12月8日のトイレスペースの作業終了は、同時に「主要な内装工事」がすべて終わった事を意味していた。トイレ等の設備工事が終われば、完了検査や富士見町による固定資産税評価が行われ、オフィスは完成するのだ!
11日~13日の猪苗代湖周辺トリップを終え、川崎自宅に戻って以降は、川崎自宅と八ヶ岳を慌ただしく往来する日々が続いた。年内の地方出張は、既にすべてを終えていたが、東京での講演やプレゼンが年末までに数件組まれており、川崎自宅でも年末特有の所用に対応せねばならなかった。
この間、D4は「お引っ越し車」と化した。仕事関連の蔵書を中心に、書斎・オフィス機能を分割移転させるための作業であり、セカンドシートとサードシートをフルフラットにした状態で、大量の書籍類を運んでくれたのだ。我がオフィスのセルフビルド作業は、正に、Final stageに突入したのである。
自宅から運び入れた蔵書をそのまま放置するわけには行かない。八ヶ岳滞在時には、私単独で「書棚作成」に取り組んだ。天井や床材、トイレ壁材、窓枠飾り等の残材を有効活用して作成する事に最大のポイントがあった。最初からそのように計画して、部材カットの際に可能な限り無駄を排除してきたのである。こんな私を家内(社主)は『小細工の魔術師』と呼ぶ。
目まぐるしく川崎自宅と八ヶ岳を往き来する間、まずは、水道工事業者さんによるトイレ等住設機器の設置工事が行われた(残念ながら立ち会えなかった)。続いて、12月17日に、諏訪地方事務所による建築基準法規定に係る完了検査が実施され、無事に「検査済証」が発行された。12月20日には、富士見町による家屋評価が実施され、財産としての存在が確定。12月29日には、一部未了であった電気工事が完了し、すべての電気設備が正常に稼働するようになった。
当時の思いを、旧『銀行業界鳥瞰図』2013年12月31日号に綴っているので、以下に、抜粋する事とした。
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物事の始まりと終わりは、一体、どんな基準で決まるのだろうか? 人生のように、それぞれが明確なものを除けば、個人の「心の持ちよう」次第であろう。私にとっては、セルフ・ビルドの「始まり」は7月12日、敷地内に小山のような部材が搬入されたその日であった。「終わり」は、正に心の持ちようだ。法的な完成日は、諏訪地方事務所による建築基準法規定に係る検査が実施され、無事に「検査済証」が発行された12月17日と言えるだろう。財産としての存在が確認されたのは12月20日の富士見町による家屋評価の実施による。機能的な完成はというと12月29日、一部未了であった電気工事が完了し、すべての電気設備が正常に稼働した日となる。但し、私にはどうしてもこだわりたい「完成日」があった。それは敷地内に溢れていた建築資材がすべて片付け終わり、オフィス内に氾濫する工具等が収納できるような状況の実現である。もっとわかりやすく言うと「敷地もオフィスもお掃除終わってサッパリ状態」を完成日目標として頑張り続けてきたのだ。
振り返ってみると、11月、12月は「忍耐」の2ヵ月だった。『銀行業界鳥瞰図』でも書いたように、建設・建築関係の業者さんは、アベノミクス(公共工事のばらまき)と消費税率引き上げ特需効果で夏場以降「超多忙」である。人手不足に資材不足が重なり、なかなか思うように作業が進まない。元々、当方はセルフ・ビルドで「工期未定」な先なので、これは致し方ない。そんな多忙の中でも、業者さん達は誠実に対応してくれた。最終工事日は、水道業者さんが12月28日、そして電気工事業者さんが先述のように29日である。この2ヵ月は、ウッドデッキや地下室ドアの作成、トイレの仕切り・壁、書棚の作成等々、業者さんの工事進捗に合わせた地道な作業を続けてきたのだ。
29日の午前中に電気工事業者さんの確認作業が終わってから、私の「最後のそしてたった独りの闘い」が始まった。大晦日は家族皆で過ごすために川崎の自宅に戻らねばならない。そのため、30日の午後4時半(富士見町から時間を報せる音楽が流れる)までに、どんな事があっても「完成」させるぞと頑張ったのだ。そして、忘れもしない2013年12月30日午後4時17分、トリグラフ・リサーチのオフィスは、私基準での完成に至った。 \(^o^)/ \(^o^)/ \(^o^)/
工期の遅れから床の塗装が未了である。書棚もロフト1F部分は未完成であるし、PC、プリンタ、スキャナ等の搬入は年明けとなる。でも構わない。機能的には完成し、オフィス内に工具等は皆無の状況が見事に実現したのだ。今日は、特別に6枚の写真で、私の「苦闘の6ヵ月」の始まりと終わりをお伝えしよう。
1枚目の写真は、基礎工事開始の直前に建築予定地を撮影したものだ。2枚目が、忘れもしない7月12日の建築資材搬入の状況である。この日から私(と家族と友人Tさん)の闘いが始まった。3枚目以降は、12月30日の「完成日」に4方向から撮影したオフィスの写真である。ログキットのベーシックモデル名は「TAIVAS(空)」。八ヶ岳の雲ひとつない青空にピッタリの名前である。私は、このモデルに約12㎡の増設依頼をして独自の仕様とした。ちなみに、私が契約した時点では、沖縄にひとつだけモデルハウスがあるだけで、本州では建築実績のないものだった。片屋根で見る方向によってイメージが異なる、ちょっと変わった雰囲気のログハウスである。
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当時の文章を読み直してみると、長くつらかったセルフビルド作業がヴィヴィッドに思い起こされ、(大袈裟ではなく)ちょっと涙ぐんでしまう。こうして6ヵ月弱に亘った Team Triglavのオフィス・セルフビルドプロジェクトは「完工の時」を迎えた。