『ドローン』の英語の綴りがわからなくて検索してみたら「Drone」だと初めて知った。「雄の蜂」という意味もあるそうだ。
「雄蜂」というと真っ先に思い浮かぶのは「刺さない(針が無い)」「働かない」というイメージ(すべての蜂にあてはまるわけではない)である。だが、現在、世の中で一般的に認識されている「ドローン(無線で操縦する小型無人飛行体)」は働き者である。
最近、テレビで旅・紀行番組とかを視聴していると、ドローンによる空撮動画の美しさに感動する事が多い。大型・高級機を使ったプロのカメラマンによる映像は勿論素晴らしいが、番組に出演しているタレントさんによる、どう見てもトイ・ドローンとしか思えない機材による映像も馬鹿に出来ないクオリティーだ。
『稿房通信』で「八ヶ岳縄文遺跡の四季」を配信するようになってから、縄文遺跡の素晴らしいロケーションをドローンの空撮で捉えたらお洒落だなと考えるようになった。一方で、ドローンの深みに嵌まったら(我が性格は)面倒だなとの思いもある。そこで、自制心をしっかり保ちつつ、2月下旬頃から、インターネットでドローン関連の情報を検索開始。
Amazonで取り扱っている価格帯は、600万円近い業務用の高級機から、安い物では2,000円程度のトイ・ドローンまで実に幅広い事にまずは驚いた。次いで、飛行重量200g以上のドローンは、航空法により飛行場所や飛行方法が規制されている事が判明。「人口集中地区(DID)」に該当する場所では、自分が所有する土地(自宅の庭や駐車場など)であっても、国土交通省の許可を事前に得なければ合法的にドローンを飛ばせない事を知る。
川崎自宅はDIDに該当し、八ヶ岳の本宅&オフィス周辺はDIDではない。な~んだ、八ヶ岳なら全然OKじゃないかと思ったのだが、さらに調べると他にも、目視外飛行、第3者の30m未満の距離に入る飛行等々、色々と細かい規制がある。地方自治体が独自の規制条例を設けるケースもあるらしい。
改めて「こりゃ安易に手を出すべき世界ではないな」と判断。でも、やっぱり興味はあったので、「飛行重量200g未満のドローン(主にトイ・ドローン)のお勧め機種」なんてWeb記事だけは小まめにチェックし続けた。そんなある日、Amazonでビジネス関連の書籍を検索していた際に、何気なく表示されていたタイムセールの案内をクリック。するといきなり「Navigator U31W」というドローンが現れた。
あっ、この機種、お勧め記事で何回か見た事があるぞ。確か簡単に離着陸操作ができて、オートホバリングも可能。初めてのドローン(入門機)には最適とか書いてあったな… そんな情報が頭を駈け巡った。
タイムセールの値段は6,999円。通常価格は8,999円なので、それなりに「お得」である。この値段じゃ、本当に「オモチャ」みたいなものだろうが、ドローンの雰囲気をちょこっと囓る程度なら惜しくない出費だなと思えた。そんなわけで、1-Click注文をポチ。注文の翌日には川崎自宅に Navigatorが届いた。さすがに子供じゃないので、すぐに飛びついて操縦するような事はしない。「八ヶ岳で暇な時に操縦してみよう。」と決めたのである。
そして、前回八ヶ岳オフィス滞在時に、初操縦(初飛行)のチャンスが訪れた。箱を開いてみて、予想より大きい機体である事に驚く。購入時には重量しか気にしていなかったためだ。トイ・ドローンなんて、片手の手の平位のサイズだろうと信じ切っていたのだが、こいつは両手の手の平を合わせた位の大きさだ。
付属のマニュアルは日本語表記で結構丁寧な内容だった。数カ所、ミスかなと思われる表記もあったが。ペアリング等、初期設定はいとも簡単に完了。飛行前に4枚のプロペラを回してみたら、かなりの勢いで、思わずビビってしまった。
プロペラガードが無いと、これちょっと怖いな。この段階で「オモチャ」というイメージは消え失せた。想像していたよりも色々な意味で「迫力」がある。
初離陸の様子は、iPhone Xで撮影しようと考えて、カメラアプリを開いた後、マニュアルを見ながら、ワンキー離陸を試みた。Navigatorはふわっという感じでスンナリ離陸。なんだ操縦簡単じゃないかと安堵。
そのまま同じ場所でホバリングしてくれるのだろうと信じ切って、続けて写真撮影しようとしたら、どういうわけか少しずつ動き出した。慌ててコントローラーを掴もうと思ったら、誤ってコントロールバーのひとつを動かしてしまったようだ。Navigatorが、スピードを上げて私の方に飛んできた。
ヒエ~助けて~ 慌てて身を躱しながらなんとか1枚写真撮影。Navigatorは、そのままオフィス西側の窓のブラインドに激突・墜落し、停止。幸い、破損・故障はなかった。こうして、恥ずかしながらのドローンデビューは、取り敢えず完了。結構ドキドキした。
「やっぱり、しっかりと操縦法を頭に入れてからじゃないと駄目だな。」と大いに反省。他の機種も含めてドローンの商品レビューの書き込みを見ると「子供でも簡単に操縦できる」といった類の書き込みと「初飛行で制御不能になり、ドローンがどろ~んしてしまった」なんて笑えない(でもお洒落)内容が混在していた。
私はどちらかと言うと前者の「簡単派」の書き込みを鵜呑みにしていたのだが、「安全な操縦」を第一に考えるならば、やはり「習熟」が必要であると痛感。そんなわけで、前回、八ヶ岳オフィスを退社する際には、マニュアルだけ持ち帰り、Navigatorはそのまま置いてきたのだ。
「何事もマニュアルの精読が第1歩」— これは「小鉢男」の嗜みのひとつである。今後は気長に「ドローンとの戯れ」を『稿房通信』で配信して行こうと思う。