【縄文土偶探訪記 Revival Season Vol.3】 大湯ストーンサークル館(秋田県)

探訪博物館: 秋田県 大湯ストーンサークル館 https://www.city.kazuno.akita.jp/kanko_bunka_sports/bunkazai/7/1/3916.html
探訪日: 2019年3月27日
探訪目的: 環状列石と「土版くん」

【縄文土偶探訪記】Revival season 初日の最後の探訪予定先は、同じく秋田県の「大湯ストーンサークル館」。所在地は鹿角(かづの)市。伊勢堂岱遺跡のあった北秋田市から、レンタカーで東方向に移動する事、1時間弱。(ここも)広大な駐車場に到着したのは午後12時50分であった。

私の縄文土偶探訪の旅は、文字通り「土偶さんとの出会い」がメインの目的であるが、この博物館については例外。前々から興味のあった「大湯環状列石(ストーンサークル)」の見学が主であり、遺跡群に隣接する「ストーンサークル館」の存在を知ったのは、訪問の10日程前であった。事前の電話確認で、土偶さん数体に加え、愛らしさで有名な「土版くん」がストーンサークル館に展示されている事を知った。

駐車場から、まずはストーンサークル館のエントランスに直行。入館料300円を支払った。男性職員さんが数名いて、ストーンサークルの「守り人」といった雰囲気。事前の電話で確認し忘れていた「写真撮影」の可否を問うと「全然構いません。どんどん紹介して下さい。」って感じの寛容な答えが返ってきた。この写真撮影に対する大らかさは、秋田県で今回訪問した3館に共通していた。県民性なのかな?

大湯ストーンサークル館の外観。中に入ると広くて、ちょっとビックリした。

ストーンサークル館は外部から想像したよりも、はるかに大きくて広い。当然ながら、環状列石に関する資料や解説が中心だ。大湯環状列石については、今回の東北出張の前に、Amazonで新泉社のシリーズ「遺跡を学ぶ」の中から『石にこめた縄文人の祈り・大湯環状列石』を購入。出張往路の秋田行き新幹線の中で熟読してきた。事前知識はバッチリなので、環状列石関連の展示物や資料も楽しく学ぶ事が出来た。

環状列石に関連した展示物は多数かつ精密&詳細。事前研究は完璧だったので、解説はスンナリと理解できた。

環状列石関連の展示スペースを見学し終えた後は、土器や土偶等、その他の出土物の展示コーナーへ移動。事前確認通り、土偶さん達は数体(欠片の状態で)展示されていた。こちらの土偶さん達は、大館のアスファルト目さんや伊勢堂岱の板状土偶さん・笑う岩遇さんのような「著名人」ではない。

環状列石関連展示物の漢学を終えた後、土器や土偶さんの展示コーナーへ移動。

土偶さんの展示は事前確認の通りに「数体(どれも欠片)」あった。上の写真の土偶さんは完全体であったら、私がこれまでご対面した土偶さんの中でも間違いなくトップクラスだろう!

伊勢堂岱の「胸の大きな土偶さん」のように、体に小さな穴が装飾的に多数付けられている事に、こちらの土偶さん達の特徴がある。この小さな穴は、衣類の模様のようにも見えるし、鎧のようにも見える。入れ墨って感じがしなくもない。こんな具合に色々と(勝手に)想像できるのが「土偶道」の楽しみのひとつである。

それ以外の土偶さん達は、伊勢堂岱の「胸の大きな土偶さん」のように体に多数の装飾的な小さな穴(孔)を纏っている。

展示された土偶さんの中で「お顔」があるのは何故か1体だけ。他の土偶さんは、どんなお顔であったのか? 勝手に想像を楽しむ。

ストーンサークルと並んで有名な「土版くん」もすぐに見つかった。兎に角、愛らしい。表面には、目(2個)、口(1個)の穴(孔)の他に、縦に5個、向かって左側に3個、右側に4個の小さな穴がある。さらに背面上部には、左右に3個ずつ(計6個)。

こちらが有名な「土版くん」。縄文時代の出土物の中で「愛らしさ」ではトップ5には入るだろう。後ろに置かれた鏡に背面の計6個の穴が確認できる。

土版くんに刻まれた同じ形状の穴の数は、1、2,3,4,5,6個… ああ、縄文人には「数」の概念があったんだな。六進法の世界だったんだろうか? と、考古学者ではなく、銀行アナリストである私は勝手に解釈したのである。

ストーンサークル館を30分程見て回った私は、次にメインの訪問目的である「環状列石」の見学(散策)に向かった。受付で30分程あれば一通り見学できると聞いていたのだが、兎に角、広くて、そして寒かった。

環状列石の写真は50枚以上撮影したのだが、【縄文土偶探訪記】では1枚ずつ紹介しよう。こちらがストーンサークル館に隣接する「万座環状列石」。

「万座」と「野中堂」、道路を挟んで広がる2つの環状列石の見学に要した時間は約40分。見学を終えた頃には体が冷え切っていた。何とか駐車場に戻って、自動販売機でホット珈琲を購入。レンタカーの中で、5分程珈琲を味わいながら休憩した。時計を見ると午後2時5分。大湯環状列石の滞在時間はストーンサークル館を含めると75分。今回の探訪では最長記録となった。

こちらが道路を挟んで東側に位置する「野中堂環状列石」である。

さあ、新青森駅へ戻ろう。レンタカーの返却時間は午後4時、新幹線は4時38分新青森駅発のはやぶさが予約済みである。新青森への移動時間を考えても、1時間は余裕時間があるはずだ。ん?? このペースなら、考古博物館をもうひとつ訪問する事が出来るかな?