【縄文土偶探訪記 Season 2 Vol.4】松本市立考古博物館(長野県)

探訪博物館: 長野県 松本市立考古博物館
http://matsu-haku.com/kouko/
探訪日: 2015年4月18日
探訪目的: 「女鳥羽川遺跡」出土の土偶 他

全国講演中は、地方巡業を中心に出張の連続となる。当然ながら、八ヶ岳オフィスを長期間、留守にせざるを得ない。だが、仕事に必要な(PDF化されていない)資料・書籍を取りに行ったり、留守中に溜まった郵便物を受け取るため等々の理由で、全国講演中にも、通常1回は八ヶ岳オフィスを訪れる事になる。今回は、4月17日夜(10:30PM) から19日早朝(7:00AM)までのショート・ステイとなった。
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限られた時間の中で、4月18日(土曜日)は、朝から1日、長野県下で土偶探訪をする計画を立てた。今回は、弊社取締役(実質社主)である家内も同行。彼女は「縄文土偶」には何の興味も無い。土偶さん探訪にお付き合いいただくには、それ以外の企画も必要である。そこで午前中は、安曇野の「大王わさび農場」を訪問する事にした。朝9時過ぎに、愛車D4でオフィスを発ち、安曇野までは、中央道→長野自動車道と高速道路で移動、50分程で目的地に到着した。大王わさび農場や安曇野ワイナリーで2時間程過ごし、正午前に、一般道で土偶さん探訪の第1の目的地「松本市立考古博物館」へと向かった。博物館到着は12時40分。さあ、これからの時間帯が、私にとっては「至福の時」だ!

考古館脇の駐車スペースにD4を駐めて、家内と一緒に考古館エントランスへと向かう。考古館は煉瓦造りで、落ち着いた佇まいだ。エントランスを入ってすぐに受付がある。女性館員さんに入館料1人200円を支払うと「考古博物館 ドキ・土器クイズ」と題した紙片を手渡された。そこには、博物館収蔵物に関連した5つのクイズが並んでいた。見学しながらクイズに解答、終了後に受付に提出し「全問正解」だった場合には、記念品をもらえるとの事。

「松本市立考古博物館」の外観。煉瓦造りの落ち着いた雰囲気の建物である。

「松本市立考古博物館」の外観。煉瓦造りの落ち着いた雰囲気の建物である。

これまで土偶さん探訪の目的で、35館程の(考古)博物館を訪れてきたが、このような企画は初めてである。私は、土偶さん鑑賞に集中する予定なので、家内にクイズの解答を任せる事とした。早速、受付右手の階段を上って、2回の展示室へと向かった。ちなみに、松本市立考古博物館にも、縄文土偶の実物が数体展示され、写真撮影が可能である旨、事前に電話確認済であった。

「さあ、どんな土偶さんに対面できるかな?」— 高まる期待感の故か、足早に展示室へと入った。展示室は清潔感が漂っており、程良い照明の明るさの下、ピカピカの床が目立つ。展示室入り口左手側には土器が並んでいた。

2F展示室の入り口から撮影した展示室の内部。写真中央の展示スペースに「土偶さん展示コーナー」があった。右手に見える丸い穴が開いた壁のような構造物も(驚きの)展示スペースである!

2F展示室の入り口から撮影した展示室の内部。写真中央の丸形展示スペースに「土偶さん展示コーナー」があった。右手に見える丸い穴が開いた壁のような構造物も(驚きの)展示スペースである!

順路に沿って進んで行くと、展示室左奥の丸い展示ケース(上掲写真の中央)に辿り着いた。この展示ケースの一部分が「土偶さん展示コーナー」だ。展示されている土偶さんのパーツは27点。「ああ、これまで対面してきた土偶さん達のソックリさんが何点もあるな…」なんて事を考えながら、ひたすら写真撮影をした。

土偶さん展示コーナー。土偶さんのパーツが27点並んでいた。一番奥の並びは「遮光器土偶」のパーツである。

土偶さん展示コーナー。土偶さんのパーツが27点並んでいた。一番奥の並びは「遮光器土偶」のパーツである。

よく見ると、一番奥の列は「遮光器土偶」の頭部や腕等である。遮光器土偶と言うと、青森県木造亀ヶ岡遺跡出土の「しゃこちゃん(国指定重要文化財)」に代表されるような「ゴーグルのような目」が真っ先に頭に浮かぶ。だが、この遮光器土偶さんの目は、小さくて細い。さらに、頭の両脇には、ぽっかりと穴が開いている。う~ん、あの穴は何なんだろう? 遮光器土偶としては、結構、レアモノ系かな? 興味は尽きない。

遮光器土偶の頭部。目がゴーグル型ではない。お口も控えめで、しゃこちゃんのような迫力が無いのが、逆に「新鮮」である。頭の両脇の「穴」は何なのだろう?

