【縄文土偶探訪記 Season 4 Vol.21】 青森県 『野辺地町立歴史民俗資料館』

探訪博物館: 青森県 野辺地町立歴史民俗資料館
http://www.town.noheji.aomori.jp/category/189/189.html?section=25
探訪日: 2017年4月28日
探訪目的: 有戸鳥井平4遺跡出土土偶(国指定重要文化財)

木造駅で「ジャイアント しゃこちゃん」の探訪を終えた時点でまだ午前10時35分。レンタカーの返却まで3時間の時間があった。森田歴史民俗資料館の探訪がなくなったので、40~50分程度の時間が余ってしまったのだ。

次の目的地である「三内丸山遺跡」は、既に4~5回探訪済みなので熟知している。移動時間を含めても、時間を持てあましてしまうのは間違いない。そこで、予定を変更して、今回の探訪は諦めていた「野辺地町立歴史民俗資料館」を急遽訪問する事とした。

ナビで確認すると、木造駅から野辺地の資料館までが約90分、資料館から新青森駅までが70分弱だ。レンタカー返却前の給油時間を考慮しても、15分程度は資料館を見学できるというのが、私の目論見だった。D4での移動であれば、こんなケースでは「Mission:Impossible」のメイン・テーマを流して出発するのだが、生憎、iPodを持ってこなかった…え~い、ゴチャゴチャ言わずに出発だぁー

野辺地町立歴史民俗資料館に着いたのは正午ジャスト。資料館は「The 町の博物館」といった佇まいだ。最近訪問した先の中では、なんとなく「箕輪町郷土博物館」に醸し出す雰囲気が似ていて好感が持てる。

野辺地町立歴史民俗資料館の外観。各地の県立博物館のような立派な建物にも感心するが、こういった感じの「町の素朴な資料館」にも好感を抱く。【縄文土偶探訪記】は、土偶さんだけでなく、各地の博物館の外観・雰囲気も探訪・コレクションの対象としているのだ。

早速、エントランス左手の受付で入館料210円を支払って探訪開始だ。展示室はエントランス左手の1フロア1室である。展示室中央のケースに土偶さんが単独展示されている。すぐに目的に「国指定重要文化財」土偶さんである事がわかった。

1F1室の展示スペース。パッと見て、単独展示されている土偶さんが、この資料館の「看板」である事が伝わってくる。「国宝土偶」さん達には及ばないかもしれないが、この土偶さんも、とても大切にされているのは間違いない。

土偶さん「単体」で「国宝」認定を受けているのは5体、「国指定需要文化財」は13体しかない。この土偶さんは、13体の内の1体で、文化庁のデータベースには「青森県有戸鳥井平4遺跡出土(あおもりけんありととりいたい4いせきしゅつど)」土偶として登録されている。

愛称等はないようだ。町の名前が「のへじ」というユニークな響きなのだから「のへりん(勝手にこう呼ぼう)」とか「へじーちゃん」とか、安易なのを付してくれればイイのに… まずは、正面からご挨拶。「のへりん」はかなりの有名土偶さんで、写真集等にもよく掲載されている。そんなわけで初対面の気がしない。

文化庁のデータベースには「青森県有戸鳥井平4遺跡出土」土偶として登録されている。重文指定は、2012年9月6日。まだ5年も経っていないのだが、土偶さん系の写真集等に頻繁に登場する有名土偶さんである。

が、脇に回り込んで驚いた。想像していたような「厚み」がないのだ。茅野の至宝「縄文のビーナス」や「仮面の女神」のような「体積(押し出し)の迫力」はなく「板状土偶」系である。高さは32cmとかなり大柄な土偶さんなので、造形技術の高さが伝わってくる。

脇や裏に回って本当に驚いた。厚みが無いのだ… 「本土偶は、とりわけ大形で厚手の板状に作られた胴部を持ち、それを短い脚と前後に伸びた長細い脚先で支えて、何とか自立させようとする構造に特色が認められる。」と文化庁のデータベースは解説している。

「国指定重要文化財」だけあって、発するオーラも半端ではない。気が付いたら、この土偶さんだけで7~8分も眺めていた。予定滞在時間は15分なので、慌てて他の展示物を見学する。

他の土偶さんは「いろいろな土偶」という説明プレートで括られて、数体が展示してあった。津軽地方は「遮光器土偶」さん中心だが、野辺地地方は「板状土偶」さんが主役である事が確認できた。

その他の土偶さん達は「板状土偶」がほとんどだ。津軽地方では「遮光器土偶」さんが主役だったので新鮮だ。そう言えば三内丸山遺跡の看板土偶さんも「板状土偶」だった。

土偶さん以外の展示物も見学していたら、時刻は12時15分になっていた。タイムリミットなので、受付に戻り、ミュージアムショップが無いか確認したが、残念ながら無し。「のへりん」のレプリカあったら、絶対に買うのにな…本当に残念だ!

そのまま駐車場に戻って、改めてレンタカーを眺める。はて、これ何て車だ? 確か、TOYOTA ヴィッツ クラスで予約したはずだが。あぁ、日産 ノートか。今日はご苦労さん。これから新青森までよろしくね!

今回お世話になったレンタカー「日産 ノート」。いつも、排気量5,000cc、車重2.5t のD4に乗っているので、ちょっと新鮮な乗り心地だった。吟遊詩人活動の先で借りるんだったらこのサイズで十分だな。

野辺地から新青森のレンタカー営業所までのドライブも快適そのもの。給油を終えて到着したのは午後1時25分だった。「これなら、現地でレンタカーを使う吟遊詩人活動も十分にありだな!」と確信し、私は実り多き「しゃこちゃんの故郷を訪ねる度」を終えた。

トリグラフ・リサーチ 稿房主
【縄文土偶探訪記】