オオムラサキのツリーハウスの脇にある見学用の小径らしきものを歩いて行くと、周囲の木々とは明らかに色合いの異なる「黄色の筐体」が視界に入ってきた。
次なる鑑賞ターゲットである『チーズハウス』である。デザイナーは『プレイセットプロダクツ』さんだ。
さらに近付くと、それが巨大な丸いチーズを三角にカットした意匠である事がわかる。そして、脇には、出入り用ステップの支柱である「フォーク」が並び立つ。咄嗟に『トムとジェリー』に出てくる「エメンタールチーズ」を思い浮かべるのは私だけではないだろう。
「チーズアイ」が窓の役割を果たしているんだな…これは子供が喜びそうなツリーハウスだ!なんて事が頭に浮かんだ。
見学後にWebでコンセプトを調べると「戦利品であるチーズは奪われないように木の上に設置し、食べながらチーズの中に入って暮らしている。大きなチーズなので、しばらく暮らせそうなチーズの家」と記されていた。
おそらく、チーズハウスの内部にもなんらかの工夫(おこだわり)が凝らされているのであろうが、残念ながら確認する事は出来なかった。
脇に回って出入り口を確認。フォークを巻くようにして出入り口に続くステップはお洒落であると同時に、しっかりとした作りだ。私がツリーハウスを作る際にも、ステップは固定型で頑丈、かつ、あまり目立たない作りにしたいなと思う。
写真を撮影して感じたのだが、チーズハウスの周辺の樹木は、他のツリーハウスに比して密生度合いが高い。よりストレートに表現すると「鬱蒼」としているので暗いのだ。鮮やかな黄色が、周辺の樹木に遮られてしまい、その美しさが減殺されてしまう。
支柱となる樹木とハウス本体の接合方法を確認しようと写真撮影したが、残念ながら外部からはわからなかった。
「やっぱりツリーハウスの見学・鑑賞は内部に入れないとあまり意味は無いな…」と改めて感じたのが、この「チーズハウス」であった。
7軒すべてのツリーハウスの見学を終えた後に、遠景のベストショットが残せないか、別のアングルからの撮影を試みた。
だが、残念ながらチーズハウスは、どの角度から見てもやっぱり樹木に囲まれて(埋もれて)いる。う~ん、勿体ない。チーズハウスはもっと「開放空間」で自己主張すべきなのにな…
ツリーハウスは支柱が樹木となるし、その周辺も木々で囲まれる事になる。そして、樹木は生長する。ツリーハウス建築の際には、四季折々の周辺の様子や建築後に樹木が大きく育った状況を想定した上で、造形や材質を決める事が必要だな。
こんな具合に知見は蓄積されて行く。さあ、次のツリーハウスはどこだ?