探訪博物館: 香川県 香川県立ミュージアム
(http://www.pref.kagawa.jp/kmuseum/)
探訪日: 2015年7月29日
探訪目的: 「弥生土偶さん」 他
全国講演の際の【縄文土偶探訪】は、あくまでも「おまけ」の業務(?)である。最優先は勿論、講演活動であり、これに情報収集活動(人と会う)が次ぐ。それでも時間に余裕が生じた場合に、初めて土偶さんとの対面の機会を探る事になる。だが、うまい具合に時間が確保できたとしても、そもそも近くに土偶さんを展示する博物館がなかったり、あっても休館日なんてケースもあるのだ。
限られた時間と機会を有効活用できるように、Evernoteに【縄文土偶探訪記】というノートブックを作成し、全国各地の土偶さん情報を片っ端からストックしてきた。ちょっと大袈裟だが 「縄文土偶探訪 有事即応体制の構築」と位置付けて、日々の弊社業務活動の一環としている。
7月の全国講演はスケジュールがタイトな上に、かなり積極的に情報収集活動に取り組んだので、ほとんど【縄文土偶探訪】に時間を充てる事が出来なかった。7月29日の地方講演最終日「香川・岡山出張」を迎えた時点で、探訪できていたのは「北海道埋蔵文化財センター」のみである。最終日となるこの日は、午前11時から高松での講演が組まれていたので、7時20発のANA高松便で羽田を飛び立った。
講演の前に某プレスの方と会う予定があったので、高松空港に着くとすぐに、高松駅行きの空港バスに乗車。面談場所である駅近くのホテルのラウンジに着いたのは9時40分少し前だった。情報収集活動は10時20分に終了。ホテルから講演先の銀行までは、タクシーで10分強ほどの距離である。そのままロビーラウンジの喫茶コーナーで時間をつぶそうかと考えたのだが、ふと 「あれっ、高松にも土偶さんがいたような…」という閃きがあった。すぐに、Evernoteのノートブックを検索すると、 『香川県立ミュージアム』 にちょっと珍しい「弥生土偶」さんが収蔵・展示されている事が判明。ビンゴだ!
調べてみたら幸いな事に、ホテルからミュージアムまで1km弱の距離である。歩いていたら間に合わないが、タクシーを使えば何とか訪問できそうだ。ホテルで待ちをしていたタクシーに飛び乗り、ミュージアムに着いたのは10時30分ちょっと前だった。「香川県立ミュージアム」のロケーションは、JR高松駅や高松港に近い一等地。市街地型ミュージアムの典型で、美術館と歴史博物館との機能を合わせ持つ総合的なミュージアムである。
余裕を持って10時40分には、ミュージアムから講演先へと向かいたい。だとすると滞在可能時間は10分程だ。もうピンポイントで「弥生土偶さん」との対面を果たすしかないと判断した。エントランス奥の受付で入館料410円を支払うと、すぐに土偶さんの展示場所を確認。3F歴史展示室「原始コーナー」である事が判明し、階段で3Fへと向かった。原始コーナー入り口の「竪穴式住居(復元)」や「縄文の森」等の展示物をサラッと眺め「弥生時代」の展示コーナへ。通常の土偶探訪は、縄文時代コーナー最重視なので、今回は極めて稀なパターンとなった。
お目当ての「弥生土偶さん」は、すぐに見つけ出す事が出来た。土偶さんの展示は、この1体だけだからである。この土偶さんは、さぬき市 鴨部(かべ)・川田遺跡の出土で、弥生時代前期~中期のものだ。香川県指定の「有形文化財」でもある。
この弥生土偶さんの最大の特色は「目元・口元に刻まれた線」である。この線(刻線)は、「入れ墨(刺青)」だそうで、残存する顔料から「赤い入れ墨」であった事が確認されている。『弥生土偶と入れ墨』というタイトルの解説パネルに思わず見入ってしまった。ちょっと有名な「弥生土偶さん」に対面したのは、「山梨県立考古博物館(https://triglav-research.com/?page_id=12588)」探訪以来である。
「あぁ、限られた時間だが訪問して本当によかった…」なんて感慨に耽っていたら、入館から既に8分が経過していた。歴史館の古代や中世の展示スペースをチラ見して、足早で1Fエントランスに戻った。ミュージアム前の道路でタクシー待ちをしていたら1分程で流しのタクシーが拾えた。分刻みのスケジュールだったが、今回も無事にミッションクリアだ!ミュージアム探訪中、頭の中には「Mission:Impossible」のメイン・テーマ曲が流れていた。気分は Ethan Hunt である。
トリグラフ・リサーチ 稿房主