『金生(きんせい)遺跡』は、八ヶ岳縄文道②で紹介した「祭祀・中空土偶 ちゅうたくん(https://triglav-research.com/?p=20387)」が出土した遺跡である。
中部地方における大規模な「配石遺構」を伴った縄文時代後期~晩期の代表的な集落で、一部が1983年に国指定史跡に指定された。「配石遺構」とは、縄文時代の遺跡で、人の力で運ぶ事が出来る大きさや重さの石を一定の形に並べた構築物の総称であり、「祭祀の場」或いは「墓」と考えられている(但し、実際は用途不明なものが多い)。
金生遺跡では、このミステリアスな「配石遺構」が5基も発見されており、さらに住居跡も41戸確認されている。復元住居は、竪穴式住居ではなく「壁立ち住居」様式で造られており、初めて遺跡を訪れた際には、とても不思議な感じがした(本当に縄文人はこんな家に住んでいたのだろうか?)。
また、写真撮影するのを失念したのだが、公園内に様々な「木の実(どんぐり類)」が落ちていたのが印象的だった。食料の生産・供給が不安定な狩猟・採集社会(縄文時代)においては、どんぐり(堅果類)が貴重な食料(保存食)であったと考えられている。「金生遺跡」周辺は、食料の確保という観点からも、縄文人にとって「大切な地」だったのであろう。
八ヶ岳オフィスからの距離は約17km、車で25分程の場所にあり、八ヶ岳、南アルプス、富士山の眺望がどれも素晴らしい。
金生遺跡
所在地:山梨県 北杜市大泉町
標高: 770m
面積 :20,000㎡
年代: 縄文時代(後期~晩期)
「八ヶ岳」「南アルプス」「富士山」という3つの山々の眺望を採点して総合点を競うとしたら、八ヶ岳縄文遺跡群の中では、この「金生遺跡」が第1位だろう。私的には、ここもまた「神々のおわします地」である。
この地が「祭祀の集落」或いは「墓地」であったとしても「特別な場所」という意味では、まったく違和感はないと思う。
縄文人は自然を敬うと同時に、人間の生死についても「尊厳」を持って接していたに違いない。
『八ヶ岳縄文遺跡の四季 ⑥』