『縄文土偶探訪記 Revival season』口上

2017年9月8日の国宝土偶「かっくうちゃん」再訪を区切りとし、縄文土偶探訪記 Final seasonは幕を閉じた。あれから早1年7ヶ月が経過。この間、世の縄文&土偶さんブームは一気に加熱したように思う。

かつては、地方講演の隙間時間に考古博物館を訪れると、平日であれば「私一人の貸切状態」がほとんどだった。県立博物館クラスでもそんな状況だったのである。最近は様変わりだ。老若男女様々な階層の見学者が訪れ、土偶さんや縄文土器などの展示物に見入っているのを目にする。昨年の上野東京国立博物館縄文企画展の効果が大きいのであろう。

この縄文ブームの中、私の土偶さん熱は、正直なところ、かなり冷めていた。所謂、新規開拓のような行動はほぼ皆無となり、八ヶ岳オフィスに近い井戸尻や尖石をふらっと訪れる程度。継続したのは、新泉社シリーズ「遺跡を学ぶ」の縄文関連本を講演の移動中に読み進めた事だけであった。

そんな状況が続き「土偶さんは夢に現れる」事もすっかり忘れていたのである。だが、今年3月3日の朝、八ヶ岳オフィス滞在中に本当に久し振りに土偶さんが夢に現れた。それも国宝土偶「仮面の女神さま」である。真っ暗な空間の中で、仮面の女神さまが単体で、デフォルメや装飾のないまったくそのままのお姿でじっと私を見つめていた。

女神さまの身長は2m程だったろうか? 私よりは大きかったのは確かだ。神々しさと威圧感と、そして物悲しさのような複雑な波動に捕らわれて身動き出来ない状態で女神さまと対峙。数分だったか数秒であったかは定かではないが、何とも言えない切なさのようなものが込み上げてきて、思わず女神さまから視線を逸らしてしまった。そして、その瞬間に目覚めた事を妙にハッキリと記憶している。

デフォルメも装飾もなく、大きな仮面の女神さまがお一人で夢に現れた。土偶さんが夢に出たのはこれが3回目。何か意味があるに違いない!

これで土偶さんが夢に現れたのは4回目だ。しかも今回は、私が最も慕い崇める仮面の女神さまのご登場。そして、リアルさは、以前の2回の夢とは比較にならない程に生々しかった。う〜ん、やっぱり中途半端に縄文土偶探訪記を終わらせてしまった事に対して女神さまはお怒りなんだろうか?

私は、小心者ではあるが、意思決定の早さには自信がある。すぐに予約済みであった3月25日〜27日の東北出張の帰路の新幹線を変更。レンタカーを予約して、未探訪であった秋田県の3つの考古博物館を1日で回るツアー計画を組んだのだった。

思えば、1月の最終週から丸2ヶ月、平成最後の記念講演シーズンと勝手に位置付けて、仕事に没頭し過ぎた。八ヶ岳オフィス滞在中も朝から晩まで資料作り。夜の鹿の湯通いを除けば、あまりにも味気ない八ヶ岳ライフであった。

その代わりに、4月は「平成」という時代を穏やかに見送るために、3週間は一切仕事をしないと決めたのは、半年程前の事である。4月2日から12日までは、社主さまと二人でロサンゼルスに滞在し、仕事とは無縁の日々をエンジョイする。

もしかすると、遊び心を忘れて『伊達と酔狂』という社是に背くような日々を送っていた事を仮面の女神さまが戒めてくれたのかもしれない。

さあ、これから新たな『縄文土偶探訪記』の始まりである。1年7ヶ月ものブランクがあるので、Revival (復活) season と称することにしよう!