「シカハギ」って知ってますか?—八ヶ岳の森は不思議がいっぱい

一昨日から八ヶ岳の2月とは思えないような陽気が続いている。午後2時過ぎのオフィスウッドデッキの気温は7.6℃。

「八ヶ岳の冬」も早21回目となる私は、すっかり「寒さ慣れ」してしまい、この程度の気温ならセーター1枚羽織っていれば敷地内を歩き回っても平気である。

敷地内の雪はほとんど解けてしまったが、お隣の財産区林内にはまだしっかりと雪が残っている。

この「冬の森の風情」にちょっと好奇心を刺激されて、財産区林の中も散策することにした。

敷地内の財産区林との境界付近には、1月20日に伐採した赤松や唐松の幹の一部や枝が積まれている。

その中に、樹皮が見事に剥がされて木部が剥き出しになった幹を何本も発見。「シカハギ(鹿剥ぎ)」である。

1月20日に伐採したばかりの赤松の幹が、もうこんなに見事に「シカハギ(鹿剥ぎ)」されていた。
これも1月20日に伐採した赤松の幹の一部。まだ緑の葉が付いた状態だが、幹の樹皮だけ綺麗に剥いでいる。

対象となった幹は「赤松」のみ。唐松やナラ・カシ系の広葉樹の幹には見向きもせず、まあ見事な位に赤松の樹皮ばかり剥いで、そして食している。

一般的に、鹿は赤松をあまり好まないと聞いてはいたのだが、我が家の敷地内に出没する「鹿軍団」は、何故か赤松の倒木や伐採した幹が大好物であるようだ。

こんな具合にナラ・カシ系の広葉樹の固そうな幹には鹿軍団は見向きもしない。
シカハギ(鹿剥ぎ)された赤松の幹。無数に付いている2本の傷は、鹿の下顎の歯の跡である。

本格的なログハウス作りの過程において、部材となる木の樹皮を剥く作業をピーリング(Peeling)と呼ぶが、鹿軍団はさながら「ピーリングの達人」である。

財産区林内には、樹高20mはあろうかという赤松の風倒木があるのだが、その木の幹も、見事に美しくピーリングされていた。

樹高が20mはありそうな赤松の風倒木は、その全体が美しく「シカハギ」されていた。鹿はピーリングの達人だな…

財産区林内の涸れ沢に沿って少し歩いた。私の行く手を阻むように大きな風倒木が2本。

財産区林を涸れ沢に沿って八ヶ岳方向に進むと、行く手を阻むように風倒木が2本あった。

手前にある1本目は赤松。それも主幹が途中から枝分かれした風に最も弱い樹形である。一昨年の台風で、幹の途中から2カ所ポッキリと折れたようだ。

根元から1mほどの高さで主幹が折れた跡。
1本目の風倒木は、主幹が途中で枝分かれしていて2股状に育った木であった。この樹形は風に弱い。2股に分かれた部分も折れていた。

2本目の奥の風倒木も赤松だと思っていたのだが、近付いて確認すると「唐松」だった。

こちらも一昨年の台風被害によるものと思われるが、幹が折れたのではなく「根こそぎ」倒れていた。

2本目の風倒木は唐松だった。根こそぎ風に倒されたようだ。

同じ風倒木でもその倒れ方には様々なタイプがあるのだ。

2本目の風倒木を観察したところでUターン。今度は財産区林を鉢巻道路の方向に下った。

またもや赤松の風倒木を発見。こちらは完全には倒れずに、幹の途中で唐松の枝に引っ掛かっている。

これは、かなり危ないな…

Uターンして財産区林内を鉢巻道路方面に進むと、赤松の風倒木が完全には倒れずに唐松の枝に引っ掛かっていた。これ、かなり危ないな…

財産区林内を15分程歩き回って今日の散策は終了。

風倒木をシカハギされるのは構わないが、放っておけば、鹿軍団は桜や楓、ナナカマドなどの庭木を容赦なく剥ぎに来る。そのため、鹿が好む樹木には冬の間は「銀シート」を巻いて防御する。その効果はパーフェクトだ!

あれっ? 1本目の赤松の風倒木には鹿剥ぎの跡はまったく無かったぞ! 同じ赤松でも、鹿軍団にも好みがあるのかな?

そう、八ヶ岳の森は「不思議がいっぱい」なのだ…