講演の中休みで、1日から八ヶ岳オフィスに滞在中だ。今日は、朝一番で原村での所用を済ませてから、紅葉の名所「八ヶ岳自然文化園」へと向かった。残念ながら紅葉は最盛期を過ぎており、既に葉の落ちた木々が目立つ。今年は冬が早そうだ。オフィス周辺の紅葉も例年より1週間から10日程早い感じである。
今日も八ヶ岳は青空が美しい。そのままオフィスに戻るのは無粋なので、ふらっと「井戸尻考古館」に立ち寄る事にした。探訪の目的は、そう『縄文人の秋を知る』とでもしよう。井戸尻考古館での国指定重要文化財土偶さん2体へのご挨拶を簡単に終えた後、考古館周辺を散策する。遺跡公園の縄文復元住居周辺エリアは、私の超お気に入りスポットのひとつである。富士山、南アルプス、そして、八ヶ岳連峰… 縄文人は、毎日のように、これらの山々を仰ぎ、崇めて過ごしたのであろう。
青空の下、この地に30分も滞在すると、すっと肩の力が抜けて、身体がちょっとポカポカしてくる。こういうのもある意味「パワースポット」なのかもしれない。「地方創生」「ガバナンス構造改革」「バーゼル規制」等々、そんな面倒な事、もうどうでもイイと思えてくる。そもそも「銀行」なんて無くても、縄文人は幸せに過ごしていたんだぞ! 俗世にどっぷりと使った日々を送っていると、時々、この場所を訪れて精神と身体のバランス調整をしたくなる。今日が、正にそんな日だ。
井戸尻考古館からオフィスに戻る途中、「ヨドバシカメラ 八ヶ岳富士見高原スポーツセンター」の駐車場に立ち寄る。紅葉(楓)の赤がとっても美しかったからだ。ここは、オフィスから車で1分程の距離にある。夏のお散歩コースの折り返し地点でもあるのだが、やっぱりこの季節が一番だ。
オフィスに戻ったのは午前11時ちょっと過ぎだった。既に、オフィス周辺は山栗、白樺等の落葉で埋め尽くされている。唐松の葉が落ちきるまでは、掃除をせずに放っておく。ウッドデッキに移動して、ロッキングチェアから庭を眺める。まだ、11月に入ったばかりなのに、芝生の上に、かなりの量の落ち葉が降り積もっている。ああやっぱり、今年は冬が早いな。次にオフィスに来る時には、桜、ナナカマド、林檎、カリン等の木々に鹿除けの銀シートを巻かなくっちゃ… そんな事を考えた。
こんな具合に、私が1年の中で最も大好きな「晩秋」が終わりつつある。まあ、こんなノンビリとした1日があっても良いだろう。「縄文人の秋」を少しは体験できたような気がする。
トリグラフ・リサーチ 稿房主
『TRI稿房通信』 Vol.26