【縄文土偶探訪記 Season 1 Vol.14】北杜市考古資料館(山梨県)

探訪博物館: 山梨県 北杜市考古資料館
http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/maps/detail/495/
探訪日: 2015年3月15日
探訪目的: ポットのような「中空土偶」他

3月15日午前の有名土偶さん@山梨県 集中探訪、最後の訪問先は「北杜市考古資料館」である。目指すは、山梨県立考古博物館3大レプリカ土偶の左端に位置する「中空土偶」の本物(実物)だ。「中空土偶」と言えば、国宝「中空土偶 かっくうちゃん」がその代表だが、北杜の中空土偶さんも「土偶・コスモス(羽鳥書店)」他、土偶関連書籍に登場する「有名人」である。

「韮崎市民俗資料館」と「南アル伝承館」は、まったくの初訪問だったが、「北杜市考古資料館」はそうではない。昨年11月、長坂のホームセンターでの買い物後、その帰り道にふらっと立ち寄った事がある。事前準備のないままの気紛れ探訪であったため、その日は運悪く休館日。館内を見学する事は出来なかったので、隣接する「谷戸城跡」を散策したのみで撤退した。八ヶ岳オフィスからは車で20分も要しない場所にあり、土地勘も十分なので、敢えて最後の訪問先にここを選んだ。南アル伝承館からの移動には30分弱を要し、到着は11時少し前になった。

こちらの建物はいかにも「考古資料館」という佇まいだ。建物の正面のスペースにD4を駐車し、エントランスへ向かう。エントランスに向かって右手には、遮るものがなく、八ヶ岳の雄大な全景を見渡す事が出来る。素晴らしいロケーションだ。受付にて入館料200円を支払う。先に訪問した2館は、共に入場料無料、見学者は私1人の貸し切り状態だったが、ここでは先客が1名。1F受付の対面スペース(企画展示室と思われる)には、見事な大型縄文土器が8点展示されていた。階段で2Fの常設展示室に向かう。廊下兼展示スペースにも大型土器が並ぶ。その先を右手に入ると「縄文時代」の展示スペースが目の前に開けた。室内は照明を抑制気味で、ちょっと神秘的な雰囲気が漂う。

北杜市考古資料館の外観。スッキリとした造りで考古資料館らしい佇まいだ。館の左手には「谷戸城跡」、右手側には「八ヶ岳全景」を展望できる。

北杜市考古資料館の外観。スッキリとした造りで考古資料館らしい佇まいだ。館の左手には「谷戸城跡」、右手側には「八ヶ岳全景」を展望できる。

お目当ての「中空土偶さん」は、ここでもVIP待遇。室内の右手奥に立派な展示ケースを与えられ「完全個室」状態である。あまりにも目立つ扱いなので、この主役から鑑賞する。正面からみた姿は極めてユニーク。これはどう見ても「宇宙服」だろうと、思わず呟いてしまった。中空な上に、まるでティーポットの注ぎ口のように「口」らしき部分が突き出ている。この口の位置が、目らしき穴よりも下にあるので、実際に液体を入れてティーポットのような使い方が出来たのではないかと思う。縄文人が果実酒か何かを注いだ容器ではないかと勝手に想像する。この「想像」というプロセスが、縄文土偶探訪の醍醐味だ。

北杜市考古資料館の看板「中空土偶」である。私には「宇宙服」のように見える。突き出した「口」に特色があり、何かの容器としての用途があったように思える。

北杜市考古資料館の看板「中空土偶」である。私には「宇宙服」のように見える。突き出した「口」に特色があり、何かの容器としての用途があったように思える。

様々な角度からこの中空土偶を眺め、撮影した。脇から撮影した写真(下掲)から、いかに口が突き出しているか(それも上方に向かって)を確認できるだろう。正面から見ると目に見える穴は、対称的な位置と大きさで背面にもある。さらに側面にも対称的な穴が1つずつ開けてあり、頭部に計6個の穴があるのだ。こりゃもう何かの「容器」としか思えない。いや~、この土偶さんは、これまで対面してきたものとは、ちょっと「用途」が違うんじゃないかな? そんな事を考えながら、10分以上も見入ってしまった。

側面から見た「中空土偶」。口がかなり上方に突き出している事が確認できる。頭部の穴は6カ所。口よりも上方に位置しているので、口は「注ぎ口」として使えそうだ。

側面から見た「中空土偶」。口がかなり上方に突き出している事が確認できる。頭部の穴は6カ所。口よりも上方に位置しているので、口は「注ぎ口」として使えそうだ。

ああそうだ、正午までにオフィスに戻る予定だった。ふと、我に返り、縄文時代の展示スペースに並んでいる他の土偶さん達の鑑賞に移る。あれっ、どこかで会ったぞ? そんな感じの「ソックリさん土偶」が並んでいて、とても楽しめた。例えば下記写真の右側にある「土偶頭部」。そのお顔は、南アル伝承館の「円錐形土偶さん  http://triglav-research.com/?p=12678」によく似ているではないか。

北杜市考古資料館には、中空土偶以外の土偶も多く展示されている。写真右側の土偶頭部は南アル伝承館の「円錐形土偶」に似ている。

北杜市考古資料館には、中空土偶以外の土偶も多く展示されている。写真右側の土偶頭部は南アル伝承館の「円錐形土偶」に似ている。

それから下記写真前列中央の土偶の顔を見て欲しい。こちらは、山梨県立考古博物館の「いっちゃん http://triglav-research.com/?p=12613 」や韮崎市民俗資料館の「ミス 石之坪遺跡 http://triglav-research.com/?p=12645 」系のお顔である。全国各地の考古博物館を探訪し、数多くの土偶さんに対面してきた結果、自然と土偶さん達を「分類・類型化」しようとしている自分に気が付く。これがまた楽しくて仕方ないのだ。

前列中央の土偶は、山梨県立考古博物館の「いっちゃん」、韮崎市民俗資料館の「ミス 石之坪遺跡」系のお顔である。

前列中央の土偶は、山梨県立考古博物館の「いっちゃん」、韮崎市民俗資料館の「ミス 石之坪遺跡」系のお顔である。

後ろ髪引かれる思いで、縄文時代スペースを後にする。弥生時代→古墳時代→奈良・平安時代→中世世界と続く各展示スペースをやや駆け足で鑑賞する。予想以上に充実した展示内容でちょっと驚いた。入館料200円でこれだけ楽しめるならば大満足だ。総見学時間は約30分。1Fエントランスに戻ってから、受付の奥にも縄文土器の展示スペースがある事に気が付いた。こちらは、やや小型の土器が多いが、そこに描かれた紋様がまた素晴らしい(凝っている)。私の現在の興味は「縄文土偶」に限られているため、縄文土器についてのコメントは基本的には書いていないが、「北杜市考古資料館」は縄文土器マニアには垂涎の場所と言えるだろう。

残念ながらミュージアムショップはなかった。でも、「中空土偶」のレプリカは、山梨県立考古博物館で購入済なのでOK(購入しておいてよかった)。さあ、オフィスに戻ろう! D4でオフィスに着いたのは午前11時50分。我ながら見事な計画遂行である。午前中の4時間弱で3つの考古系資料館を訪問し、様々な土偶と対面。そして要したコストはわずか200円。さらに様々な資料を無料でゲット。「縄文土偶探訪」は「究極の文化系趣味」だと思う。もっとも、排気量5,000cc、車重2.5t超のD4が、ガブガブ飲み込むガソリン代を別にしての話であるが…

 トリグラフ・リサーチ 稿房主