これまで小出しに予告してきたが、来年からの『銀行業界鳥瞰図』リニューアル復活に向けての準備を着々と進めている。6月末に、旧『銀行業界鳥瞰図』の無期休稿宣言を発し、その後、7月~10月のTRI稿房通信の配信本数は、計29本に留まった。リニューアル後には、弊社顧客向けに、月15本程度の配信を計画しているので、ちょっとリハビリが必要かなと思い、11月は配信ペースを引き上げた。結果的には、さして負担も感じずに25本配信できたので安堵している。要は、書けなくなったのでなく、やはり「飽きた」だけだったのだ。
『銀行業界鳥瞰図』の方は大丈夫そうなので、問題は、「TRI稿房通信」を弊社として、どう使い、どう活かすかである。銀行系ネタは、『隣の金融機関』のみとなるし、「第3の柱」とするつもりであった『ダイエット日記』は、短命で終わるのが確実だ。『縄文土偶探訪記』は、メインコンテンツのひとつとして、長く細く継続させるつもりだが、これは所詮、私の「個人的趣味」であり、弊社業務とは直接的な関係は無い。
実は、「第2の柱」として準備してきた路線があったのだが、これも、私個人の趣味に係わる領域であり、会社HPのコンテンツとしては、業務と無関係な内容の比重がさらに高まるので「適切性に難あり」と判断した。う~ん、困った。稿房通信のコンテンツがなくなってしまう…
来年1月1日に開業4年目を迎える弊社は、会社方針として「地方創生」と「ガバナンス構造改革」という2大国策に正面から取り組もうと考えている。この方針とTRI稿房通信を上手くリンクさせる手立てはないものか? ここ数日、そんな事ばかり思案していた。アイデアが枯渇したときに私がよく使う手がある。Internet Explorerを立ち上げ、ランダムにフォルダ、ファイルを10回程クリックし、開いたファイルの内容を眺めて、閃きの到来を待つのだ。私はこの作業を「神の啓示クリック」と称している。
今日の夜、オフィス近くの天然温泉「鹿の湯」で禊ぎした後、久し振りにこのクリックをやってみた。カチッ、カチッ …. カチッと計11回。開いたファイルをじっと見る。「ああっ、やっぱり神様はいらっしゃるな…」 と確信した。因みに、私は、完全な無宗教派だが、自然界の至る所に神様の存在を感じる事が出来るタイプである。
クリックの対象とした Dropboxのフォルダには、約76万のファイルが保存されている。にもかかわらず、開いたわずか11本のファイルの中に、悪戦苦闘したオフィスセルフ・ビルド関連の写真が2枚、オフィスのログ組み立ての手順を手書きしたメモのPDFファイルが1枚含まれていた。セルフビルド系が3つか… やっぱり、『オフィス・セルフビルド回顧録』を書くべしというメッセージなのだろうか?
だが、最も驚いたのは、1998年秋のロンドン出張の際のプレゼンファイルが開いた事だ。この時の出張が、私の現在の仕事に対する基本方針「楽しくない事、意に沿わない事はしない。不平不満を言う暇があったら別の会社に移る」の土台を形成している。さらに、この出張こそが、八ヶ岳周辺に「第2の拠点」を持つ切っ掛けでもあるのだ(=荒川じんぺい氏(師)の著作との出会い)。残りの7本のファイルには何の関連性も見出す事はできなかったが、この4本で私には十分に「啓示」と思えた。
「地方創生」なんて大上段に構える必要はない。つまるところ、ある地方(田舎)で暮らし、働く人の数を増やす事が、その成否の鍵を握ると私は考えている。そして、その人達が、健康的で、快適で、そして、楽しい日々を送る事が、地方創生の「質的成功」であろう。
我が身は、自宅からわざわざ車で2時間弱の八ヶ岳西麓にオフィスを構え、ウィーク・デイは、そこで仕事に没頭。大嫌いな人混みとは無縁の環境で、野鳥、リス、鹿(そして、まだ見ぬクマさん)等の野生動物に接する日々だ。そして、こんな生活を心底、楽しんでいる。私は、既に、地方創生を実践しているんじゃないかと思えてきた。
「週末の田舎暮らし」なんて類の本は、それこそ掃いて捨てる程あるが、「ウィーク・デイの田舎仕事」の話は、少なくとも私は、あまり目にした事が無い。さらに、弊社のオフィスはセルフ・ビルドだ。我ながら、『酔狂の極み』のような仕事ぶりである。こんな「田舎でお仕事」の日々の楽しさやメリット等々を綴る事も、「地方創生への貢献」に繋がるに違いない!
旧『銀行業界鳥瞰図』の基本コンセプトは「読者に媚びない孤高の金融レポート」であった。さて、来年からの『TRI稿房通信』のコンセプトは、どうしようか? 今は、そんなことを考えている。
トリグラフ・リサーチ 稿房主
『TRI稿房通信』 Vol.48