私は「人混み」「行列待ち」そして「渋滞」は大嫌いだ。
これは、おそらく死ぬまで変わる事はないだろうと確信している。
だから、観光客で人口密度が急上昇する「GW中の八ヶ岳」は、私が好きな八ヶ岳とは、まったくの別モノとなる。
はっきり言って「嫌い」だ!
今となっては「コロナ禍」の頃の適度な混雑具合が懐かしい。
特に、忌み嫌うのは鉢巻道路を制限速度を大幅にオーバーして走行する「観光客ドライバー」だ。
きっと、このGW中も「鹿との衝突事故」が発生するに違いない。
そんな車を見つけた時、私は「1ヵ月以内に自損事故(八ヶ岳で事故られたら面倒だもんな)」を起こす強力な呪文をかけるのだが、GW中は対象車輌が多過ぎて疲れてしまう。
まあ、そんなわけでGW前半は、東京での仕事と自宅界隈での身体のメインテナンスに時間を割いて、八ヶ岳出社は後半の道路状況を考慮しつつ、フレキシブルに対応する事にした。
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そもそも観光客(特にインバウンド)や高齢者の移住に依存するような「町興し(地方創生)」なんて持続可能性のある政策とは思えない。
地方創生の王道は、産業を興して、会社(事業所)を増やし、そこで働き、子育てをする地域経済の担い手を増やす事にある。
他国の他人の財布をあてにするような政策は「国家の品格」を損なう事に繋がる。
わずかばかりの固定資産税や住民税の納付と、少しばかりの消費効果が、短い期間しか期待出来ない都会からの高齢移住者ばかり増えても、地方自治体の未来は開けない。
私は、銀行の調査・分析を生業とするので、当然ながら「銀行の中期経営計画」を精査する。
そうすると、当然ではあるが「好き嫌い」とか「共感を覚える・覚えない」といった感覚が見事に浮かび上がる。
ちなみに、コロナ禍前に「インバウンド」を主軸に据えたような地方創生を描いた地域銀行の経営計画は悉く頓挫した。
インバウンド需要なんて、新たなウィルスの蔓延、国際紛争、大地震を中心とした自然災害の発生で、あっと言う間に消失してしまう所詮は「泡」のようなものなのである!
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地方自治体には、企業で言うところの中期(長期)経営計画に該当する「総合計画」がある。
2011年 5月の地方自治法の改正により、市町村には法律上の策定する義務はなくなったが、現状でも9割弱の自治体が総合計画(類似のものも含めて)を策定・公表しているように思う。
調査・分析は仕事であると同時に「趣味」のようなものだから、当然ながら、私は自宅のある「川崎市」もオフィスのある「富士見町」も、総合計画にはしっかりと目を通す事にしている。
今日は朝から、社主さまは所属するテニスクラブの行事で、ほぼ終日お出掛けだ。
こういう暇な時に「総合計画」やRESASのデータ(https://triglav-research.com/?p=36391)を眺めたりするのが楽しいんだよね。
川崎市は2022年度~2025年度を計画期間とする「第3期実施計画」が昨年の9月に公表された。
一方、富士見町は、2023年度からの8年間を計画期間とする「第6次富士見町総合計画(基本構想)」と前期基本計画(4年間)を昨年3月に公表している。
自宅のある川崎市麻生区の街作りの方向性は「豊かな自然と芸術が溶け合う活⼒のあるまち」、富士見町(将来像)は「世界に展かれた高原の文化都市」。
「芸術」とか「文化」って言葉が盛り込まれているのが、私の好みだな…
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「富士見町」の総合計画で好きな所は、「観光(インバウンド)」なんて「不確かなもの」に大きな期待を寄せていない事だ。
5項目ある「産業振興の強化策」の中で「観光振興」は5番目。
KPIは、「富士見パノラマリゾート」と「富士見高原リゾート」という2大リゾートの来場者数の2021年度の実績55万人から2026年度 60万人への増加と、町内主要観光施設来場者の85万人から93万人への増加である。
2021年度は、まだコロナ禍の下にあった事を考えれば、そんなに背伸び(期待)しているとは思えない。
面白いのは「インバウンド」という言葉が80ページ近い公表資料の中で、2回しか登場しない事。
その内のひとつは「用語解説」なので、思わず笑っちゃったな!
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「産業振興」パートの序文には「人口規模と経済規模は比例するため、生産年齢人口を確保するためには地域経済・産業の活性化が必要になります。本町には、電子・精密系及び飲食料品製造業、農業などが集積しており、これらの基盤となる産業の集積と成長を支援することが重要です。」と書かれている。
そうなんだよね!大切なのは「生産年齢人口(15歳以上65歳未満)」。
私も2年半もすればこの「対象外」となってしまうが、その後もしっかりと経済活動(仕事)を続けて、地域経済の発展や振興に、少しでも貢献したいと考えている。
個別政策のひとつひとつに詳細なKPIが設定されているのも私好みだな。
KPIのひとつには「健康寿命(年齢)の延伸」なんてのもあって、感心してしまった。
まあ何にせよ、オフィスを構える富士見町の総合計画の方向性が、私が「好みの路線」である事はイイ事だ!
「諏訪人」のもの作りに対する矜持や森林を大切にする伝統のようなものが滲み出ていて「浮ついた感」が無いのである。
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そんな事を考えながら、既に葉桜となりつつある「異形のソメイヨシノ」のオンラインお花見を自宅書斎で楽しむ日々が続いている。
は~い、八ヶ岳の人口密度が減少に転じる頃には、オフィスにFターンしま~す!※この画像は富士見町の「総合計画」公表資料からお借りしました。
早く「私の好きな八ヶ岳」に戻ってくれないかな…