【縄文土偶探訪記 Season 2 Vol.19】 辰馬考古資料館(兵庫県)

探訪博物館: 兵庫県 辰馬考古資料館
http://www.hakutaka.jp/tatsuuma/index.html
探訪日: 2015年10月23日
探訪目的: 「みみずく土偶」さん

2015年10月23日は日帰りの近畿地区出張。午前中の奈良、午後の大阪での講演の間に、うまい具合に空き時間が出来た。そこで以前からどうしても訪れたかった「辰馬考古資料館」探訪を計画。

「辰馬考古資料館」は、銅鐸を中心とした考古資料と「富岡鉄斎」作品という2大コレクションを有しており、「春季・夏季・秋季」展を開催し、これらのコレクションを展示。2015年秋季展では、土偶さんのコレクションが展示される事は事前確認済みだ。

資料館の所在地は兵庫県西宮市。最寄り駅は阪神「香櫨園駅」。綿密な移動スケジュールを組んだ結果、わずか15分程だが資料館鑑賞の時間が確保出来た。資料館着は午後2時7分。受付で入館料200円を支払い、エントランス左手にある展示室に直行した。

香櫨園駅から徒歩で2~3分の場所にある「辰馬考古資料館」の外観。「公益社団法人」であり、創設者 辰馬悦蔵翁が1976年に設立。翁は銘酒白鷹醸造元(北)辰馬家に生れ、三代悦蔵として家業を継いだ。

今回の探訪の最大のターゲットは、国指定重要文化財である「みみずく土偶」さんである。国宝及び国指定重要文化財土偶さん18体の内、実物にご対面できたのはこれで15体目だ。2013年11月の国宝土偶「かっくうちゃん」とのご対面から約2年。長かったのか短かったのかよくわからない「有名土偶さん」探訪の旅であった…

今回の探訪のメインターゲットである「千葉県余山貝塚」出土の「みみずく土偶」さん。国指定重要文化財である。国宝・国指定重要文化財土偶さんは全18体。この土偶さんは15体目のご対面である。
実は私には「みみずく」と言うよりも「カッパ(河童)」土偶さんに思える。土偶さん系の写真集には必ずと言ってよい程に掲載される有名土偶さんである。

この資料館には、みみずくさん以外にも、土偶さん関連の写真集等でお目に掛かるメジャー組が他にもいらっしゃる。まずは、千葉県龍角寺遺跡出土の土偶さん。こちらは、「重要美術品(重美)」認定を受けている。

こちらは「千葉県龍角寺遺跡」出土の土偶さん。縄文時代晩期のモノ。重要美術品指定を受けている。2009年に東京国立博物館が開催した「国宝土偶展」には「みみずく土偶」さんと共に出展された。

続いて、あの「しゃこちゃん」の故郷である青森県亀ヶ岡遺跡出土の土偶さんで。こちらも「重美」認定組だ。

しゃこちゃんと同郷「青森県亀ヶ岡遺跡」出土の土偶さん。こちらも重要美術品指定を受けている。この土偶さんも「遮光器土偶」に分類されるように思えるのだが、解説プレートには「土偶」とのみ記されている。

そして、これまた有名な「土面」さん。こちらは、岩手県一関市大原出土である。

こちらは「岩手県一関市大原」出土の土面さん。土面さんコレクションがまたひとつ増えた。そろそろ「土面さん」だけの写真グループを作る必要があるな…

こんな具合に、決して広くはない展示室に、縄文時代の貴重なお宝がさり気なく並んで展示されている。

展示室は1室。決して広くないスペースなのだが、こんな感じに有名土偶さん達がさり気なく並んでいる。「壮観」だ!

資料館の設立概要には「創設者の辰馬悦蔵翁(1892~1980)が、世の考古資料の散逸・湮滅し、また海外へ流出してその学のすたれることを憂い、その保全のため私財を投じて自ら保護の任にあたった」旨が掲載されている。こういった取り組みが無ければ、この日の土偶さん達とのご対面は叶わなかったであろう。心の中で辰馬悦蔵翁に深く感謝した。

気が付くと時刻は既に2時23分。滞在予定時間の15分を超過していた。2時27分の香櫨園駅発阪神電車に乗らねばならなかったので、急ぎ足で辰馬考古資料館を後にした。

土偶さん達と接する事が出来た時間は短かったが、私にとっては、とても充実した「至福のひと時」であった。

トリグラフ・リサーチ 稿房主
【縄文土偶探訪記】