「昆虫」が好きか嫌いかと問われれば、はっきりと「嫌い」と私は答えるだろう。
八ヶ岳ライフに限定した場合、例外的に「大好き」なのは、毎年、八ヶ岳のブッドレアに大袈裟ではなく「群がってくる蝶々」だ。
八ヶ岳ブルーの空の下、満開のブッドレアの花の周辺を様々な蝶々が舞う光景は、ちょっと幻想的でもある。
特に「嫌い」なのは「毛虫」と「カマドウマ」。そして「最大の脅威」は、スズメバチを筆頭とする「蜂」であるのは言うまでもない。
「蚊」も脅威(憎き敵)だが、幸い、八ヶ岳の敷地内で刺されたことはないので、おそらく自然環境的に生存できないのだろう。代わりに「ブヨ」が蜂に次ぐ脅威である。
最近、『八ヶ岳稿房』では「クスサン」の写真を1~2回掲載した。
「クスサン」は、毎年9月下旬から10月初旬に掛けて、八ヶ岳本宅のエントランス周辺の壁に集まってくる「常連客」だ。
本宅のドア脇の外灯は、オフィスの人感センサータイプではなく、暗くなると自動点灯、明るくなると自動消灯するタイプである。夜の内に外灯の光に誘われてくるのだろう。
毎日という感じではなく、数日に一度程度、多くても2~3匹、ほとんどが単独(1匹)だったように思う。(蛾の数え方が「頭」かどうか不明なので、以下、「匹」表記する)。
「クスサン」そのものに害はないし、1匹1匹の羽の紋様が見事に異なるので、見つけると必ず観察して、写真撮影をしていた。
クスサンとのご対面は「朝の内」だけである。昼前には目敏い野鳥が見つけて「ご馳走(餌)」になってしまうからだ。
過去20年程は、こんな「私とクスサンと野鳥」の「平穏な関係(クスサンにとっては違うかな?)」が続いていたのだ。
だが、今朝、この関係が突然、壊れた。
朝のマシンウォーキングを終えて、7時半過ぎに本宅に向かうと、ログ壁の「異変」に気が付いた。
「大きな枯れ葉」のようなものが何枚も貼り付いていたのだ。
ヒエ~、気持ち悪いぞ。クスサンの大量襲来だ~
1~2匹だったら「美しき観察対象」なのだが、妙なモノで、沢山いると「無気味な蛾」としか思えない。
何匹留まっているんだ? 1、2、3… オイオイ、8匹もいるぞ。
間違いなく22年目を迎えた我が八ヶ岳ライフで初めての「椿事」、いや「異常事態」だった。
社主さまがいたら大騒ぎだったろうな…
冷静さを取り戻して、取り敢えず1匹づつ写真撮影。
大きさも紋様もすべて微妙に異なるので、果たしてすべてが「クスサン」かは不明なのだが、もう一括りに「迷惑な蛾」である。
一体、何が起こったのだろうか? オフィスに戻ってネットで情報を収集。
すぐに長野県から「クスサンの防除」と題した2ページの文書が掲載されているのを見つけた。
ナルホドね。「クスサン」の幼虫である「シラガタロウ」は「栗(クリ)」の葉が大好物なのか。
オフィスと本宅の間に自生しているのは「山栗」なので、見事に「好物条件」を満たしている。
「シラガタロウ」は「クリ毛虫」と呼ばれる程の「栗の葉大食漢」で、取り付かれた栗の木は、葉脈が透けて見える程に葉を食い尽かされてしまうとの事。
幸い、我が家の山栗の木には、まだそんな感じの葉はなかった。
成虫(蛾)になった「クスサン」は、何故か地面から2mほどの高さまでの幹に「卵」を産み付ける習性があるらしい。
「卵塊」の写真があったので、それを頼りに山栗の幹を丹念に観察したが、それらしい物は無かった。
どうやら我が家の山栗は、まだ本格的な「クスサン侵攻」を受けてはいないようだ。
だが、「新たな脅威」であるのは間違いなさそうだ。
この山栗をどんな事があっても「クスサン」の侵攻から守り抜く事を決意。
よしっ、また「八ヶ岳ライフ」特有の闘争本能に火が付いたぞ!
壁に8匹もへばり付いているのは気持ち悪いので「クスサン」をすべて払い落とすことに決めた。
ほとんどのクスサンは既に動きは鈍く(無く)、箒でちょっと触れただけでポロッとウッドデッキの上に落ちた。
だが、何故か1匹だけ体を小刻みに震わせて簡単に落ちない奴がいた。しぶといな…
焚き火の炭挟みで払ったら漸く落ちた。このしぶといクスサンがへばり付いていた場所に何か「異物」を発見。
あっ、これが「卵塊」か?
ログ壁に卵を産み付けるなんてトンデモナイぞ。
この卵塊は固くて、地面に払い落とした程度では壊れずに幼虫が孵化してしまうとの事。本当に迷惑な奴だな!
ちりとりに掻き落として、そのまま焚き火台に放り込んだ。
どうだ!「焼却処分」なら完璧だろう。
他にも壁に卵塊がないか探したが、どうやら1カ所だけのようだった。
8匹もいきなり襲来したので「早期発見・早期駆除」出来たのである。
それに「クスサン」の生態に関する知識も一気に深まった。正に「不幸中の幸い」と言えるだろう。
「八ヶ岳ライフ」は、日々、新たな発見の連続である。だが、それは「楽しい事」や「嬉しい事」ばかりではない。
「新たな脅威」との戦いもまた、不可避なのである!
午前11時前には、ウッドデッキの上に払い落とした「8匹のクスサン」は影も形もなくなっていた。
間違いなく「野鳥さん達」の仕業であろう。
「対クスサン戦線」は「野鳥さん達との共闘」を基本戦略とすべきだろうか?