『稿棒通信』のメインテーマを「働き方改革」と「地方創生」の2本柱にすると決めた時、一応、昨年3月28日に働き方改革実現会議が決定した「働き方改革実行計画」の本文を読んでみた。内容は多岐に及び、狙いは崇高なのかもしれないが、私の考えとは随分と違うなと感じた。
私が惹かれたのは、あくまでも「働き方改革」という言葉が持つ響きであり、目指すものは極めてシンプルだ。私的な定義は「自分の好きな事、興味のある事を生業(なりわい)とし、そのための理想的環境の実現に常に前向きに取り組む」って感じである。だから、政府(お上)の取り組みとは、まったくの別物。気の利いたキャッチフレーズをパクっただけである。
「理想的環境」の構成要素には、職場のロケーション(八ヶ岳)やセルフビルドのオフィスといった地理的・物理的要因もあれば、組織や時間に束縛されないという心理的開放(充実)感、会社という器を使う事による税務面を中心としたメリット等々、様々なものがある。これらは、今後の情報発信の中で整理していく予定だ。
だが「人間としての器の小ささ」を自負を有する私は、もっともっと「些細な事」に拘わってきた。ステーショナリー、デジタルガジェット等の「小物」への愛着(執着)、ちょっとした情報整理手法の工夫といった「小技」に対する想いは熱い。そう、『小鉢男の小さな拘り(小細工)』こそが、実は私の真骨頂なのだ。「小細工」から大いなる達成感は得られないため、嵌まりだすとキリが無い(私は無限ループのリスクと呼んでいる)。だから、トリグラフ・リサーチを設立する際に「小細工のお楽しみは週末限定」と決めた。小細工ネタをWeek dayに用意しておいて、週末にこぢんまりとムフッて感じに楽しむ…
ちょっと格好良く表現するならば「遊び心たっぷりのLifehack(仕事術)」への取り組みであり、私の働き方改革においては、それなりに重要な意味を持つ。そんなわけで。「稿棒通信」リニューアル後、初の新規シリーズ(カテゴリ-)として『Lifehackと遊び心の部屋』をローンチする事に決めた。記念すべき第1号は、「デジタルガジェット」ネタとしよう。
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昨年のクリスマス前に注文したSONYのスマートウォッチ『wena wrist pro(WWP)』が、一昨日、川崎自宅に届いた。
ちょっと回りくどい話となるが、もう10年以上も前から、ビジネス(スーツ姿)の時に身に纏う革小物製品は、「MONTBLANC」製に統一してきた。ペン(ファインライナー)、財布、小銭入れ、名刺入れ、カードケース、メモホルダー、ベルト、すべてに MONTBLANC製品のシンボルである White Star(ヨーロッパ最高峰モンブランに残る氷河を意味している)が輝いている。何となく日本の「籠目(かごめ)」と相通ずるものがあり、仕事の際の「魔除け(お守り)」として身に付けているのだ。
MONTBLANCが、クロノグラフのメーカーとして有名だったミネルバを買収したのは2006年だった。このミネルバの伝統を引き継いだ「1858コレクション」が販売されるなどして以降、ペンや革製品に加えて、MONTBLANCの「時計」が気になっていた。かつて、ビジネスの際の時計は、OMEGAの複数モデルの使い分けだったが、2012年11月1日の会社設立の記念に「Time Walker(MTW)」シリーズのあるモデルを購入した。大きめなベゼルに黒の文字盤、針と数字を基調としたインデックスは金色で、そのデザインを一目見て気に入ったのだ。以降、ビジネスの際のお供は、MTWの独壇場である。
私の購入したモデルのバンドは黒のレザー。ビジネスの際の着用に限ったとは言え、昨年の夏前には、もうかなりへたってきて、バンドの交換が必要となった。純正のレザーバンドは、MONTBLANC製なので当然ながら、それなりのお値段となる。汎用品を探したが、ラグ幅が22mmであんまりお洒落なのがない。そんな折、前々から気になっていたSONYのスマートウォッチ「wena wrist(WW)」が、(2017年)7月11日から、バンドのみの単品販売を開始するとの案内が届いた。元々、WWの機能には心惹かれるものがあったのだが、時計本体に私の好みに合ったものがなく、購入を見送っていたのである。改めて調べてみると、ラグ幅22mmは、MTWにピッタリ。材質は、SUS316Lなので、MTWのベゼルにもフィットするだろうと予想して、すぐにバンドのみを購入した。
私の事前の予想はドンピシャだった。MTWとWWの相性は抜群!まるで、純正のベルトのような馴染み具合に感動した。以来、コンビニ等のお買い物は、WWのEdyで支払い、ANA搭乗の際もWWでスイッと通過、仕事中の電話やメール等の通知確認はWW任せという生活を6ヵ月近く送ってきたのだ。WWの連続動作時間は1週間程度とされている。私は、アクティビティトラッカー機能やAppleヘルスケアとの連携をオフ(これらは、私の場合、Fitbit AltaHRのお仕事)にしているためか、実際、金曜日夜毎と決めた充電タイミングの前にバッテリー切れとなった事はない。これは、Apple Watchと比較して、大きな強みである。
