【縄文土偶探訪記 Season 4 Vol.1】 長野県『伊那市創造館』

探訪博物館: 長野県 伊那市創造館
http://www.inacity.jp/shisetsu/library_museum/inashisozokan/riyoannai/souzoukangaiyou.html

探訪日: 2017年2月4日
探訪目的: 国指定重要文化財 顔面付釣手型土器(がんめんつきつりてがたどき)他

「さあ~ 縄文土偶探訪の旅、仕切り直しだ~」と、元気に叫んで、愛車D4のハンドルを握り、中央道で最初に向かったのが『伊那市創造館』である。「お蔵入り土偶さん」の在庫が積み上がったのは、探訪記の文章を長く書き過ぎた事にも原因があるので、第4シーズンと蔵出しは、写真を中心としたシンプルな構成に変更するつもりだ。

まずは、伊那市創造館の外観。青空の下、周囲の山並みが清々しく美しい。周辺には、私好みの広葉樹が散在し、巨樹特有の存在感を醸し出す。

創造館の周辺には、私好みの広葉樹の巨木が「守り神」のように数本そびえていた。澄んだ空気と青い空。素晴らしい環境だ!

今回のお目当ては2個(体?)の顔面付土器である。1体目は、国指定重要文化財「顔面付釣手型土器」。真横に伸びた細い目に真ん丸なお口、そして鴎が飛んでいるようなキュートな眉。なんとも愛嬌のあるお顔だ。

こちらは「国指定重要文化財」。顔面付土器の造形の美しさは、全体のシェイプにあるのだが、縄文土偶探訪記では「お顔のアップ」にフォーカスしたい。

2体目が「顔面把手付大深鉢」。こちらは、伊那市の有形文化財。お顔は、八ヶ岳西麓の縄文土偶さんではお馴染みの「つり目」に特徴がある。そう、国宝「縄文のヴィーナス」系のお顔立ちで、私には何となく「宇宙人」に見える。

「縄文のヴィーナス」に代表される「つり目」美人系のお顔立ち。同じ顔面付土器でも、先に紹介したものとは雰囲気がまったく異なる。

事前調査では、土偶さんの展示は確認出来なかったのだが、何と、1体展示されていた。八ヶ岳オフィスの周辺博物館に展示されている国宝土偶さんや重文土偶さんのような圧倒的な存在感はないものの、素人目にも「妊婦」である事がわかる愛らしいお姿だ。こういう予期せぬ出会いが、名も無き土偶さん探訪の醍醐味である。

出会いを予想していなかった正に「名も無き土偶さん」である。小さな体ながらも存在感を誇示。こういう予期せぬ出会いも縄文土偶探訪の楽しみのひとつだ。

そして、伊那市創造館の看板は「日本で最も美しい」と形容される「御子柴遺跡出土の石器群」である。ちょっと驚く位の数の石器が展示されていたので、その中から特に美しいと感じた3つの写真をパチリ。おそらく「石器マニア(いるのかな?)」が頬ずりしたくなるような逸品だろう。

「日本でい1番美しい」と形容される石器群から、私が「本当に美しい」と感じた代表の写真。正に「匠の技」だ。

最後に、紹介するのが、伊那市創造館のゆるキャラ「つくルン」ちゃん?だ。こちらは、2015年10月に開催された「全国どぐキャラ総選挙Final」で11位にランクイン(得票数77票)した知る人ぞ知る実力者(勿論、知らない人は知らない)なのである。

「つくルン」ちゃん。2015年10月開催「全国どぐキャラ総選挙Final」で11位にランクイン。勿論、私は存じ上げておりました!

と、こんな感じで、【縄文土偶探訪記】第4シーズンは幕を開けた。ちなみに、伊那市創造館の入館料は無料。こんな経済的な休日の楽しみ方は他にないだろう。

私はお酒はまったく飲まないし、ゴルフクラブを握った事すら無い。野鳥さん眺めて、ログハウスをセルフビルドして、土偶さんを見てウットリするだけの「善良な小市民」の典型である。どこでどう間違えて「銀行アナリスト」なんて、世俗にまみれた仕事を30年近くも歩む事になってしまったのだろう…
来世では絶対に「考古学者」か「地震学者」になるぞ!

トリグラフ・リサーチ 稿房主
縄文土偶探訪記