心底、「嫌な感じ」の朝

八ヶ岳オフィス滞在中は、街中に出る時以外は、滅多に人に会う事は無い。精々、郵便物や宅急便の配送時に、顔なじみとなった担当の方達と言葉を交わす位である。周囲を財産区の林に囲まれた場所なので、オフィスの窓から目に映るのは、赤松、唐松、そして様々な広葉樹のみである。朝夕は静謐そのもので、物音で目が覚めるような事はまったく無い。

が、今朝はカラスの異様な鳴き声に目を覚まされた。時間は午前6時過ぎ。これまで、オフィス周辺でカラスを目にする事は稀であった。だが、今回19日夜からの滞在で、初めてカラスの存在がちょっと気になり始めた。20日の朝、給餌台に野鳥用に置いた伊予柑をカラスが持ち去る所を偶然、目撃したからだ。

「あれっ? カラスも給餌台のお客さんだったんだ。」と、当初は、その程度の認識だった。だが、今朝は目を覚まされた後も、カラスの不快な鳴き声が断続的に聞こえてきた。午前8時過ぎに、あまりにも五月蠅いので、メイン・ウッドデッキに出て、財産区林の様子を探ってみた。

本当にビックリした。メイン・ウッドデッキから20m程の距離の所に、ニホンジカが30頭程、ボール状に固まって寄り添っていたのである。そして、私の急な出現に驚いて、彼らが一斉に逃げ出したのだ。

ボール状に寄り添っていた「ニホンシカ」の群れが、私の急な出現に驚いて、一声逃げ出した。写真に写っているだけで24頭確認できる。
ボール状に寄り添っていた「ニホンジカ」の群れが、私の急な出現に驚いて、一声逃げ出した。写真に写っているだけで24頭確認できる。

八ヶ岳オフィス周辺では、ニホンジカは珍しくもなんともない。財産区の林を列をなして餌を探しながら移動する姿は、毎日のように目にしてきた。だが、あれだけ大きな群れが、丸く固まっているのを目撃したのは、この15年で初めてである。

鹿サン達の逃げ足の早い事、早い事。こちらは危害など加える気はまったくないのだが... カラスの様子を撮影するためにデジカメを持ってきて良かった。でも、ボール状にピッタリと寄り添っていた異様な光景については、シャッターチャンスを逃してしまった事が悔やまれる。
鹿サン達の逃げ足の早い事、早い事。こちらは危害など加える気はまったくないのだが… カラスの様子を撮影するためにデジカメを持ってきて良かった。でも、ボール状にピッタリと寄り添っていた異様な光景については、シャッターチャンスを逃してしまった事が悔やまれる。

鹿の群れが消え去った後に、本来の目的であるカラスを観察した。これもビックリ。20羽位(こんなに沢山、八ヶ岳で見た事無い)が、鳴き声を発しながら、財産区の林や同じ別荘街区の上空を低空で、まるで円を描くように飛び回っている。

鳴き声は「かあ~ かあ~」なんてノンビリした感じではなく、「ギャ ギャ ギャ」といったような落ち着かない、不快なものである。カラスの鳴き声で目覚めた理由は、その数の多さとこの耳障りな鳴き声が理由だったようだ。

ニホンジカの死骸でもあるのかと思い、財産区の林に入って、周囲を散策してみたのだが、それらしい物は見当たらなかった。カラス達も、財産区樹林に群れているわけではなく、ただ落ち着きなく周辺を飛び回っている様子である。オイオイ、『動物の異常行動』ってやつかよ。なんか嫌な感じだな…

朝食を済ませ、9時ちょっと前に再びメイン・ウッドデッキで出て財産区の様子をうかがう。カラスは10羽位に減っていたが、まだ樹間を所在なさげに飛び回っている。ふと、財産区林の中央にできた小径(涸れ沢)に目を転じると、見慣れぬ黒い小動物が足早に鉢巻道路方向へと移動していた。なんだアレ? 今度は「黒猫(ヤマト運輸さんではあありません。本物です。)」だあ~

こんな具合に、心底、『嫌な感じの朝』です… どうぞ皆さん、天変地異の類にご用心を!

トリグラフ・リサーチ 稿房主

【八ヶ岳ライフ】