【縄文土偶探訪記 Season 1 Vol.7】山形県立博物館(山形県)

探訪博物館: 山形県 山形県立博物館
http://www.yamagata-museum.jp/
探訪日: 2014年4月10日
探訪目的: 国宝「縄文の女神」 他

何か新しい事を本格的に始める際には『勢い』が必要である。もうちょっと具体的に表現するならば『初期動作の段階で、思い切って時間とお金を投じる』事が肝心なのだ。そして、遅くとも半年程度で一端(いっぱし)の水準にまで到達する事を目標にすべきである。『一端』には、人によって様々な定義があるだろうが、私の場合は「自分の手持ちの材料でパワポ20〜30枚程度のプレゼン資料を作成し、1時間程、講演スタイルで熱く語れる」ようになる事が『文化系趣味』の最低ラインだ。縄文土偶に関しては、一端+α の水準を目指しているので、一気呵成に目標ラインを突破しようと目論んでいる。したがって、4月4日と8日で、国宝土偶1体と重文土偶8体に対面できたからと言って、縄文土偶探訪のペースを緩める事はしない。

4月8日の@盛岡&八戸トリップを終え、川崎の自宅に帰り着いたのは午後7時過ぎだった。翌9日は1日休養、10日には2巡目となる東北日帰り出張が予定されていた。幸い、講演の時間帯は夕方であったので、午前11時発の新幹線でノンビリと東京駅を発つ事とした。目指すは、国宝『縄文の女神』が展示されている「山形県立博物館」である。新たに国宝指定を受ける『仮面の女神』を加えても、国宝土偶は5体しかない。その内2体は、名称がちょっと紛らわしい。尖石縄文考古館所蔵が『縄文のヴィーナス』、山形県立博物館所蔵が『縄文の女神』なのである。但し、外観は大きく異なる。縄文のヴィーナスが正に「お母さん(私は、豊穣の女神 http://triglav-research.com/?page_id=7441 と感じたが)」という雰囲気であるのに対して、縄文の女神は「スラッとしたモデル体型」の土偶だ。『八頭身美人土偶』と呼ばれる事もあるようだ。こちらのモデルさんとの対面が、今回の目的なのである。

午後1時45分、新幹線は、ほぼ定刻通りに山形駅に到着した。これまでの博物館・考古館は駅からかなりの時間を要する距離にあったのだが、山形県立博物館はWebのアクセス情報によると「駅西口から徒歩10分」との事。風がやや強く曇天だが、雨の心配はなさそうな天気だ。縄文土偶探訪記初の『お散歩探訪』と決めた。アクセス図はシンプルでわかりやすい。駅から徒歩5〜6分の霞城公園の南門を通り、公園敷地内東端にある県立博物館を目指すだけである。超方向音痴の私でも、さすがに霞城公園まで何の問題もなく辿り着けた。お堀の橋を渡ると南門である。南門の正面には大きな公園案内図が設置されており、県立博物館への経路もはっきりと確認できた。これでは迷子になる余地すらない。公園の雰囲気を楽しみながらゆっくりと散策したのだが、午後2時5分過ぎには目的地へと到着した。自宅から山形駅までの移動には4時間弱を要しているが、駅から博物館までは、呆気ない程に楽な道のりであった。

山形県立博物館は、これまで訪問した博物館・考古館の中では、やや古い(良く言えば、落ち着いた雰囲気の)造りである。元々、私がイメージしていた「県の博物館」とは、こんな感じだ。博物館の敷地と公園内道路の接点には、ご丁寧に「国宝縄文の女神 常設展示中 入り口こちら→」という国宝土偶の写真付き案内板が立っている。博物館入り口前のスペースには、恐竜の骨格を模したであろう金属製の堂々たるオブジェ(後になって、ヤマガタダイカイギュウの全身骨格模型と判明)が置かれている。入り口に向かって歩き出すと、このオブジェの奥、エントランスの左脇に人間サイズでの等身大(? 要は、人間位の大きさの)縄文の女神の像がある事に気が付いた。エントランスを入って左側に受付がある。入館料300円を支払い、いつものようにパンフレット等を収集する。是川縄文館が「凝った」施設であるとすれば、山形県立博物館は色々な意味で「シンプル」な施設である。受付から1Fの展示スペースに進むと、今度は白い素材で作成された「縄文の女神像」を発見。こちらは、最新の3Dプリンタで作成された像との事。本物にご対面するまでに、大きさや素材の異なる2つのレプリカを鑑賞できたのは、初の体験である。山形県立博物館にとって縄文の女神が、主役(ヒロイン)的存在である事がわかった。

