今日も八ヶ岳 富士見高原は、朝からまるで初夏のような爽やかな快晴。
本来ならば、社主さまとドライブ&外食を楽しみたくなるような陽気なのだが、3月24日に発令した我が社独自の「第3次非常事態宣言」は解除していない。
5月12日からは八ヶ岳界隈での外食や温泉通い等の段階的緩和措置に移行したのだが、これからは「インド型変異株」の感染拡大が急速に進むであろうと予測。
完全解除は当面見送り、八ヶ岳滞在中も外出は極力控える事にした。八ヶ岳の敷地内で終日過ごしても、やりたい事や楽しい事はいくらでもあるので、退屈する事はまったく無いのだ。
今日のお昼は久し振りの「スモーク(燻製)」。これまでは、社主さま(家内)に任せっぱなしで、私は味わうだけだった。
だが今日は、社主さまから風が思ったよりも強いので、火の様子を見ていて欲しいとの社命が下った。
スモーク用には、アウトドア用カセットコンロ「タフまる」がある。この程度の風なら風防付きのタフまるなら何の問題もないはずなのに…
怪訝に思いながら、枕木テラスに出てみると、タフまるではなく、室内用のカセットコンロの上にスモーカーが置いてあった。
「なんでわざわざ使えない室内用を持ってくるんだよ!」と言いたかったのだが、じっと堪えて従順に社主さまの指示に従って「火の見張り番」をする事にした。
零細企業経営者とはそういうものなのである。
「スモーカーの温度は何度の設定で、時間はどの位スモークすればいいのかな?」と社主さまに確認した。
「上の穴から煙が出るまでは温度を上げて、煙が出たら熱くなりすぎないように温度を調整して、30分位したら開けてチーズの様子を見て。」とまあ感心する位曖昧な指示が返ってきた。
何か始める際にはマニュアル書やHow To本をしっかりと読んで、それなりの道具を揃えて形から入る私と違って、社主さまはマニュアルなど読んだ事がない。
基本は「感覚」で、最近はこれに You Tubeを見る(学ぶではない)というテクニックが加わった。
仕方ないので、ホビールームから「燻製つくり入門」なるムックを持ってきて、それを参考に温度調整をする事にした。
今日の部材の種類と量なら130℃位で1時間もあれば、それなりにスモーク気分が味わえるかな…
上の穴から煙が出始めた段階で、温度計を見ながらスモーカー内が130~140℃程度になるようにカセットコンロの火の量をこまめに調節(我ながら几帳面だな)。
さらにムックを読み進めていたら、社主さまが枕木テラスに出てきて、「チーズはもういいんじゃない。」と言って、いきなりスモーカーを開け始めた。
「どうして温度も時間も見ていないのにわかるんだよ。きっとまだ早いよ。」と言いたくなるのを再びじっと堪えた。
「ほーら、チーズはちょうどいい感じよ!」と社主さま。本当だった…
これじゃあ、温度計もタイマーも不要じゃないか。
次なる指示は「スモーカーの温度が一旦下がったので、チップをちょっと足してから、また上から煙が出るまで温度を上げて。その後はさっきと同じ感じでまた30分位かしら…」。チップを足す以外はさっきと同じじゃないか(°0°)
もうムックを読むのは阿呆らしくなってきた。
結局、残った部材(ベーコン・ソーセージ・半熟卵)も社主さまの感覚任せでスモーク作業は終了。
本当に不思議なのだが、どれもまあ、見事な位に美味しい出来だった。
私の「活字知識と形から入る」という「事始め」の作法は、もしかして間違っているのだろうか?
少なくとも「感覚とYou Tube」に負けているのは確かだな…
我が作法の在り方(生き方)が正しかったのか、ちょっと「煩悶」した。
まあイイか、空がとっても青くて気分が良いから、面倒な事を考えるのはやめよう!