銀行小説家の道か? それともジオラマ作家か?

最近、真面目に働き過ぎている自分がちょっと心配だ。「仕事の合間に土偶見て、温泉回って、気が向いたら今日は休暇!」みたいな生活を送っている人間がこんな事を書くと、イラッとする読者の方が多いかもしれない。でも、子供の頃から他人をイラッとさせるのは結構好きだったので、読者がそう感じたらちょっと嬉しい。Webに「いいね!」ボタンなんて表示するのは私の主義・主張に反するが、「イラッ!」ボタンだったら付けてもよいかな…

一昨日は、朝6時前に川崎自宅を発って甲信越巡業。今年になって、新幹線にはもう何回乗っただろうか? 昨日は、朝から丸1日苦手な東京でお仕事だ。朝イチで、昔のお客さんだった株式ポートフォリオマネージャーに地域銀行の現状についてレク。その後、お昼はプレスの方と会食。午後イチはお役所系の研究所の方と意見交換。午後3時半からは、年2回の恒例となりつつある地域銀行東京支店長さん向けの90分間の講演。終了後は、午後8時20分まで食事会で盛り上がる。ロマンスカーに乗って川崎自宅の最寄り駅「新百合ヶ丘」に着いたのは午後9時ジャストだった。今日も朝から東京でのお仕事である… こんな生活送っていたら、90歳位までしか生きられそうもない気がする。

55歳になって「吟遊詩人活動」にも疲れてきたので、そそそろ「文筆業(銀行小説家)」に路線変更しようかと思う。そうすれば1年中、大好きな八ヶ岳で過ごす事が出来る。ほとんど冗談で、何人かの東京支店長さんに「私、地域銀行の経営統合を小説風に全部書いて行こうかと思うんですが、ご協力いただけますかね?」と尋ねてみた。皆さんお酒が回ってた事もあり「そりゃあ皆さん、大久保さんだったら全面協力ですよ!」的なそつの無い言葉が返ってくる。こんなだから東京支店長達さんは、どんどん偉くなっていくんだな。妙に納得した。

「豚もおだてりゃ木に登る」ってのは昔からある諺ではなく、1970年代のアニメ「タイムボカン」で用いられて、世に定着した言葉である。このブタさんになってしまった私は、早速お洒落なペンネームを決めるために「姓名判断」の本をとりあえず4~5冊読もうと決めた。何事もまずはしっかりとした基礎知識を持つ事が肝要なのだ。

そう言えば、昨日は苦手な東京であるにもかかわらず、かなり感動した事があった。講演会終了から食事会までの時間に、森ビルさんのご厚意で六本木ヒルズ43Fにある「ジオラマ室」を見学させていただいたのだ(森ビルさん、本当にありがとうございました)。広々とした室内には、1/1000スケールの「マンハッタン」「上海主要部」、そして日本の首都「東京」がもの凄い迫力でドーンと広がっていた。事前の予想を上回る「壮大さと緻密さの見事なコラボ」である。

こちらが「東京」のジオラマのごく一部。日本のトランプ、旧『銀行業界鳥瞰図』に何回かご登場いただいたY副本部長が「俺のビル(Yタワー)どこだ? 47階建てなんだが。ああ、あった。」と呟いていた。ゴジラがビルを壊したくなる気持ちがよくわかった…

東京支店長さん達も「ウチのマンションがあった!」とか「支店のビルはどこだ?」みたいな感じではしゃいでいる。東京の「穴場的スポット」としてはかなりのグレードである。

六本木ヒルズ43Fから撮影した東京タワー周辺の風景。ガラスの映り込みがあるので、こちらが実物の光景である事がわかるだろう。

このジオラマは、ヤバいぞ! 文筆業ではなく、ジオラマ作家の道がお洒落かな? 自宅に帰ってから、kindleストアで検索をかけたら「小島隆雄のミニチュアワークの世界」なんて、そそるタイトルの本があった。思わず「1-Clickで今すぐ買う」しそうになったが、辛うじて心のブレーキが掛かった。「まずは縄文土偶の世界を極めなさい」— その通りだ!

こういう予期せぬ誘惑があるから東京は「魔都」なのである。

トリグラフ・リサーチ 稿房主
@魔都 東京