女神」さまという「粋な配置」だった。尖石縄文考古館が誇る「二大国宝土偶」さんが鎮座し、その周辺を沢山の見学客が取り囲んで熱心に見入っている光景を眺めていたら、まるで自分の事のように嬉しく、そして、ちょっと誇らしかった。

1時間5分程、土偶さん中心に特別展を堪能した後、2Fの特別開設されたミュージアムショップに向かった。レジ前はこれまた凄い行列。様々な土偶さんグッズをゆっくりと眺める時間もスペースも無さそうだったので、特別展の鑑賞券と同時購入した限定販売の土偶さんスペシャルグッズ(土偶ペンライト土偶パペットタオル)のみを受け取る。これらグッズ、正直、私がどう使ったらよいのか思い付かないのだが、「限定販売」という言葉に反応して、思わず買ってしまったのだ

土偶さんのペンライトとパペットタオル。私が何に使ったらよいのだろうか…

残り時間がわずかになったので、最後に「常設展示コーナー」に土偶さんがいらっしゃるかを確認に向かう。普段は、しゃこちゃんやハート顔土偶さんといった「有名土偶さん」が並ぶスペースに「お留守番部隊」となった土偶さん達がヒッソリと佇んでいた。「お留守番ご苦労さま」と心の中で感謝して、写真撮影可である土偶さん達をパチリ。裏方の土偶さん達にもしっかりとご挨拶するのが「真の土偶さんファン」なのである。

常設展示コーナーでお留守番部隊の土偶さん達。ご苦労様です…

講演を終えて川崎自宅に帰り着いたのは午後8時前だった。講演もとても楽しくて、本当に「素敵な1日」だった。

だが、今日は朝から東京での予定がギッシリ。何なんだこの異常な暑さは…  昨日の「幸福感」はまるで「地獄のような暑さ(行った事はないけれど)」の下、氷のように溶けていった。