「戦い(闘い)」に勝つための基本は「先制攻撃(Preemptive attack)」にあると思う。
相手の戦力が充実してから戦いを挑むのは「愚の骨頂」である。先制攻撃が「奇襲」或いは「騙し討ち」的な色彩が濃ければ濃い程、効果的になるし、何よりも「お洒落」だ。
私が、八ヶ岳オフィス退社前にした2つめの作業は、この「先制攻撃」。相手は「アシナガバチ」である。
理由は不明なのだが、八ヶ岳オフィスの軒下には、アシナガバチが頻繁に巣を作る。毎年、6月の初旬になると、直径4~5cmの巣がいくつか出来て、その駆除作業を行ってきた。
3年前、オフィス北東軒下の死角のような場所に出来た巣に気が付かず放置状態にしてしまった事があった。
夏になって、オフィス窓の網戸にやたらとアシナガバチがぶつかってくるようになり、不審に思って軒下を詳しく調べたら、直径が12cm位になっていた巣を1個発見。さらに、周辺をアシナガバチ(働き蜂)何匹もが飛び回っていて大慌て。
スズメバチのような獰猛さや危険性はないが、やはりオフィス周辺をアシナガバチが飛び回っているという状態は好ましくない。
以来、女王蜂が1匹で巣作りを開始した頃に、先制攻撃を仕掛けて早めに巣を駆除してしまう事に決めた。
今回は、オフィス退社前の限られた時間で対応せねばならないので、まずは、オフィス軒下やウッドデッキ周辺を巡回して、巣の有無を確認。
驚いた事に、まだ5月下旬なのに、4~5cm程度になった巣を3個も発見した。今年は植物の生育が驚く程に早いが、どうやら昆虫類についても同様の傾向がありそうだ。
八ヶ岳ライフにおいては、各種殺虫剤の常備が必須である。相手がアシナガバチなので、撃退(殺虫)と巣作り予防効果があるタイプの殺虫剤を選んで、オフィス地下室から持ち出してきた。ちなみに、対スズメバチでは、より強力な殺虫剤を使う。
色々なタイプを実際に使ってみて、その結果、選んだ製品なので効果は立証済みである。アシナガバチであれば、直接噴霧すれば「即死」に近い状態となる。
まずは、北東コーナーの枕木駐車場側に出来た巣と女王蜂に第1波の奇襲攻撃を実施。殺虫剤噴霧後2秒程で女王蜂は力尽きて水道バルブ栓の水色の蓋の上に落下した。
続いて、南西側の隅に出来た1番大きな巣(直径6cm位)を攻撃対象に決定。高さが3mを超すような場所なので脚立から攻撃。
殺虫剤が女王蜂を見事に直撃したのだが、何故か落ちずに飛び去った。目で追うと、3~4m八ヶ岳本宅方面に飛んだところで、こちらも落下(墜落・死亡)。
最後は西側、オフィスデスクに面した2つの窓の中間辺りの軒下に出来た巣を攻撃。こちらは至近距離から殺虫剤が勢いよく直撃。女王蜂は巣に取り付いたまま動かなくなった。
3匹の女王蜂の三様の最期。「真下に落ちる」「飛んで逃げて途中で落ちる」そして「巣に取り付いたまま息絶える」、自分だったらどれが格好いいかなと思わず考えた。
どうせ死ぬなら、殺虫剤を掛けた奴に向かって飛びながらポタッて感じかな…
数分時間をおいて、女王蜂が完全に息絶えたのを確認してから「恒例の写真撮影と観察」。戦況と戦果を冷静に記録する事は、次なる戦いの勝利に欠かせない作業である。
まずは、バルブ栓の上に落ちた1匹目。改めて見ると「黒と黄色」のコントラストが美しい戦闘機をイメージさせるシェイプだ。
針が尻の先からキュッと飛び出しているのがよくわかる。大きさは2.5cm位だろうか? おそらく「キアシナガバチ」であろう。
続いて3つめの攻撃対象となった巣に取り付いたまま絶命した女王蜂を撮影。まるで、まだ生きているかのような雰囲気が漂う。これも「キアシナガバチ」かな?
アシナガバチの中では「キアシナガバチ」と「セグロアシナガバチ」が、我が国においては最大種である(体長20mm~26mm程度)。
今回の2匹は、サイズ的にはこのどちらかに該当しそうだが「背中の黄色の部分が鮮やか」なので、私が勝手に「キアシナガバチ」であると判断。いずれにせよ「アシナガバチ」である事には変わりはないのだ。
第2波攻撃の対象とした女王蜂は飛び去ってしまったので、脚立に上って、一番大きく形も整っていた「巣」をもぎ取って、オフィスのデスクの上で太陽光の下、写真撮影。
過去の経験から美しい写真が撮れる事を知った上での行いである。
これにて、退社前の第2の作業は完全終了。毎年恒例の行事なので所要時間は写真撮影を含めて15分程度であった。
アシナガバチ駆除は、あと1~2回は必要だろう。そして、獰猛なスズメバチへの対応も…
時間は、ほぼ午後4時ちょうどだった。さあ、残す作業は、あとひとつだ!