だが、6ヵ月も接していると初代WWの足らない点や要改善点も見えてきた。①バンドの作りがやや武骨である(特に幅が太い)。また、バンドのピースの長さが2種類あり、これが見映えを悪くしている。②スマホへの通知は、LEDカラーとバイブレーション回数をアプリで組み合わせる設定であり、誰からの電話やLINEかをWWで知る事は出来ない ③当然出来ると思っていた Edyのオートチャージ機能が無い の3点である。
ネット上の評価等には「Suica未対応が弱点」と書かれている事が多いが、私は、電子マネーの利用は「会社経費はモバイルSuica(スマホ)」、「プライベート支出はEdy(WW)」と厳密に使い分けているので、あまり大きな問題ではない。不満点はあるものの、メリットがそれを上回り、プライベート用の時計にもWWが欲しいなと思うようになっていた。
そんなタイミングで、WWの新型モデル「wena wrist pro(WWP)」の予約販売の案内が届いた。予約開始受付が12月7日、販売開始が12月21日。材質とラグ幅、連続使用時間に変更はないが、IPX7等級の耐水性能が「5気圧防水」に機能アップ。モデルの写真を見ると、私の気に入らなかったバンドピースのバラバラ感が解消され、すべてのピースの長さが統一されたように見える。
バンドの幅は約2mm細くなり、体積はほぼ25%ダウンと記されている。でも何故か、重量は75.8gが85.0gへ増える(??)。 この点は気になったが、やっぱり最大の魅力は有機ELディスプレイがバックル部に付いて、通知の相手先や簡単な内容がWWPで確認可能になる事だ。まるで、私の不満点を埋めるかのような仕様変更である。
価格は、私の欲しいシルバーモデルで税前34,880円(@Sony Store)。「こいつは間違いなく売れるな!」と確信した。だが、私には「デジタルガジェットの初期生産ロットは購入しない」という信条がある。そこで、発売日の翌々日(12月23日)に、Sony Storeで注文した。案の定、WWPは好評で既に完売状態。「入荷次第の発送」と相成った。年末年始も挟むから1ヵ月待ちかな? そんな予想をしていたのだが、1月12日(金)夕方、川崎自宅に届いたのである\(^o^)/
私は「小細工の魔術師」と社主さま(家内)から呼ばれている。大工さんも感心する位の電動工具を所有する一方、時計の修理セット、革工芸セット等、「小細工用ツール」も川崎自宅、八ヶ岳オフィス共に完備している。時計バンドのサイズ調整などは、勿論、お茶の子さいさいである。週末諸々の雑務を処理した後、最後のお楽しみとして、今日の午後3時過ぎからWWPの設定に取り組んだ。
WWPのバンド調整を終えた後、まずは、WWをMTWから外して、プライベートのお供の方の時計に装着。それから、WWPをMTWに付けて、記念写真をパチリ。ほ~ら、どちらの時計にもピッタリである。ムフッ..
次いで、WWPをアプリで設定し、iPhone Xと連携させた。さらに、おサイフリンクアプリで、EdyとANAスキップサービスとモバイルdポイントサービスを登録。既に、WWで経験済みなので、あっという間に設定完了。と、ここで、これまで無視していた「かざすフォルダ」サービスが何故か気になった。
「確か、モバイルdポイントサービス登録すると使えるようになるんだったな。どんなサービスがあるのだろう?」と内容を確認すると、電子マネーサービスの中に、Edyの他にWAON、nanaco、モバイルSuica等々が並んでいる。何だこれ? WAONとnanacoは使わないし、モバイルSuicaは、iPhone XのWalletに登録済みなのでダブり登録は不安である。
が、電子マネーサービスの一番下にある「モバイルスタバカード」サービスにグッときた。講演での全国巡業中はスタバに頻繁にお世話になる。時計でピッと支払いできれば本当に便利だ。だが、WWPの正式提供サービスには、モバイルスタバカードは記載されていないので、どうせ登録出来ないだろうと思った。ダメもとで登録手続きしたら、あっという間に完了。既存カードからの残高一部移管までアッサリ出来た。これ、本当に使えるんだろうか?? とりあえず次にスタバに行った時に実験して、駄目ならサービス解除すれば良い。
最後に、iPhone Xに電話して、有機ELディスプレイの表示を確認(1行表示か2行表示が選択できる)。ちゃんと日本語表示できて、とっても便利になった。やはり、LEDカラーとバイブレーション回数の組み合わせとは、通知機能の次元が違う。こいつは「大当たりだな…」
と、気が付いたら、異様に長い文章となっていた。勘の良い稿房通信の読者はお気付きかもしれないが、私のデジタルガジェットやステーショナリー(特に皮革系)に対する拘わりや造詣は、DIY、土偶さん、野鳥さんなど足元に及ばない程深い。おそらく、本業である「銀行の調査・分析」と互角(もしかすると上回っている)のレベルなのだ。
「この領域で情報発信始めるとラビリンスに陥る」事がわかっていたので、旧『銀行業界鳥瞰図』でも『稿房通信』でも敢えて封印してきた。だが、今日1月14日、遂に「結界」を破ってしまった。仕方ない… すべては「働き方改革」と「地方創生」のためなのだ。
新シリーズ『Lifehackと遊び心の部屋』、今後の迷走にどうぞご期待下さい!