【縄文土偶探訪記 Season 3 Vol.1】西都原考古博物館(宮崎県)

探訪博物館: 宮崎県 西都原考古博物館
http://saito-muse.pref.miyazaki.jp/web/index.html
探訪日: 2016年3月4日
探訪目的: 「高千穂の土偶」 他

宮崎県立西都原考古博物館http://saito-muse.pref.miyazaki.jp/home.html)は、これまで何回か探訪を試みたものの、結局、時間調整が難しく、未訪問となっていた先である。

以前、宮崎市内にある「宮崎県総合博物館」とそれに隣接した「宮崎県埋蔵文化財センター」を訪問した事があり、宮崎県から出土するのは「埴輪」がメインであり、「土偶」はほとんど無い事は確認済みだ。

だが、文化財センターに高千穂で出土した宮崎県では「超レア物」の土偶さんのレプリカが展示してあり、それが「西都原考古博物館」に収蔵されている事を知った。そう、今回の西都原探訪は、この土偶さんとのご対面が目的なのである。

西都原考古博物館は、地図で調べてみたら、直線距離でも宮崎市内中心部から30km以上の場所にあり、交通アクセスも決して良くはなさそうだ。そんなわけで、当初は5日の土曜日にレンタカーで訪問する計画を立てていた。

が、九州出張の数日前に、乗換案内で何気なく西都原考古博物館までのアクセスを検索したら、1日2往復だが、宮崎市内からの路線バスが走っている事が判明。往路は11時1分宮崎市内発の12時6分考古館前着、復路は12時55分考古館前発の14時宮崎市内着という組み合わせを使えば、正味45分程は、考古館探訪を満喫できる。

もうこれしか無いと、フライトの予定を変更した次第である。探訪の当日(3月4日)は、空き時間を使って「宮崎市平和台公園 はにわ園」を衝動的に訪問、往路バス発車予定時刻の8分前にはバス停に戻った。

バスはほぼ定刻通りの11時2分に発車し、それから約1時間5分の路線バスの旅を味わった。途中で停車した西都バスセンター以降は、乗客は私1人だけ。ちょっと豪華な気分の「路線バス貸し切り」も楽しむ事が出来た。バス到着は、定刻通りの12時6分。

バス停を下りるとすぐに、広々とした階段状の通路が眼前に広がり、通路の上には考古館の堂々たる建物が見える。「うわ~、凄く立派な施設だな…」と思わず呟いてしまった。

最寄りバス停を下りて、博物館建物へと続く階段。奥には、博物館の堂々たる建物が見える。3階は展望スペースとなっており、周辺の素晴らしい景色を眺望できる。

最寄りバス停を下りて、博物館建物へと続く階段。奥には、博物館の堂々たる建物が見える。3階は展望スペースとなっており、周辺の素晴らしい景色を眺望できる。

館内に入るとさらに驚きが増した。兎に角、これまで訪問した博物館の中では、トップクラスの豪華さなのだ。エントランス右手にはミュージアムショップ、左手には受付があり、入場券を購入しようとしたら「無料」との事。受付の女性からパンフレットと館内案内図を受け取って、さあ探訪開始だ!

展示室入り口通路のすぐ右手には、「地下式横穴墓」を再現したミステリアスなスペースがあった。この見学を終えた後、緩やかな下りのスロープを歩く。照明は暗く、神秘的な雰囲気を醸し出しており、なんとなく青森県の「是川縄文館」と似た印象だ。

展示室へと続く長い通路。館内は全体的に照明を落としており、神秘的な雰囲気が漂っている。「是川縄文館」と並んで、凝った演出の博物館だと思う。

展示室へと続く長い通路。館内は全体的に照明を落としており、神秘的な雰囲気が漂っている。「是川縄文館」と並んで、凝った演出の博物館だと思う。

スロープを右折すると、旧石器時代→縄文時代の展示スペースが続き、突き当たりを右折すると、今度は下りの階段があった。階段を下りると右手には「縄文時代」コーナーのメインスペースが広がった。

土偶さんは、どこ? 探すまでもなく、すぐに発見。メインスペース奥の壁に、数は多くはないが、土偶さんらしき姿が確認できた。縄文式土器等、他の展示物をサラッと見学した後、お目当ての土偶さんコーナーに向かった。

遠目には、土偶が4~5体展示されているように見えたのだが、実際は4体。しかもその内の3体(枚)は、しゃこちゃんやハート顔土偶さんのパネル(シール?)だった。そして左端の土偶さんが、今回の探訪のターゲットである。

