仕事を午後4時前に終えて「温泉」に行こう!—『望岳の湯』編

「アナリスト」という職業の悲しい性で、何事でもすぐに「数字(データ)」が欲しくなる。

夕方の温泉巡りを始めて、今日でまだ3日目(そして明日が最終日)だが、八ヶ岳界隈の温泉の多さに改めて驚いている。確か2年程前に、北杜市、富士見町、原村の温泉を対象とした『湯遊ラリー』なる企画があった。そのパンフレットに掲載されていたスタンプラリーの対象となった温泉は「15湯」と記憶している。

茅野市、諏訪市、下諏訪町には、温泉が何湯あるのか調べてみたがどうもよくわからない(それ程多い)。確かなのは、茅野市だけで公共の温泉施設を6湯(高齢者福祉施設を加えると7湯)も有している事だ。これに、民間施設やホテル、旅館の日帰り温泉を加えると、茅野や諏訪の温泉の数はさらに大幅に増えるだろう。

「もしかして長野は『温泉大国』なのだろうか?」って疑問を覚えた。個人的には、温泉と言えば「北海道」や「大分県」が真っ先に思い浮かぶ。「温泉と言えば長野」みたいなイメージはあまりなかった。そんなわけで、長野県は全国の都道府県で何番目に温泉が多いのかをどうしても知りたくなった。

銀行関連のデータであれば、日銀、金融庁、内閣府等のデータベースに瞬時にアクセスし活用できるのだが、さすがに「温泉」となると門外漢である。だが、ネットで検索したら「環境省自然局」から毎年度「温泉利用状況」という公式統計が公表されている事がわかった。さすが「公的統計先進国」の日本だなと感心。

早速、Webサイトにアクセス(https://www.env.go.jp/nature/onsen/data/)、最新平成27年度版のPDFファイルをダウンロード、そのまま Excelデータに変換し眺めてみた。温泉地数、源泉数、湧出量、宿泊施設数等々、20項目もの統計データが公表されていた。私が知りたいのは「温泉の数」だ。

それらしいのは「温泉地数」「源泉数」なので、両項目でソートを掛けてみた。結果は、長野県の「温泉地数」は224で、「北海道」の245に次いで、全国第2位。一方の「源泉数」は、「大分県」が4,342でダントツの1位。長野県は976で、こちらは第7位だった。

統計項目の定義を確認すると「温泉地」とは「源泉」の内、「宿泊施設のある場所」を示す事がわかった。私が知りたいランキングは「温泉地数」の方に近い。だとすると「長野県は温泉地数第2位の温泉大国」と言い得る。また、私が北海道と大分県を最初に思い浮かべたのは、結構イイ線行ってたのである。

これにて、アナリスト的欲求は十分に満たされた。あとは、今日も温泉を楽しむだけである!さて、今日の温泉はどこにしようか?
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生憎、今日の八ヶ岳オフィスは朝から雨である。オフィスのデスクの窓から見えるアカマツやカラマツは、風に大きく揺れている。午前11時半には最高瞬間風速19mを記録したので、かなりの強風である。だが、外気温は、お昼過ぎからは7度前後で推移しており寒くはない。春を前にした「冬の名残の嵐」といった天候である。

こんな日にわざわざ露天風呂に浸かりに行く程、私はもの好きではない。今日は「広い内湯」が売りの温泉を訪れるのが「大人の判断」だ。すぐに思い付いた温泉がひとつあった。茅野市の玉宮温泉『望岳の湯(http://www.city.chino.lg.jp/www/contents/1000000764000/)』である。

まだ訪問した事はないが、茅野市の公共温泉施設のひとつであり、露天風呂はないが内湯がゆったりとしているという書き込みがネット上に複数あった。こんな天気の日に初訪問するにはちょうど良さそうな温泉である。

オフィスからの距離は約14km。今日も午後3時半にオフィスを出た。鉢巻道路を走行していると原村との境界辺りから急に霧が濃くなってきた。八ヶ岳エコーライン方面に下っていくと、深山交差点辺りでさらに視界不良になり、慌ててD4のフロントとリアのフォグランプを点灯。

いつもは赤信号停止中に、美しい山並が堪能できる「深山交差点」が霧で先が何も見えない。八ヶ岳オフィスを離れるに連れ、風雨も強まって行く。こんな日に温泉にわざわざ行く人は少ないだろうと予想。

視界が悪いので安全運転に徹し走行。15~16分走ると、初めて「望岳の湯」と表示した案内板が現れた。右折して八ヶ岳方面に上っていくと、すぐにそれらしき建物を発見。見事な位に周辺は田畑ばかりだ。

