『銀行業界鳥瞰図』番外編【縄文土偶探訪記】も第8号目である。オフィス・セルフ・ビルドの時と同様、土偶さんネタにもファン層らしきものがあるらしい。WordPressダッシュボードのサイト統計情報「人気検索キーワード」に、最近、縄文土偶関連の言葉が目立つようになってきた。債券5勘定尻、貸出約定金利、日銀当座預金超過準備額といった銀行用語に混じって、仮面の女神、遮光器土偶等々が登場するのである。はて、『銀行業界鳥瞰図』は何をテーマにしたWebレポートであったのかと、自分でも不思議に思えてくる。
探訪記 第1号の国宝土偶「かっくうちゃん」に始まり、第7号の同じく国宝土偶「縄文の女神」まで、私は、国宝土偶4体と重要文化財指定土偶9体(勿論、すべて本物である)との対面を果たした。仮面の女神が正式な国宝指定を受け、尖石縄文考古館に凱旋した後には、すぐに再訪するつもりでいる。そうなれば、全「国宝土偶」との対面が叶う。
文化庁の「国指定文化財等データベース」において「土偶」で検索してヒットするのは、国宝、重文合わせて17体である。これですべてであれば、残すところは仮面の女神を含めても「わずか4体」となる。ところが、重要文化財指定土偶の実際の数がよくわからない。実は、第7号の山形県立博物館訪問後に、既に6つの博物館・考古館を訪問済みである。そこには、文化庁のデータベースに収録されていない「重文指定土偶」が何体か展示されていたのである。これらが、国ではなく「都道府県指定」の重要文化財なのか、或いは、私のデータベースの検索方法に不備があった(要は検索モレ)のか、現時点では、はっきりしていない。まあ何にせよ「国宝&重文指定土偶すべてに対面」という目標を立てたのだから、重文指定の定義など関係なく、前に進むしかない!
それに各地の博物館・考古館を訪問してわかったのだが、国宝や重文に指定されていなくても、ミステリアスな土偶さんやチャーミングな土偶さんは数多くある。国宝土偶程の圧倒的パワーでなくとも、土偶さん達は基本的に「パワー・アイテム」だ。眺めていると不思議に元気と好奇心(探究心)が湧いてくる。土偶関連の書籍は、仕事の合間に読み続けており、GW明けに『月と蛇と縄文人(シンボリズムとレトリックで読み解く神話的世界観)』寿郎社発行 大島直行著 という本を読んだ。これも名著である。「土偶の顔はなぜ上を向く」「土偶の口はなぜ丸い」「土偶のワキはなぜ甘い」等々、ユニークなテーマに斬新な考察がなされており、土偶探訪の楽しみがさらに深まった。
縄文式土器や埴輪など、他の展示物にあまり興味が湧かないのは相変わらずであるが、博物館や考古館を訪問・見学する事が何故か楽しくなってきた。縄文土偶程に時間をかける事はないが、時間が許す限り、他の展示物も見て回る事にしている。展示スタイル、学芸員さん達の対応やミュージアム・ショップの充実度、そして全体が醸し出す雰囲気等々、それぞれの博物館や考古館の個性やこだわりのようなものが感じられて、それがまた味わい深い。県立博物館の場合は「県の文化(成熟)度」を象徴するようにも思える。入館料は平均すると200〜300円程度であり、これで1時間位は有意義に過ごせる。何となく「文化系の究極の趣味」であるように思えてきた。
このように『縄文土偶&博物館・考古館』探訪に完全に嵌まってしまったので、従来からの銀行ビジネス関連の読者諸氏には恐縮であるが、今後も『縄文土偶探訪記』を『銀行業界鳥瞰図』番外編として配信し続けるつもりだ。現在はレポートとして配信後、そのまま『銀行業界鳥瞰図』の「固定ページ」に収録しているが、これは以前にも書いたように「間借り」である。将来的には別サイトに移行する準備を進めているのだが、どうも、会社用Facebookの運営というのが個人的にシックリこなくて、予想外に手間取っている。したがって移行時期は「未定」である。
さて、今日は最後に、これまで訪問した博物館・考古館のミュージアム・ショップで購入した土偶さん達のミニチュア・レプリカの写真を1枚紹介しよう。これら土偶の代理(分身)さん達用にオフィス書棚の一角に2段の専用スペースを作成しておいたのだが、既に1段目の7割程が埋まってしまった。もっとも、ミニチュア・レプリカが製作・販売されているのは、かなりの有名土偶さんに限定されるので、今後はあまり増えないだろう。それにしても「仮面の女神」(右から4体目)のミステリアスな雰囲気は、ミニチュアであろうと「圧倒的」である。大好きな 星野之宣の『宗像教授異考録』第6集の第3話「黄泉醜女(よもつしこめ)」は、仮面の女神を題材に書かれている。先に紹介した『月と蛇と縄文人』とも相通ずるものがあり、たいへん興味深い。
あぁ、縄文土偶は最高だなぁ…
トリグラフ・リサーチ 稿房主
(Vol.394)