井戸尻でお留守番かな? ① — 羽根飾りがとってもお似合いの『蛇を戴く神子』さま

上野の東京国立博物館(トーハク)で開催中の特別展「縄文~1万年の美の鼓動」は9月2日までの開催である。尖石が誇る国宝土偶さん2体がジョインする7月31日以降に、なるべく早く社主さまと訪れようと計画していたのだが、今週は東京での仕事が続いた上に台風の襲来もあり、タイミングを逸してしまった。来週は八ヶ岳オフィスで夏休みを過ごす計画なので、残念ながらトーハク行きはまだ先になりそうだ。

今回の特別展の人気はかなりのようで、気掛かりは「関連グッズ」の売り切れである。「土偶ペンライト」と「土偶パペットタオル」は前売り券とセットで購入予約済みなので問題ないが、私が最も欲しい「特別展 縄文 図録」は、取扱のある「朝日新聞SHOP」のWebでは、一時期「品切れ」表示となっていた程だ。トーハク探訪の当日に「欠品」なんて事になったら、土偶さん鑑賞の楽しみが半減してしまうので、結局、朝日新聞SHOPで事前注文した。

売り切れが心配な「縄文~1万円の美の鼓動」の図録。トーハク探訪日はこの図録を片手に、しっかりと土偶さんや縄文土器を鑑賞しようと考えている。

この図録の収録番号と会場内での作品番号、及び、トーハクWeb上の作品リストNo.がすべて同じ(統一されている)との事なので、改めて今回の特別展に集まる土偶さんや縄文土器等の顔ぶれを再確認。と、ここで意外な事に気が付いた。当然ながら出品されるものと信じ切っていた「井戸尻考古館」の看板土偶さん2体のお名前がリストに無いのだ。

井戸尻からは国指定重要文化財である「深鉢型土器」他計3点の縄文土器の出品があるのみ。「全207点の内、井戸尻からたったの3点か? そりゃ、ないだろう。しかも重文指定組の土偶さん達は、富士見でお留守番なのか??」 今回の特別展では、国宝と国指定重要文化財の土偶さんが勢揃いするものと勝手に思い込んでいた私は、正直、落胆した。

まあでも仕方ない。せめて『八ヶ岳稿房』で、井戸尻の看板土偶のお嬢さん達を紹介しよう。まずは「蛇を戴く神子」さまである。こちらの土偶さんは、八ヶ岳オフィスの所在地である長野県諏訪郡富士見町の「藤内遺跡(縄文中期)」の出土であり、土器や石器等、他の出土品と合わせて199点が2002年に国の重要文化財に指定された。

「蛇を戴く神子」さまの正面写真。穏やかで厳かな良いお顔立ちである。吊り目美人系さんとは、ちょっと雰囲気が異なる。
「蛇を戴く神子」さまの頭部を撮影した写真。蛇が頭部に巻いてある(纏わり付いているかな?)のが最大の特色だ。穏やかなお顔立ちと「蛇」のアンバランス感が私を魅了する。また、後頭部やや右寄りに穴が開いている。

この神子様、頭に蛇を巻いていらっしゃる。ギリシャ神話に登場する「メドゥーサ」に相通ずるところもあるのだが、こちらの土偶さんお顔は、まるで悟りを開いたかのような穏やかで厳かな雰囲気が漂う。このお顔立ちと「蛇(不死と再生の象徴)」のアンバランスさが私を魅了する。

「蛇を戴く神子」さま左横からの写真。頭部の蛇の様子がよりはっきりと見て取れる。蛇の鎌首らしきものもあり、私には蛇が生きているように見える。鎌首らしき物の上に穴が1つ開いている。
「蛇を戴く神子」さまの右側からの写真。こちら側には、蛇の鎌首らしきものはない。耳の辺りを上下に貫く穴が見える。

井戸尻考古館のこの土偶さんの展示方法もお洒落である。時々、羽根飾りを纏って展示されている事もあり「粋だなぁ~」と感心する。お顔の造形をよくよく眺めると、羽根飾りであったかどうかは別として、この土偶さんは何らかの「アクセサリー」を頭部に纏っていたのではないかと思えてくる。きっと、この土偶さんも大切に崇められていたに違いない。

「蛇を戴く神子」さまの全体像。上の3枚の写真で確認できた「頭部3カ所の穴」を見ると、あの穴に何かをさし込んだのだろうと容易に想像がつく。
羽根飾りを纏った「蛇を戴く神子」さま。粋な展示スタイルで惚れ惚れする。羽であったかどうかは別にして、神子さまが頭部にアクセサリーを纏った「お洒落な土偶さん」であったのは間違いないと思う。

井戸尻考古館は、我が八ヶ岳オフィスからは車で10分程の場所にあり、通勤途中にある「釈迦堂遺跡博物館」、オフィスからは車で15分程の「尖石縄文考古館」等と並んで、「ホームグラウンド的考古館」である。
来週の八ヶ岳オフィス滞在時には、ふらっと立ち寄って看板土偶のお嬢さん達に「お留守番、ご苦労様」と声を掛けようかな…