次なる鑑賞対象となったツリーハウスの名称は『bird-apartment』、野鳥さんのアパートである。
駐車場側から見ると『間』の左手やや手前に位置する。デザイナーは「オフィス nendo(代表:佐藤オオキ氏)」さんだ。
このツリーハウス、山の側から見ると「巨大な野鳥の巣箱」である。
下から見上げても、やっぱり巣箱だ。
日本野鳥の会会員であり、お手製の巣箱で貸家業を営む私(https://triglav-research.com/?p=2517)が言うのだから間違いない。
底面には入り口がないので、人間は梯子を掛けて、この大きな巣箱の穴から出入りするのであろう。人間が野鳥になった雰囲気を味わうためのツリーハウスだとしたらシンプルでわかりやすいコンセプトだ。
だが、駐車場側から眺めると印象は一変する。遠くから見ると小さな穴が沢山開いており、飾りや模様のように見える。
近付いて凝視すると、それが「巣箱の集合体(壁)」である事に驚く。
巣箱の数を数えてみた。30戸(個)位まで数えたところで目が痛くなりそうなのでカウントをやめた。おそらく60戸程度の集合住宅であろう。そう、正に「bird-apartment」なのだ。
一戸一戸の距離が近すぎるし、巣箱に開けた穴の大きさも野鳥さん達には大き過ぎるように思えるので、実は、ただの「装飾」なのだろうとその場では考えた。
だが、見学後に、小諸ツリーハウスプロジェクトのWebで確認して感動。どれもが独立した巣箱で、巣箱の入り口の反対側の壁に取り付けたドアスコープから営巣した野鳥の様子を観察する仕組みとなっているのだそうだ。
『たくさんの鳥たち」と「1人の人間」がひとつ屋根の下で共に過ごすための小さなツリーハウスなのです。』とのデザイナーさんの解説文が添えられている。そう、とても「優しい」コンセプトのツリーハウスなのである。
ツリーハウス見学の際の私の興味は、支柱となる樹木がいかにハウスの荷重を支えているかを知る事にある。が、『間』の紹介の際に記したように「小諸ツリーハウスプロジェクト」においては、ツリーハウス内に立ち入る事が出来ないので、残念ながらよくわからなかった。
仕方ないので支柱となっている樹木の「樹種判定」を試みた。灰白色の樹皮、楕円形に互生する葉等々の特徴から「橅(ブナ)」系であろう。
難関「森林インストラクター」試験の合格者である私が言うのだから間違いない(かな?)。
ところでこの「bird-apartment」、建設に要するコストを、銀行さんが力を入れる「アパートローン」で借り入れする事が出来るだろうか?
巣箱間の距離が近過ぎるため、プライバシーに拘りが強い野鳥さん達に高い入居率を求めるのは難しいだろう。それに、そもそも野鳥さん達が家賃を払ってくれるとは思えないので、収益物件とは言えない。アパロン組むのは無理だな…
むしろ、野鳥愛好家を対象に「クラウドファンディング」で資金を募り、全国各地に設置なんて方が実現可能性が高いように思える。
来年で銀行アナリスト歴30年を迎える私が言うのだから間違いない。
ツリーハウスひとつ見学するのにしても、野鳥の会会員、森林インストラクター、銀行アナリスト、そして、ログハウスビルダーとしての知見がカルテットを奏でようとする。
「伊達と酔狂」の社是の下、どうでもイイ教養を無節操に積み上げてきた成果なのかもしれない…