遮光器土偶の頭部。目がゴーグル型ではない。お口も控えめで、しゃこちゃんのような迫力が無いのが逆に「新鮮」である。頭の両脇の「穴」は何なのだろう?

土偶の展示はこれだけなのかなと周囲を見渡す。すると、土偶展示コーナに向かって左後ろ側に「単独展示」の主役級さんがいた。展示室を入って右側にあった「丸い穴が沢山開いた壁のような構造物(2番目の写真の右側)」が、実はお洒落な展示ケースであり、その展示室入り口から見て一番奥の特上スペースが彼女に割当てられていたのだ。縄文時代後期「女鳥羽川遺跡」出土の土偶さんである。

縄文時代後期「女鳥羽川遺跡」出土の土偶さん。頭部と胴体が分離したまま展示されている。まん丸の目とT字型の目と鼻がユニークだ!

縄文時代後期「女鳥羽川遺跡」出土の土偶さん。頭部と胴体が分離したまま展示されている。まん丸の目とT字型の目と鼻がユニークだ!

この土偶さん、頭部と胴体が分断されたままで展示されている。お目々はまん丸、眉毛はまっすぐで鼻と繋がって、見事な「T字」を形成している。この土偶さんも、これまで写真集や書籍で見た記憶が無い。そのユニークな造形に「正に主役だな」と感じた。

お洒落な展示ケースを展示室入口側に戻るように進んだ。すると、女鳥羽川の土偶さんとは反対側のスペースに、単独展示の土偶さんがもう1体。おぉ~、もう1体、大物が… こちらは、縄文時代中期頃「坪の内遺跡」出土である。

縄文時代中期頃「坪の内遺跡」出土の土偶さん。何となく井戸尻考古館の「バンザイ土偶」さんに雰囲気が似ている。共に「縄文時代中期」頃の土偶さんんなので「お友達」かもしれない!

縄文時代中期頃「坪の内遺跡」出土の土偶さん。何となく井戸尻考古館の「バンザイ土偶」さんに雰囲気が似ている。共に「縄文時代中期」頃の土偶さんなので「お友達」かもしれない!

何となく、井戸尻考古館の「バンザイ土偶さん(坂上遺跡出土: http://triglav-research.com/?page_id=12961」に雰囲気が似ていて、微笑ましい。バンザイ土偶さんも、縄文時代中期のモノなので、もしかしたら「お友達」かもしれないなと思う。こちらも、これまで写真集等でお目にかかった事はない。これら2体の主役級土偶さんに対面し、「名も無き土偶さん」探訪の醍醐味のようなモノを感じてしまった。

土偶さん達の鑑賞に20分弱を費やし、残った時間で他の展示物を見学。家内は真面目にクイズの答を探していたようだが、展示室奥にある「古代の鍵」の名称(第5問)だけがわからないと言う。これは私が協力しようと思い、パズルのような古代の鍵をバラしてみた。鍵がかかった扉を開くと、その中に第5問の答があった。いや~、この博物館は「遊び心」があって、本当に楽しい!

気が付くと見学時間は30分を過ぎていた。昼食がまだだったので、このあたりで見学を切り上げる事とし、1F受付に戻り、答に○印を付けたクイズ用紙を手渡す。5問全問正解で、博物館オリジナルのクリアファイルをゲット(家内の貢献大)。受付前には、決して広くはないがミュージアムショップのスペースも設けられていた。残念ながら土偶系グッズはないものの、「主役級土偶2体」が最初のページに登場する「松本市立考古博物館展示解説」という冊子が800円で販売されていた。勿論、これを購入。

この時点で既に「大満足」だったのだが、受付の女性観員さんが、私たちの見学中に、周辺の美味しい(かつ有名な)蕎麦屋を探してくれていた。入館料を支払う際に、私が「昼食まだなので、良いお店を知りませんか?」と尋ねたためだ。この職員さんの誠実で親切な対応に、とても感心した。

結局、滞在時間約35分で、松本市立考古博物館を後にした。入館時には気が付かなかったが、エントランス向かって左手は小さな公園になっており、奥には「縄文時代の復元住居」が見えた。次のDIYは「ツリー・ハウス」にするつもりだったのだが、最近、八ヶ岳の敷地内に「竪穴式住居」を造るのも悪くないなと思えてきた。

博物館入り口左手に広がる「公園的スペース」。奥には「縄文時代の復元住居」が見える。手前には「縄文家族記念撮影」用のボードが立っている。

博物館入り口左手に広がる「公園的スペース」。奥には「縄文時代の復元住居」が見える。手前には「縄文家族記念撮影」用のボードが立っている。

こうして縄文土偶探訪記「松本市立考古博物館」編は、大いなる満足感を伴って幕を閉じた。

トリグラフ・リサーチ 稿房主