社主さまとの八ヶ岳休暇滞在2日目。
恒例の「ブルーベリー摘み」が社主さまのご要望であったが、毎年お世話になっているUさんに電話すると、まだ摘み取りには時期がちょっと早いとの事。
すぐに午前中の「社主さまおもてなし企画」を「国蝶 オオムラサキに会いに行く」に変更する事となった。おもてなしの代替プランを常に複数用意しておくのは「零細企業経営者の嗜み」である。
午前10時にD4で八ヶ岳オフィスを発ち、北杜市長坂町の「オオムラサキセンター(http://oomurasaki.net/)」の駐車場に着いたのは10時半過ぎだった。オオムラサキの羽化時期という事もあり、駐車場は満車に近い状態。
本館エントランスで大人1人420円の入館料を支払い、本館→森林科学館→オオムラサキ生態観察施設「びばりうむ 長坂」の順路でインドア施設から見学開始。
圧巻はやはり「ひばりうむ長坂」だ。広さ1400㎡の施設の中に、1年を通して季節ごとに姿の違うオオムラサキを、自然界に近い状態で観察できるようになっている。
残念ながら羽化を見る事はできなかったが、成虫を含めて様々な姿のオオムラサキを間近から観察できた。
それにしても蝶を美しくを撮影するのは難しい。iPhone Xで30枚近く写真撮影して、何とかオオムラサキの羽を開いた姿が写せたのはたった1枚。こんな事ならピント合わせの早いミラーレス一眼を持ってくるべきだったと後悔した。
約30分、インドアでの見学・観察を楽しんだ後は、自然公園(アウトドア)の散策へ。約6haある公園内をすべて回るつもりはなかったが、園内案内マップを持って社主さまと森林浴を楽しんだ。
メダカやトンボの観察池もある素晴らしいビオトープである。だが、子供連れの家族で賑わっていたインドア施設とは打って変わり自然公園の散策路は、私と社主さまのほぼ「貸し切り状態」だった。
「この素晴らしい生物の生息環境を子供達にしっかりと体験させてあげなければ、オオムラサキセンターに来た意味が半減するだろうが。まったく近頃の親は何もわかっちゃいないな…」と思わず呟いてしまった。
その呟きを耳にした社主さまが「あなた、森林インストラクターでしょ。私にこの自然林を説明してよ。」とおっしゃる。私はすぐに社主さまの右脇にあった太い木を指差して、自慢げに「これはアカマツ。」と解説。
すると「そんなのわかっているわよ。八ヶ岳の敷地内に何本も有るじゃない。じゃあこれは?」と、私が名前を知らぬ木の枝に触れた。私「おそらく何か広葉樹です。」とか細い声で答える。
「はぁ~? じゃあこっちの木は?」と別の木を指差した。私「樹皮から見てナラ系の木かな? だと思います…」その後、気まずい沈黙が続いたのは言うまでもない。
歩き続ける事約30分。社主さまが選んだ散策コースは終盤に入り、数分でD4を駐めた駐車場に着く場所へと来た。ここで社主さまから新たな質問があった。
「あなた、この白い花の名前を知っている?」森林インストラクターとしての名誉挽回のチャンスである。「勿論。これはヒメジョオンだよ!」と胸を張って答えた。
すると社主さまは「違うわ。これは貧乏草よ。」と毅然と言い放った。「貧乏草なんて変な名前聞いた事ないよ。これは絶対、ヒメジョオンだから。」と私は頑強に抵抗。
遂に社主さまから、スマホで調べろとの命令が下った。「貧乏草」でググってみると「ハルジオン」という「ヒメジョオン」そっくりな草花の「別名」と判明。
社主さまからは「じゃあこれは、ハルジオンなの? それともヒメジョオンなの? 見分け方はどうなってるの?」と、すかさずダメ押しの質問が飛んできた。私は… 沈黙するしか術がなかった。
こうして、私の「森林インストラクターとしての権威」は見事に失墜。青い空も白い雲も大嫌いだぁ~
この後に続くランチ以降のおもてなしで「汚名返上」するしかないぞ!