「絶メシ」とは、店主の高年齢化や後継ぎ問題などで、時代とともに次々となくなっている「絶やすには惜しすぎる絶品グルメ」の事であるのを学んだのは、あるテレビ番組からであった。
番組は、テレビ東京「ドラマ25」枠で2020年1月から放映された『絶メシロード』。
主演は俳優の濱津隆之さん(映画『カメラを止めるなの!』の主役)。
私は、彼のあの独特な雰囲気が何となく好きであった上に「普通の車での1人車中泊」と「絶メシ探訪」という番組テーマの絶妙な組み合わせに、すっかり嵌まってしまった。
元々は「食」にこだわりがないので「グルメ番組」の類はまったく観ないのだが、「絶メシロード」だけは地上波放送時にすべてを視聴した。
その後、Amazon Prime Video で再視聴していたら、脇から観ていた社主さまも気に入ったようだ。
2021年の元日に「スペシャル版」が地上放送された時には嬉しかったな…
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7月の東京での「お仕事Day」は、来週半ばの1日のみとなった私は、昨日は朝から自宅書斎でデスクワーク。
数日前から「地域銀行の金利変動リスク分析」に係る新たな資料の作成に没頭していたのである。
朝からの銀行間の「開示の癖」の違いを修正していたのだが、あまりにも区々なので、ちょっとイラッとしてきた。
こんな時は「気分転換」だな。
そう思い、社主さまに「今日のランチは、『大むら』さんに歩いて行こうか?」と声を掛けた。
すると彼女からは「近場の絶メシね。今日はそんな気分かもね…」という言葉が返ってきた。
ランチは「大むら」さんで決まりだね!
新百合の自宅から歩いて3~4分の場所に「大むら」という名の「昭和の佇まい」のお蕎麦屋さんがある。
私が現在の自宅を新築した時には、既に営業していたので、少なくとも28年以上前に開業した事は間違いない。
「お婆さん」と言っても叱られないであろうお年の女性が2人で切り盛りしているお店だ。
お蕎麦も美味しいのだが、それと組み合わせになる「丼物」が、ちょっと味が濃いめで懐かしい味だ。
お蕎麦と丼物をセットで味わっても1,000円以下(850円セットが多かったかな…)という超リーゾナブルな価格設定。
ボリューム感も凄いのだが、食事中にお店の方が色々と話し掛けてきて、さらに天麩羅とかをおまけでくれる。
そんなお店が「愛される」のは当然であり、自宅界隈では「隠れた人気店」だったのである。
ふと、社主さまが「この前行った時に臨時休業だったから、念のため電話で営業時間を確認するわね!」と言った。
だが、何回電話してもつながらなかったようだ。
その後、スマホで営業日時を確認したらしく、直後に「たいへんよ。大村さん閉業だって!」との悲鳴が響いた。
私もスマホ画面をすぐに確認したのだが、確かに「あの赤い背景に白いフォントで『閉業』」と記載されていた。
その瞬間、何とも言えぬ寂しい気分になった。
富士見町でお気に入りのとんかつ屋さんだった「藤」の店仕舞い以来の衝撃だな…
結局、最後に「大むら」さんで食事をしたのは、今年のGW中だった。
ああっ、あの時、店主のお婆さんが「王禅寺公園近くのお店で、大むらが最初に店を閉めるだろうって噂され続けてきたけれど、最後まで残ったのはうちの店よ!」と言ってたなと思い出した。
「娘が高津のフードコートで蕎麦屋の店長始めちゃったのよ。」なんて話もしてくれた。
社主さまと「正に『絶メシ店』だよね…」と帰り掛けに話したっけ…
そんな事を思い出したら、ますます「喪失感」のようなものがこみ上げてきた。
そうか「大むら」さんは、我が家周辺で唯一と言ってもよい程の「キャッシュレス決済利用不可」のお店だったな。
「Go To Eat かながわ」に「川崎じもと応援券」さらには「かながわペイ」とも無縁だったように思う。
あんなお店こそ支援すべきなのに…
まあでも「閉業」なのか「休業中」なのかは、正直なところ定かではない。
お店のシャッターに貼り紙ひとつないのだから、前向きに「営業再開」を信じて待つ事にしよう!
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それに嬉しい事もあった。
「絶メシロード」の放映期間を検索した際に、偶然ではあるが「絶メシロード 」のセカンドシーズンの放映が8月26日から開始される事を知ったのだ。
やったね \^^/
私は「グルメ」ではないけれど、我が社独自の「対コロナ非常事態宣言」の下、規制対象外の「平日ランチ」を社主さまと積極的に楽しもうと決めた。
「大むら」さん、復活してね!
by『八ヶ岳稿房主』