『三十三番土偶札所巡り』—33番「殿村遺跡 人体紋付壺」

三十三番土偶札所巡り短期決戦3日目の巡礼2館目は「星ヶ塔ミュージアム 矢の根や」と変わった名前の考古資料館(https://konjakukan-oideya.jp/%E7%9F%A2%E3%81%AE%E6%A0%B9%E3%82%84/)。旧 下諏訪町埋蔵文化財センターが、2018年4月にリニューアルオープンした先である。「時計工房 儀象堂」というミュージアムも併設される「しもすわ今昔館おいでや」という施設内にある。下諏訪町の諏訪大社下社秋宮から歩いてすぐの好立地だ。

ミュージアム前には午前10時過ぎに到着したが、近くにある「門前ひろば 食祭館」に立ち寄ったため、入館は午前10時20分となった。儀象堂(施設としてはおそらくこちらがメイン)内で受付を済ませ共通入館料600円を支払った。

ご朱印は「矢の根や」の方でお願いするのかなと思ったが、受付の女性の方に尋ねると「ご朱印でしたらこちらでお預かり致します。」との事。「ご朱印依頼の方、多いですか?」と質問すると、「先日、信濃毎日新聞で紹介されてから何名かいらっしゃっています。」との答えが返ってきた。

「あの記事に出ていたのは私なんです。」と伝えようと思ったがグッと堪えた。残念ながらここは「巡礼&ご朱印 第1号」達成ならずである。

滞在時間は25分間と決めているので、すぐに「矢の根や」に向かった。が、儀象堂と矢の根やの間の広場に「水運儀象台」なる大型の時計台があった。水力で動く天文観測時計塔との事であるが、あまりにも立派で大きいので、思わず5分程見学してしまった。

こちらが「水運儀象台」。「しもすわ今昔館おいでや」のシンボル的存在だ!

その後、矢の根やに移動。受付の方も職員さん、そして見学者もなく「完璧な貸し切り占有状態」

矢の根やの外観。諏訪地方唯一の前方後円墳「青塚古墳」が隣接している。写真右側の立派な木が聳える部分が古墳だ。

実は「矢の根や」の存在そのものは私は認識していた。数年前に「土偶さん展示の有無」を電話で確認し「縄文式土器は何点か展示しておりますが、土偶の展示はありません。」との事だったので未探訪だったのである。この考古ミュージアムの看板は「黒曜石関連の展示物」なのだ。

1Fの黒曜石採掘坑ジオラマ。矢の根やの看板展示物だ。

1Fの「黒曜石採掘抗ジオラマ」を見学した後に、2Fの下諏訪町の遺跡展示室に向かった。こちらには33番「殿村遺跡 人体紋付壺」が展示されている。が、ご朱印帳付属のイラスト図では、その特徴がよくわからなかった。

どうせ目立った展示扱いだろうと予想して見学していると「別格扱い」の土器を発見。33番見~つけた! そう、33番という事は、これが三十三番土偶札所巡りの最後の札所(アイテム)なのである。

「朱彩壺形土器か… 美しいなあ~ さすが締め括りの33番だ」なんて感心しながら、その後は他の展示物を見て回った。展示物の数はそれ程多くはないので、15分もせずに見学終了。

私が、33番「殿村遺跡 人体紋付壺」と勘違いした土器。朱色が美しく、単独展示。そりゃ、勘違いするよな…
私が、33番と勘違いした土器は単独展示で、日本遺産の解説プレートが添えられて「別格扱い」だった。

受付に戻ってご朱印帳を受け取った。「ご確認下さい」と開かれたページのご朱印を見ると違和感が…  ん?? さっき巡礼した土器と雰囲気が違うぞ。それによく考えたら名前が違うじゃないか!

受付の方に「どうやら33番の土器を別のと勘違いしたようなので、もう一度、見学してきます。」と伝えて大慌てで矢の根やに戻った。2Fに直行し、改めて展示されている土器をご朱印と照らし合わせながら丁寧に確認。

「あっ、これだ!」ごく普通に黒曜石の石器と一緒に並べられている土器が33番「殿村遺跡 人体紋付壺」だったのである。

33番「殿村遺跡 人体紋付壺」。黒曜石メインの展示コーナーに、特別な解説もなくポツンと展示されていた。
解説プレートには「壺形土器」と記載され、小さく「殿村遺跡」と出土場所が示されていたので、何とかこの土器が33番「殿村遺跡 人体紋付壺」である事に気が付いた。焦った…
33番「殿村遺跡 人体紋付壺」ご朱印。これを見るまで、実物の33番がどの土器であるかわからなかった…
33番「殿村遺跡 人体紋付壺」Instagram投稿写真。モノクロにした方がこの土器の美しさが伝わるような気がする。

これじゃあ目立たなくて、私じゃなくても勘違いするよな… でも気が付いて本当によかった。

急いで写真撮影し、儀象堂に戻り、受付の女性に「やはり別の土器でした。お手数掛けました。」とお礼を伝えて、D4が待つ駐車場へと向かった。

時間は10時47分。土器の勘違いで時間をロスしたため、見学時間は予定をややオーバーしてしまった。次の「市立岡谷美術考古館」の巡礼は時間をやや短めにしよう…