私は何事においても、リスクとリターン、コストとリターンを十分に考慮して意志決定を行う。
大学時代に財務会計や管理会計を学んでからの習性なので、もう40年近くはそうしてきたように思う。
唯一の例外は「子育て」であり、合理的なリターン予測が出来ないままに3人の息子を育ててしまった。
3人共、中学から大学まで「私立校」だったので、養育費や教育費等々を積み上げると、それなりのコストが発生した。
3人の子育てがなければ、おそらくは、長野に次ぐお気に入りの地である「北海道」「和歌山」「宮崎」辺りにもう一棟のログハウスを所有した上で、日本一災害に強く、かつ長野のように清潔な「岡山」に我が社の支店を設けていたと思う。
今年、長男は35歳、次男が33歳、三男が29歳になるが、これまで「リターン」らしきものが、唯一、認識・測定できたのは、2013年にオフィスをセルフビルドした際だろうか?
次男は、ログ材の高所積み上げ、三男は屋根材貼りで大活躍してくれた。
長男は、枕木テラスやアプローチの水洗い程度であったが、まあ役には立った。
3人の息子達を育て上げながら、ウンザリする位の税金を還暦を過ぎた今でもしっかりと払い続けている。
そして、現在では息子達も国家の税収入に貢献している。
自分で言うのも何だが「立派な日本人」だと思うのだが、国や地方自治体から感謝された事も、恩恵を受けた事もまったく無い。
私のような「真面目でまっとうな人間」が報われないのであるから、「日本という国家」に将来はないと思っている…
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昨日は「次男ペア」八ヶ岳滞在の3日目。午前中は、社主さまを含めた3人でまた「テニス」だった。
いくら涼しい「富士見高原」とは言え、真夏にあの広いコートの中を動き回る「テニス」という行為を好んで行う人達の精神構造が、私にはよく理解できない。
私は彼らがテニスを楽しんでいる間に、一昨日の「プチコロナ感染騒ぎ」のお詫びに、中村農場に「お弁当」を買いに行った。
予想はしていたが、あの広い駐車場は、ほぼ満車状態。食事処は順番待ちのお客さんでいっぱいだった。
「ふんっ、素人ばかりだな。こういう時はお弁当の予約がスマートなのさ!」と思わず呟いた。
本宅で4人でお弁当を味わった後は、次男ペアは、諏訪湖周辺の観光スポットをドライブしたようだ。
途中で立ち寄った私お奨めの「八ヶ岳 Sereno」さんのジェラートは大好評!
女性連れのゲストの場合は、あのお店を紹介すればハズレはないのだ。
6時半過ぎに彼らは戻ってきた。
ふと、次男はオフィスセルフビルドの際に「高所作業」で抜群の能力(猿並み)を発揮した事を思い出した。
ちょうどオフィスの屋根の上に落ちた山栗花穂の掃き掃除をしようと考えていたタイミングであった。
そうだ、次男に任せよう!
彼に頼んでみたら(珍しく)即座に快諾。
猿並みの身軽さで屋根に上って、あっと言う間に掃き掃除を終えた。
正に「猿の恩返し」だな…
次男を育てて良かったと思ったのは、これで2回目だった。
昨晩は「焚き火」はお休みとして、本宅のダイニングでディナーを楽しんだ。
Sちゃんは、次男と同じ某3メガバンクの本社で働く「才媛(本当に良い娘さんだ!)」である。
会話の中に、時々、金融絡みの話題が混ざるのだが、それが私にとっては、とっても面白いし勉強になる。
そう言えば、最近、息子達の仕事の話を聞くのが、本当に楽しい事に気が付いた。
金融業界で働く長男、次男だけでなく、まったくの別業界で働く三男の話は、私にとって、とりわけ新鮮だ。
息子達が仕事で頑張っている話を聞いて、それが自分の勉強になる。
これはもしかすると「リターン」の一種かもしれない。
私達3人が金融の話をしている脇で、3人の子育てを中心に「専業主婦道」を貫いた社主さま(家内)が微笑んでいた。
きっと話の内容ではなく、次男ペアが共通の話題を有して、仲良さそうにしているのが、本当に嬉しいのだろう。
次男だけでなく、長男や三男が新百合ヶ丘自宅や八ヶ岳に遊びに来た時は、社主さまは、溢れんばかりに幸せそうな表情をする。
うん、社主さまの喜びが、息子達がもたらす「最大のリターン」だな…
by『八ヶ岳稿房主』