「望岳の湯」の全景。雨が強いため、D4を停車して車内からフロントガラス越しに撮影。右手側の丸みのある建物の大きなガラスが連なっている部分が浴室(今週は男湯)である。建物の裏手に大きな駐車場があるのだが、車がいっぱいで慌てた。こんな天気でもお客さんは多かった(こんな天気だからかな?)。

建物脇を左折すると広い駐車場があった。だが、車がいっぱいで駐車スペースが空いていない(あとで確認すると90台駐車可能だった)。漸く左手奥に空きスペースを見つけD4を駐車した。風雨は八ヶ岳オフィスよりもさらに強い。これじゃあ、露天風呂あっても誰も入らないな…

エントランスを入って受付手前の販売機でチケット購入。料金は600円(茅野市民は400円)。チケットを渡して廊下を進み、右手にある「男風呂」スペースに進む。脱衣室は広く清潔。ササッと脱衣して浴室に進んだ。

大浴場は入って右手。広さは私が(勝手に)予想していたよりも3割程狭かった。だが、浴室右手はすべてガラス張りで、内湯としての開放感は素晴らしいものがある。男湯(1週間毎に女湯と浴室をチェンジ)からは、南アルプス方面の山々が見えるのだが、天気か悪く、今日の眺望はちょっと残念。他には、水風呂とサウナがあるだけのシンプルな作りである。

「望岳の湯」専用のパンフレットはなく、茅野市の6つの公共温泉施設を紹介する「総合パンフレット」があった。その中から「望岳の湯」の部分を抜粋。

体を洗った後、ちょうど大浴場の湯が流れ出してくる所のスペースが空いていたので、そこに入った。湯温は確認しなかったが結構熱い。41.5~42度位かな。驚いたのは「深さ」。身長174cmの私が、湯船の底に腰掛けると、下唇ギリギリ位までお湯が来る。私より背が低い(正確には座高が低い)人達は、どうやって浸かっているんだろうか? きっと浮いているんだな。湯の質については詳しくないのでよくわからないが、刺激の少ない優しい(どちらかというとサラッとした感じ)お湯だった。あれっ、湯船に浸かっちゃうと外の景色が見えないぞ…

湯温が高いので、ずっと浸かっている事は出来ない。浴室内の椅子に座って涼んだり、サウナにちょこっと入ったり、水風呂に爪先入れただけで諦めたりと、なんやかんやで45分程入浴。ちょっとのぼせ気味になってきたんで、もういいかな。やっぱり、露天風呂がないと、体を適度に冷ます事が難しいのだなと改めて感じた。

脱衣室で着替えた後、体が火照って、もの凄く汗が出てくる事に気が付いた。今日は「温泉ダイエット」の効果は極めて大きいぞと、ひとりほくそ笑む。

廊下に出ると、左手に小休憩室、右手に大休憩室が有り、ちょっと驚く位の数のお客さんが寛いで(寝転んで)いた。まず、男湯側にある小休憩室に入って、南アルプス側の風景を一応パチリ。窓越しには網戸があるし、やっぱり今日の天気じゃ、ぱっとしないな。続いて大休憩室に入る。八ヶ岳は南アルプス以上によく見えないので写真撮影断念。

館内からは良い写真が撮影できなかったので、帰り掛けに駐車場から男湯から見える側(南アルプス側)の光景を撮影。青空の下なら、間違いなく素晴らしい眺望である。

さあ、帰ろうと思ったら、売店の「ソフトクリーム販売中」の表示が目に入ってしまった。「バニラとストロベリーのミックスはヨーグルト風味」なんて、そそる表現もある。駄目駄目、第2次トリグラフ流ダイエット期間中なんだから、ソフトクリームなんてトンデモナイ、と頭ではわかっているのだが、何故か体は勝手に小銭入れを手にして、売店のおばさんに話しかけている。

「バニラとストロベリーのミックス1つ下さい。」「はい、300円です。」体が勝手に500円玉を取り出していた。その後も、頭からの停止命令を無視して、体が流れるような所作でソフトクリームを味わうモードに進んで行く。なんと、iPhone Xを取り出して写真撮影までするではないか…まるで悪夢を見ているようで、「ウイングガンダムゼロ」のパイロットになったような気分だった(この件は、ガンダムマニアじゃなきゃわかんないだろうな…)。

これが、体が頭の命令を無視して勝手に購入したバニラとストロベリーミックスのクリームである。さらに勝手に写真撮影し、頬張り始めた時には恐怖感を覚えた。ウイングガンダムゼロのインターフェイスシステムを装着したパイロットは、こんな感じになるのだろう。トリグラフ温泉ダイエットの効果が台無しになった…

結局、ソフトクリームをぺろっと平らげた時点で体の暴走は止んだ。残ったのは後悔のみである。温泉ダイエットの効果が台無しだよ! こうして、夕方の温泉巡り3日目は幕を閉じた。

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