土偶さん展示コーナー。右の3体の有名土偶さん達は、レプリカではなくパネル(シール?)であった。今回の探訪のお目当ては、左端の顔のない土偶さんだ。

土偶さん展示コーナー。右の3体の有名土偶さん達は、レプリカではなくパネル(シール?)であった。今回の探訪のお目当ては、左端の顔のない土偶さんだ。

宮崎県高千穂町「陣内遺跡」出土の土偶さんで、縄文時代後期~晩期のものだ。名前(愛称)は特に無いようである。埋蔵文化財センターで見たレプリカの「本物」で間違いない。残念ながら「お顔」の部分はないが、形状から、かなりグラマラスなおそらく「妊婦」さん土偶である事がわかる。

高千穂の土偶のアップ写真。グラマラスな妊婦さん土偶と思われる。これが宮崎県内で出土した「唯一の土偶」さんとの事。

高千穂の土偶のアップ写真。グラマラスな妊婦さん土偶と思われる。これが宮崎県内で出土した「唯一の土偶」さんとの事。

正面ではなく、ちょっと斜めから撮影すると、そのグラマラス感がさらに際立つ造形美である。

脇から撮影した「高千穂の土偶」。実は、この土偶さんの解説文がまたお洒落なのだ。出だしは「山を登り詰めると、そこにはぽっかりと別の世界がある。高千穂とはそんな場所である。」--- 解説文をすべて撮影して、参考にしようかと考えた程だ。

脇から撮影した「高千穂の土偶」。実は、この土偶さんの解説文がまたお洒落なのだ。出だしは「山を登り詰めると、そこにはぽっかりと別の世界がある。高千穂とはそんな場所である。」— 解説文をすべて撮影して、参考にしようかと考えた程だ。

西都原考古博物館の特徴は、その設備の豪華さに加えて、洗練された「解説・案内文」にあると言えよう。以下の写真は、土偶さんコーナーの解説を撮影したものだが、簡潔、かつ格調高い内容だ。

解説文・案内文がカッコいいのが、西都原考古博物館の特色である。「異貌である」から続く、土偶さん解説文は正に「名文」だ。

解説文・案内文がカッコいいのが、西都原考古博物館の特色である。「異貌である」から続く、土偶さん解説文は正に「名文」だ。

特に、左部分『そして、南九州には、土偶が存在しない。』『土偶祭式の欠如は、その意味では温暖で豊かな南九州の気候風土が約束したものなのだ。』— なんて、お洒落な記述がある。う~ん、ナルホド! 本当に、勉強になるな…

土偶さん中心に、縄文コーナーを繰り返し眺めていたら、時間はもう12時30分になっていた。まだ展示スペースの3分の1も見終わっていない。その後、弥生時代→前方後円墳の世界→地下式横穴墓の世界→古墳文化の終焉→律令時代と足早に見学した。

三角縁神獣鏡など、「一般の考古学マニア」には垂涎と思われる展示物が次から次へと並んでいるのだが、私の興味は「縄文土偶さん」のみなので省略。その後、3階の展望スペースに上がって、周囲の絶景を楽しむ。3階にはCafeもあったのだが、時間がないため今回はパス。

そして、再び1階に戻って、ミュージアムショップに直行した。「埴輪文化圏」の博物館なので、土偶さんのレプリカはないだろうなと諦めていたのだが、なぜか、沢山置いてある埴輪レプリカの中に、今まで見た事もない「遮光器土偶」と「ハート顔土偶」のミニチュアレプリカを発見。1体(個)360円で、2体を購入。これでまた土偶レプリカのコレクションが増えたぞ!

ミュージアムショップで購入した2体のミニチュアレプリカ。高さは約6cmで、1体360円。土偶レプリカコレクションの総数はもう50体を超えただろうか…

ミュージアムショップで購入した2体のミニチュアレプリカ。高さは約6cmで、1体360円。土偶レプリカコレクションの総数はもう50体を超えただろうか…

気が付いたら、もう12時50分ちょっと前になっていた。ちょっと早めだが、バス停に向かおう。正味鑑賞時間は40分強だったな…

バス停に着いてからの待ち時間、周辺の風景を撮影。広々として陽当たりの良い素晴らしいロケーションだ。富士見町の井戸尻考古館周辺のスペースを何十倍にも拡大したようなスケールである。

バス停前に広がる広大な風景。あくせく仕事をするのが馬鹿らしく思える程の清々しいスポットだ。ここも「神々のおわします地」で間違いない!

バス停前に広がる広大な風景。あくせく仕事をするのが馬鹿らしく思える程の清々しいスポットだ。ここも「神々のおわします地」で間違いない!

「あぁ、ここも神々のおわします地だな。」と実感した。3分程バス停で待つと帰りのバスがやって来た。今度も乗客は私1人。こうして、私の【縄文土偶探訪記 Season 3】1回目の探訪は無事に終わった。

トリグラフ・リサーチ 稿房主