山形県立博物館のエントランス ヤマガタダイカイギュウの全身骨格模型オブジェの奥には、縄文の女神の大型レプリカが置かれている

山形県立博物館のエントランス ヤマガタダイカイギュウの全身骨格模型オブジェの奥には、縄文の女神の大型レプリカが置かれている

講演の開始は午後3時半からなので、山形駅から銀行までのタクシー移動時間を考慮しても、1時間はたっぷりと博物館内を見学できる。早速、2階の展示室へと向かった。展示室は第1から第3まであり、縄文の女神は第2展示室内の「国宝展示室」に鎮座している事を館内案内図で確認済みである。第1展示室のテーマは「豊かな自然とその恵み」であり、森林インストラクター 兼 日本野鳥の会会員でもある私は、結構楽しめた。ここで30分位は時間を使ったように思う。その後、第3展示室→第2展示室(除く国宝展示室)と眺めるような感じで進む。時間にして10分強といったところである。国宝展示室入り口の側の縄文土器等を展示したスペースで立ち止まる。見慣れない土偶サンが1体飾られていたのだ。ユニークな形状に魅入られて思わず写真を撮影。が、解説を読んでレプリカである事が判明。実物は、昭和40年に国指定文化財となったそうであるが、残念ながらレプリカなので対面土偶数にはカウントできない。

写真集等でこれまで見た事のない土偶サンに遭遇  残念ながらレプリカであった。真室川正源寺原蔵 重要文化財指定

写真集等でこれまで見た事のない土偶サンに遭遇  残念ながらレプリカであった。真室川正源寺原蔵 重要文化財指定

さあいよいよ『国宝展示室』だ。どこの博物館・考古館でも国宝土偶サンの扱いは別格である。個室を与えられ、かつ、工夫を凝らした展示スタイルとなっている。

国宝展示室の入り口 縄文の女神が中央ステージに立っているように見える

国宝展示室の入り口 縄文の女神が中央ステージに立っているように見える

中央のまるでステージのような台の上で「縄文の女神」がスーパーモデルのようにスクッと立っている。展示室の壁際に配置された多数の土偶の破片が「傅く(かしずく)民」のように思えるのは私だけだろうか。縄文の女神の「凛とした姿勢」は、女神と言うよりも「女王(或いは、最上級のシャーマン)」である。思わず溜め息が出るような「神秘的な美しさ」だ。これまで対面した国宝土偶や重文土偶とは、異なった種類の『美』がそこにはあった。様々な角度から写真撮影したのだが、シャープな直線と緩やかなカーブの組み合わせが絶妙で、理屈抜きで美しい!女王様に対して失礼千万なのだが、撮影した写真の中から正面図と後背面図(左上から撮影)の2枚を紹介しよう。

『縄文の女神』正面写真 女王様!と叫びたくなるのは、私だけだろうか? 本当に神々しい美しさだ

『縄文の女神』正面写真 女王様!と叫びたくなるのは、私だけだろうか? 本当に神々しい美しさだ

『縄文の女神』後背面写真 どの角度から見ても「神々しい美しさ」が伝わってくるのが「縄文の女神」の特徴である! 日本人体型ではないよね...

『縄文の女神』後背面写真 どの角度から見ても「神々しい美しさ」が伝わってくるのが「縄文の女神」の特徴である! 日本人体型ではないよね...

平日の訪問であったためか、見学客は数名であったように思う。ちょうど私が国宝展示室に入る際に、数名のグループが見学を終えたところであり、その後10分以上は、私の「貸し切り状態」となった。この土偶サンもずっと見ていても飽きない。これまで何回か「最上級のパワーアイテム」という表現を用いていたが、これが大袈裟でない事を確信した。縄文の女神の神々しい後ろ姿に見とれていると、国宝展示室の前に新たな見学者がいる事に気がついた。名残惜しかったが、国宝展示室を後にした。

受付のある1階に戻った。時計を見ると3時少し前だった。そろそろ山形駅に戻らねばならない。急ぎミュージアム・ショップで土偶サン関連グッズの買い物をする事にした。改めて、館内案内図を見たがそれらしきものがない。受付で確認する。やはりミュージアム・ショップは無いとの事。これは初めての経験だ。が、縄文の女神に関するグッズは何点か受付で販売しているとの説明あり。あぁ、良かった…

定番モノであるクリアファイル、ピンバッジ、ポストカードをまず購入。クリアファイルは濃紺の無地を背景に表側から見ると縄文の女神の正面図、裏側には背面図の写真がプリントされており、最高の出来映えだ。そして勿論、縄文の女神のミニチュア・レプリカも購入。高さは約12cmと決して大きくはないのだが、ダイキャスト製でずっしりと重い。これまでのレプリカは陶製のものばかりだったので、レアモノである。色はブラウンで本物に近い。オフィス書棚の展示スペースに置くよりも、机上で文鎮やメモ挟みとして愛用したくなるような逸品だ。

満足感と幸福感に包まれて山形県立博物館を後にした。山形駅まで歩く途中で「縄文の女神(私的には女王)」様を現代人に例えたら誰かな?と考えた。シャーマン的な雰囲気という意味ならば、大好きな「平原綾香」なのだが、ちょっと外見的に違う。「米倉涼子」だ! そう閃いて、自己満足に浸った。こうして、私の縄文の女神@山形県立博物館探訪記は幕を閉じた。

トリグラフ・リサーチ 稿房主