ステーション・ブラックアウト(Station Blackout: SBO)とは、本来は「原子力施設における全電源喪失状態」を言う。
だが、我が社では、2019年10月の台風19号被害による「大停電」を経験してからは、PCの無停電電源装置(UPS)によるパックアップ可能時間(1時間弱)を超えるような停電を「(格好つけて)SBO」と呼ぶ事としている。
昨日は、正にそんな状態に陥って、IoT化の脆さを知った。
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今週は東京での講演の予定もギッシリ。
昨日は午後3時半過ぎにちょっと隙間時間が出来たので、GN20Uからいつものようにライブカメラによる八ヶ岳敷地内の様子を確認しようとした。
雪が降りそうな天気予報で心配だったからだ。
だが、鮮明な画像を送ってくれるはずのオフィス設置のカメラがすべて「カメラが切断されています」と表示。
そう言えば「動体確認通知」が今日の午後は届いていなかったよな…
大慌てで、各種電気機器とセンサー機器を制御してくれるアプリを開く。
新百合ヶ丘自宅書斎の機器はすべて正常だが、八ヶ岳系の機器はすべてオフライン状態。かつて経験した事の無い「異常事態」だった。
Wi-Fiルーターのトラブルかと思い、別ラインで繋がっている旧ライブカメラのネットワークと「トリグラフ八ヶ岳西麓気象観測所」のアプリを開くと、こちらも全滅。
この時点で「停電」が発生している事を悟った。エッ、SBOだ~ 緊急事態だ~ (≧◇≦)
まあでも、八ヶ岳の状況がモニター出来ないだけで、特に不都合は無いよな。
本宅の水抜きと凍結防止剤「メタブルー」の投入は完璧だし… と、思ったのだが、ひとつ「落とし穴」がある事に気が付いた。
オフィスのトイレヒーターが停電では作動しないじゃないか!
センサーとヒーターをIoT化してからは、メタブルーはオフィスでは使っていなかったのである。
これまでの八ヶ岳ライフ22年において、冬場の水道のトラブルは皆無。蛇口の凍結すら経験した事は無い。
だが、停電が長引いてそのまま朝を迎えるような事になれば、気温次第では初の凍結トラブル発生か? と不安が頭をよぎった。
しかし、次の仕事の予定があり、それ以上の対応は断念。
5時半前に再び空き時間が出来たので、まずはライブカメラからチェック。
ああっ良かった。全部復旧している。だが、八ヶ岳の敷地内はすっかり雪に覆われていた。
まずいな、トイレヒーターは稼働しているか? すぐに、 オフィスのトイレに設置した温湿度センサーの稼働状況を確認。
停電のせいで、一時的に室温が最低設定以下になってはいたが、既にヒーターが再稼働して室温が上昇に転じていた事が確認できた。
今度こそ、本当に良かった…
IoT化を過信して、冬場の凍結防止対策に油断してしまった事を大いに反省した。
八ヶ岳の冬の「長期不在時の凍結防止 最後の砦」はベタな対応だが「水抜き&メタブルー」である事を実感。
すべての講演を終えて自宅に戻った。書斎の上に溜まっていた郵便物を整理。
八ヶ岳滞在中に届いた郵便物の中に「中部電力パワーグリッド」からの葉書が1枚紛れ込んでいた。なんだこれ?
葉書の左半分には ■停電のお願い■ 2021年2月17日(水)13時30分~16時30分 と記載されていた。
オイオイ、これかよ… ああ、でも「とても良い経験」が出来たな。
今回は「IoT化の脆さ」を学んだが、それを止める気など、勿論、まったくない!
さあ、「停電に強いIoTシステム構築」に取り組むぞ!