『NEST』@小諸ツリーハウスプロジェクト への途

小諸ツリーハウスプロジェクトでこれまで見学を終えたのは5軒。どれもデザイナーさんの想いが込められた素晴らしい出来映えの作品だった。が、敢えて私のお気に入りを2軒示すとしたら『間』と『BEV』である。この2軒については甲乙付けがたい。

さて、残り2軒もじっくりと鑑賞しよう。次なるツリーハウスは『NEST』である。つまり「巣」だ。

BEVから少し離れた場所にあるのだが、見学用の小径らしきモノを見つける事が出来ない。仕方ないので地図を頼りに林の中を歩いて進むと、やがて「白い網」が空中に浮遊しているような構造物が視野に入ってきた。これが『NEST』だった。デザインは「ENERGY MEET」さん。

BEVから林の中を進むと右手に白い網状の構造物が現れた。第一印象は「巨大なハンモック」。見ようによっては強大な蝶の「繭」といった感じがしないでもない。いずれにせよ、ツリーハウスとしては異色の形状である。

さらに近付いてみる。「巨大なハンモックみたいだな…」と最初に感じた。最近、八ヶ岳本宅で使っていたハンモックをオフィスに移して、仕事に疲れると、そこで本を読んだり昼寝をしている。「網構造」の持つ優しさを体感しているのだ。

これまで見てきたツリーハウスの中では、床面積(?)は最大、重量は網なので最軽量であろう。そして、支柱となる樹木への負担は最小(最良)である事は間違いない。でもこれ「ハウス」って言えるのかなとも思った。

Web検索の解説には「ツリーハウスは、自然の中に作る人の手による人のための居場所です。風景の美しい小諸のこの大自然の中で、ありのままに自然の恩恵を最大限に受けることのできる居場所を作りたいと考えました。人工物として自然の中には決して存在しないような形でありながら、仕組みは自然の中にあるような在り方で、かつ木々にできるだけ負担をかけないものを構想し、極めて軽量なツリーハウスをつくりました。その仕組みはクモの巣のようであり、6本の木に樹脂製のネットを張り巡らせる構造としています。」と記されていた。

自分で言うのも何だが、私のツリーハウスの鑑識眼はそれなりのレベルであるらしい。ただし、仕組みは「クモの巣(のよう)」であるとは気が付かなかった。「優しい」だけではなく「強靱」な構造なのであろう。

NESTの周囲を歩いて様々な角度から写真を撮影した。だが、確かにクモの巣のようであり、あまり見た目に変化はない。むしろ網の底部の汚れのようなものが目立った。

角度を変えて下方から仰ぎ見たが、見た目はあまり変わらない。網だけで作られた構造なので、当たり前ではある。作成当初は真っ白であった事がWebの写真から確認できたが、現状、底部は汚れており、透明感がやや損なわれている。

Webには純白の美しいNESTの写真がされている。新品の頃の「透明感」のようなものが伝わってこないのが少し残念だ。ツリーハウスを作成する際には、経年変化後も想定した上での材質や色の選定が重要だと感じた。

NEST本体にばかり気を取られていたのだが、Webには、「六角形の太陽光パネルを開発し、それが木に咲く花のような姿で発電をしています」と記されていた。んっ? そんなのあったかなと思い、私が撮影した写真を改めてじっくり見たら確かにそれらしきものが…

下の写真でオレンジ色の丸を付したのが、六角形のパネルであろう。こういうところにも細かい「おこだわり」を持ったデザイナーさんなのだなと感心した。

撮影した写真を改めて確認したら、六角形の太陽光パネル(オレンジ色の丸部分)が周辺に取り付けられている事がわかった。細部までの「おこだわり」をデザイナーさんが有していた事が伝わってくる。新品の時のNESTは、森の中で独特の「優しい存在感」を発していたに違いない!

NESTは、ツリーハウスととしては異色であるが、色々な意味で『優しい』作品だと思う。アンドレ・ギャニオンの『明日(ドラマ「優しい時間」の挿入曲)』をBGMに、NESTに包まれて読書をしたいな…そんな思いが頭をよぎった。

さあ、いよいよ次は最後のツリーハウス「又庵」の見学だ…